岩佐和裁のブログ、裁縫記:IWASA WASAI's blog, sewing notes.

着物や和裁を紹介しています。
Introducing kimonos and kimono sewing.

ちくちくパックで女物の館林木綿の単衣の着物を縫いました。

2017年12月15日 06時27分01秒 | 単衣の着物

染織こだまさんの”ちくちくパック”で館林木綿の女物の単衣の着物を縫います。
ちくちくパックは染織こだまさんの商品で単衣の着物の裁断とへら付けが全てしてあるので、文字通りあとは縫うだけです。
三つ折りぐけ、縫いぐけ(ぐしぐけ)は折山の5厘(0.189cm)内側を、耳ぐけは耳の5厘(0.189cm)内側をくけます。
ちくちくパックのへらは全て糸印でされていますので、重要な糸印はチャコペンなどで上書きしておくと糸を抜いた後でも印がわかります。
ちくちくパックをご購入される時は別途、水通し、居敷当、より丈夫な仕立てをお望みなら肩当を追加注文された方が良いと思います。
 単衣の着物の縫い方をまとめたエクセルファイルのテキストを岩佐和裁のホームページの和裁教室のページのちくちくパックで和裁のお稽古のコーナーからダウンロード出来ます。
ご使用方法はファイルの中でYou Tubeの”取扱い説明動画””ちくちくパックを縫う手順を説明する動画””ちくちくパックで裁断を学習する動画”にリンクして説明しています。
 また和裁教室のお稽古では、これらのファイルの寸法がご自身のサイズになり、16GB程度のUSBメモリーをご用意していただければその中にエクセルフィルのテキストと動画のテキストを無料でコピー致します。
以下はちくちくパックの館林木綿の女物の単衣の着物を縫った手順をテキストと動画でまとめたレポートです。

単衣の着物を手縫いするには、運針(波縫い) 、三つ折りぐけ耳ぐけ 縫いぐけ(ぐしぐけ、衿くけを例に説明します) など少なくとも四種類のステッチをマスターする必要があります。
 糸を通しての運針の練習

単衣の着物の縫い方は以下の動画の順番で縫いました。
袖の縫い方 
袖口の三つ折りぐけと口下の部分縫いの動画 
袖下のたこ縫い(袋縫い)の部分縫いの動画 
袖の丸味の部分縫い方の動画 
衽の角(額縁)と褄下の三つ折りぐけ
衽の角(額縁)の部分縫いの動画 
背縫いの縫い方 
内揚の縫い方とくけ方 
後身頃の内揚の部分縫い動画 
上前の脇縫いの縫い方 
下前の脇縫いの縫い方と両脇縫いの鏝の当て方 

上前のイカの頭の作り方 

下前のイカの頭と仮縫いをしてくける作り方
上前のイカの頭の部分縫いの動画 
下前の脇縫いを引っ立てた時のイカの頭の部分縫い方の動画 
脇くけの準備と下前の脇くけ 
上前の脇くけ
下前の衽付けの縫いとくけ 

上前の衽付けの縫いとくけ 
裾の三つ折りぐけ 
裾の三つ折りぐけの部分縫いの動画
身頃や衽に流れのへらなど、衿を付ける為の印付け 
力布(衿肩止め)の作り方 
力布(衿肩止め)の縫い付け方 
衿付け前の衿の準備   
上前の衿付け   
下前の衿付け 
衿幅の折りと衿の縫代の始末 
上前と下前の衿先の縫い方 
衿先の縫いの部分縫いの動画 
衿くけをする為の仮縫い  
衿のくけ 
衿の縫代のとじ付けの動画 
居敷当の廻りを三つ折りぐけと隠しで始末します。 
居敷当の背とじ 

