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アルバム、アンダーカレントのジャケット写真があげられる。
このジャケットは一度見てからは、ずーっと頭から離れなかった。
水面を漂う女性である。
なんとも神秘的なセピア色の写真であるが、
漂う女性は、黒髪で日本人のようにも感じられる。
自分はどうしてもこのような写真をみると、水面下の息苦しさを思ってしまい、
不安な気持ちが大きくなる。
よく見ると、女性の口だけは水面上に出ているようでもあるが、、
でもいずれ力尽きて、底流の中に飲み込まれるのでは、などと感じてしまう。
底流は静けさであり、暗闇である。心に置き換えれば、
心の奥底に秘められた、抑圧された、
自分でもわからない部分であり、世界である。
そこからまた違う世界に繫がっているのかもしれない、なんて夢想してしまう。
これらのアルバムのジャケット写真からの、印象がこのアルバムのなかの曲を
ストレイトに表している。
このアルバムは、ビル・エヴァンスのピアノとジムホールのギターによる美しい音の対話である。
曲について
オープニングのマイファニィ・バレンタインが実に素晴らしい!!
自分は、チェット・ベイカーの演奏しか知らないが、チェット・ベイカーの演奏とボーカルは実に暗く重い。
その印象で、こちらのマイファニィをきくと、実に爽快でスリリングで、何回も聴きたくなる、、、
ジムホールのギターはベースが四分音符で弾く「ウォーキングベース」にあたることを、ギターで行いつつ、和音も一拍ずつ変化させている。
今では、よく聞く奏法だが、1960年代初頭では画期的奏法だったようだ。
3曲目のドリーム・ジプシーはジャズの美曲ベスト5に入るといわれた美しい
旋律の流れの曲になっている。
4曲目のRomainは、ギターもピアノもどちらもメロディーを摂って絡み合っている。とても面白い掛け合いである。曲もとても美しく心に響く。
5曲目のスケーティング・イン・セントラルパークは、
ジョンルイスによるアメリカ映画、邦題「拳銃の報酬」のための音楽の一曲で
犯罪を犯したハリー・ベラフォンテがニューヨークのセントラルパークで、スケートに興ずる人々をボーっと眺める場面に使われた。
セントラルパークのスケートは冬の風物詩になっている。
3拍子のこの曲は、ギターもピアノも指が指板と鍵盤の上でスケートして
踊っているようだ。
2人だけの掛け合いによる演奏は、
それぞれの音に対して、自分の音を心に従って返していく。
このアルバムは、数あるジャズのデュオアルバムの中でも、特に有名な傑作である。
ビル・エヴァンスを支えたベース奏者のスコットラファロが事故死してから約10か月後、落ち込むビルの姿を見かねたジムホールが誘ってこのアルバムを録音したと言われている。
静寂の中の響き。
失意のどん底にあったビルと控えめだが、自分の音を持ち
ビルと同じ感性をもつジムが、底流の中で静かに、静かに、自分の音をだし
お互いの心を癒しているようにも思われます。
本当に、静かなアルバムだと思います。
時の底流の中で、二人の渋いアドリブの会話を、ゆっくりと味わいたいと思います。
ドラムやベースのないジャズもいいなぁって思えるような年齢になってきたんだなぁ
インタープレイでピアノとギターが激しくそして穏やかにそして静かに会話している
底流の流れの中でそっと寄り添ったり離れたりを繰り返し
お互いに心を温め合っている
静かな底流で
私にも良い友達が待っているのかな?
心を温めようとして
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