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「覚(おぼ)わる」…共通語か名古屋弁か?

2005-07-24 23:20:35 | 眇め草紙
写真㊤:名古屋城・金のシャチホコ ←画像元

「覚(おぼ)わる」…共通語か名古屋弁か?

 「覚(おぼ)わる」は、名古屋や岐阜で日常よく使われる言葉だ。これについて、面白い話がある。

 今月20日の東京新聞(中日新聞東京本社発行)のコラム『筆洗』で郡上踊りを紹介していた。そこでは、「(岐阜県の郡上踊りの)振りはいずれも簡単で、見ているうちにすぐ“覚わり」と記述されていた。

 この“覚わりに関して、“覚わりがわからない。方言ではないかとの問い合わせが殺到したそうだ。21日付けの『筆洗』は早速弁明に追われている。


 調べてみた。地元では、圧倒的に方言説を採るものが多い。

なごやことば辞典   misonikomi.jpg 味噌煮込みうどん

名古屋弁辞典 img1049203026.jpe ... 名古屋コーチン  cochin.jpg

えびふりゃー名古屋弁辞典 sp040202a.jpg

名古屋みゃーみゃー通信名古屋の少年はこうして名古屋弁を失う 

2003年11月の湾岸日記  uiro.jpg ういろう


 しかし専門家の意見は異なるようだ。21日付け『筆洗』から紹介してみる。

▼踊り見物をしていて、地元の人から踊りの輪に入るよう勧められたとき、耳にした言葉でした。岐阜、名古屋では日常語としてよく使われますが、方言ではなく共通語です。

▼『日本国語大辞典』(小学館)には「おぼわる(おぼはる)【覚】他動詞ラ行五段活用」として「技術などを学んで体得する」の意とあります。

 用例として松原岩五郎著『最暗黒の東京』(1893年)の「日ならずして其(その)呼吸も覚(オボ)はり、後には番頭々々と尊称さるる」を引く。松原は鳥取県出身。

▼国立国語研究所の吉岡泰夫上席研究員は「文語の書き言葉として使われた以上、方言というよりは可能動詞に分類される古語」とみる。

 京助氏、春彦氏の日本語学を受け継ぐ金田一秀穂杏林大学教授も「教わる、具(そな)わると同じく“わる”に自然に身につく意味が含まれる”無意志”の言葉では」という。

▼作家の清水義範さんは「笑説大名古屋辞典」(角川文庫)で“覚わる”を「小説の中に書いて大恥をかいた」と紹介、名古屋語説に立つが、かつて職人の世界で日常語として使われた古語が、ものづくりを尊重する名古屋で生き残ったとみるのも面白い。

本稿とは無関係ですが…名古屋名物

05.07.21

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