松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆京都市非居住住宅利活用促進税条例に触発されて・政策法務の権力性

2023-03-24 | 空き家問題
 京都市の非居住住宅利活用促進税は、空き家等に対して、法定外普通税として非居住住宅利活用促進税を課すものである。

 納税義務者等は、京都市の市街化区域内に所在する非居住住宅(住宅のうち、その所在地に住所(※)を有する者がないもの)に対し、その所有者に家屋価値割額及び立地床面積割額の合算額によって課す(住民票の有無にかかわらず、居住実態の有無によって判断する)。

 全国の自治体で初めてのケースで、課税を避けるための売却・賃貸を促し、空き家解消につながるかもしれない。法定外新税は総務省の同意が必要になるが、国は同意するようだ。空き家問題に悩む国としても、お試しを試みているのだろう。

 空き家問題は私的自治の最たるものであるが、こうした課題も公共性を帯びてきて、政府の関与が求められるようになってきた。しかも、これまでは、どちらかというと後見的な関与が中心であったが、空き家問題では、行政代執行を始めとする権力的な関与に踏み込んだ点が特徴である。

 そこまでしなければいけないという事情もあるが、他方、市民の自治力の弱体を感じざるを得ない。結局、お役所任せを助長している。

 かつて、政策法務論が出始めのころ、政策現場で、市民やNPOと話をしていると、戸惑うことがあった。彼らは法務に警戒的だという点である。法務の要諦は強要性なので、おそらく彼らは、こうした法務で政策を実現するという「権力性」に、ある種の違和感を感じているためだ感じた。

 むろん、政策法務のねらいはそうではなく、条例(法務)をもって法律(国)と対峙していこうするものであるが、このベクトルが容易に市民に向かうのではないかとの危惧をもっているだろう。行政にいたときも、この点は、まったくの杞憂であると否定することもできないところから、私も常に心したところである。

 相模原市の人権条例も罰則の方向性のようだ。他力本願、行政依存は、麻薬のようなもので、自分たちの自助力を弱めていく。コロナ以降、その傾向は顕著で、元の戻すには、コロナの3年の何倍もの時間がかかると思う。


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