居敷当の背とじの部分縫いの動画 
居敷当を後身頃にくけ付けます。 
下前の袖付けとくけ 
上前の袖付けとくけ 

袖付けの部分縫いの動画 
着物をたたむための折りの付け方 

今回の単衣の着物は以下の順番で縫いました。
1、袖を袖下のたこ縫い(袋縫い)→袖下、口下の縫い→袖口の三つ折りぐけ→袖の丸味つぶし→袖の振くけの順に縫います。
 袖口の三つ折りぐけの折りをします。
 袖下のたこ縫い(袋縫い)を縫います 。
 袖下のたこ縫い(袋縫い)は振りのくけに隠れる処はは縫わずに空けておきます。
 袖下の振側から袖丸味を経由して口下を袖口のへらまで縫い、横に糸を三回位からげて、そこから3分(1cm)ほど縫い戻って、玉留めをして止めます。
 チクチクパックは袖口の三つ折りぐけの二つ目の折山と、口下の縫い目の処に糸印がしてあります。
 袖下の三つ折りぐけの一つ目の折りの縫代を開き起こした処から袖口の三つ折りぐけをします。
 三つ折りぐけの一つ目の折りは袖口のへらから3分(1.134cm)下の処までは同じ幅で折りそこから折り幅の十倍の1寸8分(6.804cm )の長さで起こします。
 袖口の三つ折りぐけの二つ目の折りが口下の縫い目のきせ山になります。
 上前の袖は袖口側、を右側にして口下?袖下と折り鏝をします。
 下前の袖は袖の振りを右側にして袖下?口下と折り鏝をします。口下の折鏝のきせは3厘(0.1134cm)に袖下のきせは5厘(0.189cm)にします。
 袖の丸味をつぶします。
 袖を表に返して上前の袖(左袖)は袖口を右側に、下前の袖(右袖)袖付を右側にして毛抜き合わせに鏝をかけます。
 袖の振りを3分(1.138cm)位の間隔でくけます。袖下の縫代は前袖側に含ませて、袖の振りくけの縫代の袖下の縫いのきせ山は気持ち前袖側にずらします。

2、衽の角(額縁)を作り褄下の三つ折りぐけを約3分(1.138cm)位の間隔でします。三つ折りぐけの折りは褄下のへらの1寸(3.78cm)上から各縫代の十倍の長さで起こします。 
3、身頃を背縫い→背の二度縫い→後身頃の内揚の縫い→後身頃の内揚のくけ→前身頃の内揚の縫い→前身頃の内揚のくけ→上前と下前身頃の脇縫い→上前と下前身頃のいかの頭のくけ→上前と下前身頃の脇くけの順に縫います。
 肩山を右にして背縫代に5厘(0.189cm)のきせをかけ、片返しに鏝を当て上前の後身頃の方に倒します。

4、脇縫いは後身頃を見て上前は裾から身八っ口のへらまでを、下前は身八っ口のへらから裾までを縫い、脇縫いの縫代を前身頃の方に5厘(0.189cm)のきせをかけて片返しに倒し、折り鏝をして平鏝を当てます。
5、上前と下前のイカの頭をたたみ、くけます。
6、イカの頭の少し下から裾までの間の後身頃と前身頃の脇の縫代の三つ折りぐけの折り山は、後身頃の折山の方を1分(0.378cm)浅く折ります。そして4分(1.512cm)位の間隔で脇くけをします。 
 上前の脇くけは裾からイカの頭まで、下前の脇くけはイカの頭から裾までの脇の縫代をくけます。

7、衽付けは下前の衽からして、上前、下前とも裾から衽頭のへらまでを縫います。
8、衽付けの前立ての縫代を衽の方に5厘(0.189cm)のきせをかけて片返しに倒して、縫代を4分(1.512cm)位の間隔でくけます。 
9、裾に一つ目の折りは裾の裁切より2分(0.756cm) の処にして、一つ目の折山から3分(1.134cm) の処に出来上りの折りをして、裾の三つ折りぐけの仮縫いをして3分(1.134cm)位の針目の間隔で裾くけをします。
10、ちくちくパックには衿を付けるための印は施されていますが、私が縫い慣れた方法で身頃や衽に流れのへらなど衿を付けるための印付けをしました。
11、力布(衿肩止め)を作り、衿肩明の処に縫い付けます。
12、衿付けの縫いをする前に衿の準備をする手順は、まず地衿と共衿を1分(0.378cm)の”きせ”がかかる様に横の縫いをします。
 共衿かけの横の縫い目に1分(0.378cm)のきせをかけて躾をします→
 衿付けの印より少し浅い縫代の処で地衿と共衿の衿肩明のへらと衽下りのへらを合せて待ち針をして地衿と共衿の仮縫いをします。
 衿肩廻りの衿付けの印より1分(0.378cm)浅い縫代の処に三つ衿芯を縫い付けます。

