もんく [とある南端港街の住人になった人]

南の島で大自然に抱かれるか

南の島に行くと原色の赤が映えるハイビスカスやブーゲンビリア、うっとりする香りのプルメリアなど色とりどりの美しい花が咲き乱れ、内陸部には棚田も美しい田園風景。ココナッツの葉が風に揺れている。まさに楽園と言った風情だ。

たくさんの緑に囲まれてまさに自然満喫と言いたいところだが、これらは全て人間が植えたもの。美しい花々のほとんどはもともと中南米の植物。植木屋で売っているのを買ってきたものでずっと昔からそこに自生していたわけじゃない。

そしてココナッツは農作物である。山の上までたくさんのココナッツが生えているのは良く見る光景だが「さすが南国」ではなく、「あそこも人の足が踏んだ土地なのか」と思った方が良い。決して自然が豊富なわけではないのだ。南国の楽園からそういった要素を取り除くとそこに残る自然はけっこう少ないことに気付く。

それらは悪く言えば自然破壊だが、逆のから見ればそれはアートである。美しい棚田、夜になるとそこにはランプが不要なほどたくさんの蛍の群れが出現する。咲き乱れる花々とむせぶほどの甘い香り、どこからともなく響いてくる打楽器の音。特に東南アジアのような地域においては長らく自然を破壊、人間にとっての改良を行いながら栄えてきた。食べていくために持ち前の勤勉さを働かせた結果だろう。

現地に行ったら花の美しさや香りの裏にあるもう一つの意味を感じたいものだ。それは我々が持っているイメージとは異なって無邪気な楽園ではないに違いない。


*お断り*
もちろん大自然があるところも世界にはたくさんあります。
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