保安室から駆け付けた元ザイト団員の男は、エレベーターに乗り込む斉藤の腕を掴んだ。
「何するの?俺は情報部のザイト壊滅作戦の功労者、斉藤だよ。高槻部長に聞いてみてよ」
斉藤は捩じられた腕にうなりながら、何とか毒づいた。ザイト壊滅作戦と聞いた保安員は、よりいっそう力を入れて、斉藤の腕をねじ上げた。
「情報部は情報課に格下げされたんだ。知らないのか?」
「ちょっと、腕を放してよ。その情報課がまた情報部になったの、知んないの?」
斉藤は悲鳴のような声を上げた。
この会社では社長の気紛れで、1夜にして体制が変わることはよくある。保安員は急に自信が持てなくなって、力を弱めた。
「もう。仕事熱心なのはいいけど、こんなことが社長に知れたら大変だよ。俺は次期課長の斉藤だからね」
斉藤は保安員の腕を振り切って、自分の腕をさすった。確かに、情報課には斉藤という課員がいたと、保安員は頭の中で社員名簿をめくった。
「せっかくいい気分で出社したのに、朝からとんだ目にあっちゃった。今度から気をつけて」
この男の自信の前に、保安員はあっけなく屈伏して、会社にザイト壊滅の計画があるなら、年齢と体力的に保安員になれと言われたのは案外ラッキーだったかもと思った。
「何するの?俺は情報部のザイト壊滅作戦の功労者、斉藤だよ。高槻部長に聞いてみてよ」
斉藤は捩じられた腕にうなりながら、何とか毒づいた。ザイト壊滅作戦と聞いた保安員は、よりいっそう力を入れて、斉藤の腕をねじ上げた。
「情報部は情報課に格下げされたんだ。知らないのか?」
「ちょっと、腕を放してよ。その情報課がまた情報部になったの、知んないの?」
斉藤は悲鳴のような声を上げた。
この会社では社長の気紛れで、1夜にして体制が変わることはよくある。保安員は急に自信が持てなくなって、力を弱めた。
「もう。仕事熱心なのはいいけど、こんなことが社長に知れたら大変だよ。俺は次期課長の斉藤だからね」
斉藤は保安員の腕を振り切って、自分の腕をさすった。確かに、情報課には斉藤という課員がいたと、保安員は頭の中で社員名簿をめくった。
「せっかくいい気分で出社したのに、朝からとんだ目にあっちゃった。今度から気をつけて」
この男の自信の前に、保安員はあっけなく屈伏して、会社にザイト壊滅の計画があるなら、年齢と体力的に保安員になれと言われたのは案外ラッキーだったかもと思った。