2-3.食べられる虫獄儘
馬鹿は馬鹿のままだ。
虫獄では、今でも、下水油(地溝油)を使っている。
昔中国の馬鹿女(中国電視台の元アナウンサー)が「美味しいんですよ!それにゼンゼン安全」とほざいていた。
下水油の精製は、実に簡単なもので、下水に溜まっている油の上澄みを掬って、それを、熱して、更に上澄みを掬うのである。
そこに消毒の為の処理は無い。精々加熱するのが、その類だろう。
因みに、シアノバクテリアは200℃はおろか300℃でも分解されない。イエローストーンの間欠泉に巣食うバクテリアは、あの熱湯が快適な環境だという。
さて、この「馬鹿の利口」の最たるものである下水油は今となっては発がん物質が混入されており、虫獄スタンダードの危険な食品の一つとなっている。
いや…、虫獄スタンダードとは、安全ではない事が基本である。下水油は極めて虫獄的な食品なのだろう。
今まではそれでも良かった。だが、あの日、あの天津怪獣が下水に潜り込む迄は…。
下水油はシアノバクテリアにとって便利な大気=酸素隔離道具だった。
数マイクロメートルの薄さでも酸素を阻害できる。
また、得意の膨張・拡張時には、バクテリアの表面に薄い膜を作ってへばり付いている。
そして、この油は、延々と中華料理屋の排水溝から供給される。
既に天津怪獣爆破から10日が経過した。天津市の下水道の100%、上海の下水道の73%に天津怪獣細胞が混入していた。
今天津怪獣は、新たな出口を求めて、各所に潜入しようとしていた。
下水に繋がる排水口を逆流する動きが始まった。
それは硫化水素も常に伴っている。
腐臭が天津、上海に満ちた。
流石に鈍感罠賊虫獄も、この腐臭に耐えられなくなった。
皆が、消臭剤を持ち、投入し始めた。
狭い、地下室などでは、窒息する者が次々と現れた。
だが、それを見つけた虫獄儘も次々と窒息して、周知される事は無かった。
そんな中で、誰もが分かる形で、天津怪獣は出現をする事となった。
胡瓜と名乗る馬鹿女が天津市の中華料理屋に入った。
ユーリンチーと刀削麺を注文した。
鳥の変わり衣の揚げ物と練った小麦の塊を鉄のヘラでコソギ落として、それを茹でて、油で炒めるのだ。
下水油で、変わったのは、料理屋の臭いだった。昔は、日本の安物の料理屋と似たようなものだったが、下水油が出るようになって、腐臭が漂っていた。
それは下水油の中に混入した汚物の臭いだった。
だが驚く事に虫獄儘は、その匂いが、故郷の、懐かしい匂いとなっていたのだ。
日本人はおろか、世界中の他の国では、とても臭いとしか言い様のない匂いを胸一杯吸い込む時点で、虫獄儘は、いやチョンも、人類ではなくなっていた。
地球の生物ですらないのだろう。
しかし、この下水油には、生物が混入していた。
天津怪獣細胞である。
胡瓜は、目を瞑って、斜め上に顔を向けた後、下に向けて、辺りに漂う腐臭を胸一杯吸って、吐き出した。
「何て美味そうな匂い…、あぁ~、これこそ纏獄の匂い…。」
そして、目を見開いて、野獣のような目つきで食べ始めた。
啜る音が、周囲に響くと同時に油が飛び散る、その一滴ずつに、数十個の天津怪獣細胞が入っている。
胡瓜が咀嚼している中には数億の天津怪獣の細胞があるのだ。
ひとしきり咀嚼すると、胡瓜は飲み込んだ。
「美味いアルね!やっぱり、これアルね!こうでないと、いけないアルね!日本は、何かすぅ~っとした油ばかりで、アクが無い。この饐えた匂いが無いノネ!やっぱり、この匂いあっての中華料理ネ、ああ、帰ってきた!虫獄に帰ってきたって感じアルね!」
と満足の様子だったが、すぐに、顔を丼に突っ込み、貪り食い出した。
…だがである、動きが急に止まった…。
「うっ?」
