声なのか、それともそうじゃないのか……よくわかんないそんな音が響く。 もちろんそれは勇者が聖剣を差し込んだ渦から響いてた。そしてその中から落ちてくる。なにが? それは手や足である。それもただの手や足ではない。連なる手や足だ。手はそれこそその手が次の腕を回り込むようにつかんでる。けど足はそんなことは出来ない。
だから足は足の裏から太ももが再び生えてる……みたいな感じだった。それに時々、脚と手がミックスされてるものもある。そしてそれは……とても大きい。人間のサイズじゃない。そんなのが空から落ちてきたら大地は大変だ。
落ちて来た腕や脚は砂漠へと刺さる。そしてそれは戦場を混乱させる。けどそれでも、それぞれはなんとか自分たちの判断で動いてる。勇者は晴れていく渦を見つめてた。
青空が戻ってくる。そして太陽が光り輝く。
「つっ……」
眩しい……そんな風に勇者は目を細めた。その時だ。ドンッ――と何かが勇者を吹き飛ばす。けどエネルギーを纏って勇者はくるっと回って態勢を立て直した。
(いる)
そんな風に勇者は考える。そして何回も瞬きをした。そのたびに勇者の視界が切り替わる。赤くなったり、緑になったり……そんな風に変わっていく勇者の視界。どうやらセンサーを仕込んでるらしい。
忘れがちだが、勇者の体も生身ではない。なにせ私の……G-01の従者なのだ。その体は勿論、G-01に準じるスペックを擁してる。それにこれまでも何回もその体はバージョンアップしてきたのだ。それによって勇者のセンサーも改良されてる。
さらに言えば、勇者にはそのまま第六感的な機械では再現できない、生命の危機察知能力とかともいえるそれはきっと私よりも勇者の方が優秀だろう。
だって最初からここ……G-01の中にいた私よりも、これまで激しい戦いを生身でしてきた勇者の方が研ぎ澄まされてるはずだ。だから勇者がいうのなら、こっちのセンサーに反応がなくてもいるはずだ。
でも問題は空だけじゃない。どうやら地上でも何か起こってる。さっきの空から落ちて来た手足……それに、なぜか一気に砂獣が押し寄せて来た。今まで一心不乱にアズバインバカラへと進軍してた砂獣がなぜか砂に刺さったその手足に集まりだした。
今まで砂獣を防いでたネナンちゃんやらアイはこの間に一息ついてるが……砂獣も餌が落とされたから一息つきだした……ってわけじゃないだろう。
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