OMEGA 30mm caliper。
1940年代のこの30mm caliperはとても優秀で美しい。
裏蓋を開けてみるととてもシンプルで
でもとても綺麗に歯車が並んでいる。
アラビア数字の周りのレールウェイ。
焼けた蛍光塗料。
フルオリジナルのOMEGA 30mm caliper
この時計はボクの一番の宝物。
ボクの全ての時計を手放しても構わないけれど
この時計だけは何があっても手放さない。
これは父の形見だから。
もう父は他界して結構な年月が経つ。
ボクが父の誕生日に父の生まれた1948年に製造された
この時計をプレゼントした。
当時病気で入退院していた父はいつも痩せた左手にこの時計をつけていた。
birth yearの時計を選んだ理由は
同じ時に生まれた時計と同じ時間をしっかりそしてずっと刻んでいってほしいって思ったから。
たまに遅れたりしたけれど共に時間を刻んでいった。
父は他界したけれどこの時計は途切れることなく父が他界してからも
今まで同じリズムで時間を刻んでいる。何事もなかったように。
何があっても時間は止まらない、そして戻らない。
生きていればやり直したいってことが数えきれないほどある。
でもそれらはどんなに努力をしてもやり直しは出来ない。
もう過去のものだから。
この時計のように同じリズムで時間を刻んで進んでいくしかない。
それが人生なのさ。
この時計を見るたびにそう想う。