周囲は薄汚い虫獄が薄汚い虫獄語をけたたましく騒いでいて、胡瓜の様子に気付く者は居ない。
「…うぅぅぅぅぅ」
胡瓜から顔色が失われる。
胸を押さえた。
すぐに胃の部分を押さえる。
「…、何か…変…、へん、…へん…、うぅぅぅぅぅぅぅぅ」
流石に店主が、胡瓜の異変を見つけた。
「胡瓜!どうした?美味過ぎるか?ハハハ!俺様の最高の料理だ!今日のは倍の値段でもいいだろう!何しろ油が新しい缶で入れている!」
そんな店主を胡瓜は下向きで見上げて、口を震わせている。
「うぅぅぅぅぅぅうううぅぅぅぅぅぅぅぅ…うっ…」
「どうした?何も言えないか?」
「うぉっぷ…」
と言うと吐き出した。
「何だ!汚いな!俺様の料理を吐き出すなんて!一体どう言う了見で!…ええっ!」
店主は驚いた。
胡瓜が吐き出したのは食べていた麺でもユーリンチーでもないどす黒い液体で、しかも、汚物の臭気だった。いや糞の匂いと言っても良いだろう。
「うわぁぁああああ!どうした!胡瓜!」
周囲が騒ぐ!
だが、それは他人事ではなかった。店の一番端の客も同じく身を固めて震え出し、そして嘔吐した。黒い液体を、臭い臭い液体を…。
一方で胡瓜は、そのまま倒れこんだ。この時点で息をしていない。息をする筈の肺が解けたのである。いや食われたと言うのが正しいだろう。
ドンと地面に倒れこむと、マリオネットのように、ぐにゃぐにゃになった。この時点で筋肉は弛緩し、いや、もう20%が喰われていた。
その匂いに皆耐えられなかったが、逃げ出していく客が次々倒れていく、そして、どす黒い反吐を出す。地面に広がる。
店主は、驚愕に発狂寸前だった。
「なんだぁぁっぁあ嗚呼嗚呼嗚呼あくあぁうぁああああぅごあるけおらぅどぅううおあ!」
するとである、排水口から臭い匂いが吹き上がった。周囲は硫化水素濃度が急激に上がっていた。
「うあぁぁぁあああぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅ」
呼吸が出来ないほどの硫化水素濃度となっていた。
それは天津怪獣の何より重要な大気だった。毒ガスだった。
排水口から、噴水のように黒い液体が噴出し、霧となって、周囲に広がった。
店主の顔は、黒い液体により真っ黒になったが、それが立ちながら、生きながら、店主を侵食、捕食、消化して、上から体のあらゆる部分がふにゃふにゃになり、体表面の皮膚をのぞいて、黒い液体に変わって行き、そして、周囲に溜まっていった。
ひとしきり、騒ぎが終わると、誰もいない、店の周りや中には、脱ぎ捨てられた様な、人だった皮膚が、黒い液体の上に揺らめいていた。
そして、それは暫くすると、周囲から立つあぶくの中で膨らんでいくようだった。
まるで、黒い液体が風船のように、皮膚を載せたまま膨らんでいった。
それは、天津怪獣そのものだった。
天津怪獣は復活したのだ。
いや、元々死んでいなかった。
そう、…再出現したのだ。
その様子は虫獄の腰抜け集団警察、群警察、そして虫獄儘罠抑圧群が設置した監視カメラに映されていた。
彼等は、楽観の塊で、天津怪獣はCNNのCGである。でまかせと信じ込んでいた。全く疑っていなかった。
だが、天津怪獣はいるのだ。
しかし、世紀の無能。無能中の無能。無能中の武曾。曹武曾は信じなかった。
「誰だ!これも…なんだ!手の込んだ、ごまかしだ!嘘だ!ワシは騙されんぞ!騙されてたまるか!」
ほぼ逆切れの発狂、いや火病だった。
馬鹿は、止せば良いのに、最悪の現場に、ノコノコ馬鹿面を突っ込みに行ったのだ。
喜劇が始まる。悲劇が始まる前に…。。。。。。。。。。。。。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます