真夏の和束町

　和束町の茶畑の中を走っていると，たまに出会う光景がある．茶畑が太陽の光によって，黄緑色に輝いて見える．これは午前中ではなく，午後になって少し陽が落ちてきたときに見ることが多い．



　決まった時刻にしか見られないのは，光の角度や波長の関係でちょうどいい塩梅になるのかもしれない．この茶畑の光景は，暑さを忘れさせてくれる．光が当たっている場所とそうでない場所とで，茶葉の色がまるで違っていて，コントラストが形成されているのも美しい．



　この時間帯に巡り合うことはあまりないので，和束町杣田の茶畑も観て回ることにしよう．ここでもまたいつもと少し違った茶畑に出会うことができた．茶葉はいろいろな色に変化するけど，基本的には１色であることが多い．



　この日は茶葉に黄緑と深緑の２色が混在していた．この日の茶畑は偶然が２つ重なって，とてもきれいだった．５年間も和束町を走り通してきたのに，まだ知らない風景があることに少し驚く．



　すっかり写真を撮るのに夢中になってしまって，気が付けば汗でびょっしょりだ．どこか近くから草刈り機の低いモーター音が聞こえてくるが，どこにも人は見当たらない．モーター音が辺りの静けさをかえって強調していた．



　さて，今日も十分走ったし，暑いので帰ることにしよう．帰りの峠でも和束町の遠景を写真におさめる．雲が印象的な夏の空だった．