13、衿を見て衿山と背縫いのきせ山を合せて、衿山→衿肩明(力布の処)→衽下り→衿先方向へ上前の衿付けをします。
 衿先まで縫いましたら共衿下から衿先まで衿が高くなる様に5厘(0.189cm)のきせをかけて鏝を当てます。
 衿先の横の縫いの印の処に衿付けの縫代を縫い付けます。
 共衿のかかっている処を表から余りきせがかからない様に鏝を当てます。
 衿肩明の衿の付込みの縫代を衿付けのきせ山にかからない様に半分に折りたたみ、折山の処を鏝で十分に伸ばします。

14、身頃、もしくは衽の流れの処を見て、衿山と背縫いのきせ山を合せて、衿山→衿肩明(力布の処)→衽下り→衿先方向へ下前の衿付けをします。
 衿先まで縫いましたら共衿下から衿先まで衿が高くなる様に5厘(0.189cm)のきせをかけて鏝を当てます。
 衿先の横の縫いの印の処に衿付けの縫代を縫い付けます。
 共衿のかかっている処を表から余りきせがかからない様に鏝を当てます。
 衿肩明の衿の付込みの縫代を衿付けのきせ山にかからない様に半分に折りたたみ、折山の処を鏝で十分に伸ばします。

15、衿幅の折りをしてから、衿の中の身頃や衽の縫代を鏝で折り畳むなどして始末します。
16、上前と下前の衿先を縫います。衿先のきせは衿付け側は1分(0.378cm)衿くけ側は5厘(0.189cm)の見返し(みかた)を見せるので5厘(0.189cm)になります。
 衿先の横を縫う時には衿付けの縫代はいっしょに縫い、衿くけの縫代は外しておきます。

17、衿付けのきせ山と衿幅の折り山が重なるようにして、衿くけをする為の仮縫いをします。
18、下前の衿先から上前の衿先に向けて、1分(0.378cm)~2分(0.756cm)位の間隔で衿付けの縫い目と衿幅の折りの5厘(0.189cm)内側の処を縫いぐけ(ぐしぐけ)します。
19、衿先の縫代を衿くけ側の地衿の衿先の縫代の裁切の2分(0.756cm)位控えた処にかくしでとじ付けて、衿の中の衽と前身頃の前立ての縫代を衿くけ側の共衿の共衿幅の中心位の処に1寸(3.78cm)位の間隔でとじ付けます。
20、居敷当の廻りを裾部分は3分(1.134cm)間隔の三つ折りぐけで、上と両脇部分は3分(1.134cm)間隔の隠しで始末します。 
21、居敷当の背とじは後身頃の背縫いの縫い目の地の目一~二本縫代側に、居敷当の裾の綴じ始めは二重に綴じて、裾の三つ折りぐけの上の処も綴じる様にして、そこから居敷当の上までは8分(3.024cm)位の間隔で、居敷当の幅で二つ折りした背の折りの手前の一枚側の5厘(0.2cm)下の処に横糸を二~三本すくい、綴じ付けます。
 居敷当の上の位置は褄下の二寸から三寸(7.56cm~11.34cm)位に下の位置は表身頃の裾から一寸(3.78cm)より下にならない様にします。

22、居敷当を後身頃にくけ付けます。その時のくけと居敷当の裾の三つ折りぐけのきせは5厘(0.189cm)にします。
23、袖を身頃に1分(0.378cm)の折り縫いの縫代で縫い付けて袖の振りの縫代をくけます。

26、着物を畳むための折りをします。 
 下前の後身頃を見て、裾を右側にして背縫いの折りを出表に毛抜き合わせします。 
 前身頃を見て、裾を右側にして下前の脇の折りを出表に8厘(0.3024cm)位の見返し(みかた)を見せてします。
 前身頃を見て、裾を右側にして下前の衽の折りを中表に衿肩方向より折りをします。
 前身頃を見て、裾を左側にして上前の脇の折りを出表に8厘(0.3024cm)位の見返し(みかた)を見せてします。
 前身頃を見て、裾を左側にして上前の衽の折りを中表に衿肩方向より折りをします。
 衽の折りは標準寸法の時でおおよそ、衽付けの縫い目から折山の間を衽下りの処で7分(2.646cm)位、褄下の処で4分(1.512cm)位、裾の処で3分(1.134cm)位の差をつけます。

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