松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆励ます行政評価委員会・ふるさと納税(白岡市)

2021-10-22 | 励ます行政評価
 今回は、ふるさと納税を取り上げた。今回も活発な意見、建設的な意見が出た。

 白岡市のふるさと納税は3000万円程度、総決算は、地方交付税の補填分を含めても、800万円の赤字である。白岡市民が、他のまちに寄付するほうが多い。一時は、黒字の時もあったが、ここ数年は、マイナスが続いている。

 いうまでもなく、ふるさと納税は、問題がある制度である。様々なサービスを受ける自分のまちに払うべき税を事実上、返礼品を目当てに、まっやく関係のないまちに払っている。その補填分を国が補填する仕組みで、タコが自分の足を食う仕組みである。

 まじめに考えると、ひどい制度なので、手を出すべきではないといえるが、しかし、手をこまねいていると、税金の流出になり、赤字がどんどんたまる。結局、参加せざるを得ない制度である。

 ただ、私は、最近は、この制度は、ちょっといい側面もあるとみなおしている。それは、この制度は、お金持ちにとって、有利な制度だからである。本当かどうかは知らないが、1億円の収入がある人は、ふるさと納税だけで暮らせるという。お金持ちにやさしい制度である点が、私の評価のポイントである。

 つまり、日本の地方自治では、たくさん税金を払っている人は、それに見合うサービスを受けていない。地方自治は困った人を助ける制度ともいえるからで、生活保護や各種福祉サービスの恩恵を受ける人は、それに見合う税金を払っていない。地方自治はそういう制度なので、そういうものであるが、お金持ちにとっては、自分の税金は、ちっとも自分には還元されないと感じる制度である。

 お金持ちは、ケンカしないと言われ、とくに文句があるわけではないだろうが、ふと考えると、寂しくなる。そんなとき、ふるさと納税である。これは唯一と言っていいくらい、お金持ちにやさしい制度である。それで、返礼品で、多額の税金を払っていることへの疑問や不満が休まれば、それでいいではないか。ふるさと納税は、お金持ち優遇制度と批判する人もいるが、そうかもしれないが、ひとつくら、大目に見る制度があってもいいではないか。ふるさと納税の返礼品で少し気持ちが楽になって、引き続いて、多額の税金を気持ちよく払ってくれれば、それはそれで、全体ではオッケーではないか。

 ちなみに、税金を払っていることが、支払った実感を感じられないという状態が長く続けば、地方自治への不信、不満につながる。これは危険なことなので、自分の支払っている税金の1%を自分が大事だと思える事業に使える制度を提案してきた(1%制度。多く払っている人は、その分、自分が大事だと思う事業に自分の税金を振り分けることができる)。本も書いてきた。ただ、なかなか、うまくいかないのが現状である。その点、ふるさと納税は、支払っている税金を実感できる制度なので、案外、いい側面もあるというのが、私の肯定論である。

 委員会でのふるさと納税の提案は、①単なる寄付金の増額にとどまらず、産業振興、シティセールス、シビックプライドという基本から組み立てること、②事業計画をつくることが必要なこと、③それを直接担当する担当セクションのもと全市的な推進体制で推進すること、④小さな個人商店から大企業まで、白岡の事業者を総当たりで歩き、資源化リストとをつくり、関係を構築すること、つまり汗をかくこと、⑤市民、事業者、関係機関等との協働で進めることなどが提案された。全面的な組み立て直しの提案となった。

 目標を定めるというのも、事業計画の内容のひとつである。私の提案は、埼玉ナンバーワンである。金額ナンバーワンが難しければ、品目でもよい、アクセス数でもよい、ともかく、埼玉ナンバーワンを目指すことである。これはできない目標ではないと思う。

 この事業の担当者になると、これはおいしい仕事になる。この提案通りにやれば、今の3000万を6000万にするのは簡単だからである。成果が目に見える仕事はそうはない。ともかく、ふるさと納税の成功は、担当者次第で、ガンガンやる、濃いい人を配置するのが、一番であると強調しておいた。
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