2-2.ネコババ処理の結果
例の如くの処理だった。
高速鉄道をどうしたか?
天津爆発をどうしたか?
誤魔化して隠すのである。
それは弥縫策の最たるものだった。
つまり小手先技である。
場当たり的の最たるものだった。
それは虫獄狂惨盗悪府の伝統であり、馬鹿丸出しだった。
これを称して、猫が自分の排便を隠す行動から「ネコババ処理」と日本では言われている。
例の怪獣の足跡である黒い液体は、水をかけても消えないから油をかけて火を点けて燃やした。
圧倒的な周期が周囲に広がる。
それで喘息を起こす兵士も多発した。
だが曹武曾無能将軍こと大佐殿は、
「たるんでいる」
「気が緩んでいる」
「党への忠誠が足りない」
「日頃の鍛錬が糞だ!」
と口舌では最強なのだが、実際現場に出向くと、反吐を吐き、咳き込み病院へ送られた。
それを上層部から「仮病か?」と言われると、そんな事は無いと、酸素マスクを常に寄り添わせて現場に出た。
しかし、無能代将軍曹武曾大佐は見当違いのトコロで動いていた。
天津は爆発し尽くされていない。
壊れたのはホンの30%程度で、焼き尽くされた場所以外が多いのだ。もっとも半分は程度の差こそあれ破壊はされているが…。
今回の怪獣騒ぎは、その外縁で起きただけで、一般生活とは関係が無い…ように思われていた。
それは虫獄儘民が「馬鹿」で「愚か」だからである。
根本的に頭の悪い、虫獄儘罠抑圧群の火病丸出しの攻撃は、天津怪獣を形式上破壊し尽くしたように見えた。だが、他の国は、天津怪獣の正体は、細胞の群態であると見ていた。
それを爆破させるのは、エボラの患者を銃撃し、血を飛び散らせて、射殺して、処理完了したと言うようなものだった。
世界の首脳は影では「馬鹿が最低の手を打った」と囁き合った。
散らばった細胞は、その多くが「仮死状態」となって干上がっていた。
だが、これらは古代細胞にありがちな「不死細胞」である可能性が高かった。
生き残った細胞の幾ばくかは、なるべく大気に触れない場所で生き延びたモノが居た。
その場所が、虫獄の極めて虫獄的なものである。
それは「下水道」である。
虫獄儘罠抑圧群の火病攻撃が終わって3日が経過した。
つまり下水道では3日間、天津怪獣の本性である、細胞が、最も心地良い環境の中で保存されていたのである。
この手の生物は、自分の増殖を加速する環境を作る事があり、実は、天津怪獣は、下水道の中の生物を全て捕食しては、腐敗菌を集らせ、硫化水素を発生させた。一方で腐敗菌でボロボロになった虫やミミズなどの生物を食べていった。
鼠などは、硫化水素で一発で窒息死した。それも大切な食料である。
そして、天津怪獣細胞にとって最も有り難い物。それは下水油(地溝油)であった。
酸素が残っている場所では、この油で身を守りながら進み、その後、硫化水素を充満させ、酸素を追い出すのである。
天津周辺では、予てより臭かったが、輪をかけたように、悪臭が広がる事を口にする人々が多かったが、天津爆発の死体か何かが腐敗したのだろう?と言う実に愚劣で虫獄儘の単細胞結論で終わった。
しかし、端緒は色々現れていた。
虫獄狂惨盗悪府の一番の言い逃れは虫獄は14億匹も代わりが居ると言うゲスの馬鹿の外道ならではの寝言だった。人権を虫獄に分からせる事自身は「徒労の最たるもの」である。
その虫獄品性が、問題を大きくした。
この頃、天津周辺では、人が徐々に消えて行ったのである。
先ずは清掃関係者、下水などの汚れた場所の清掃をしている虫獄儘が居なくなっていった。
しかし、これは虫獄では良くあることだ。辞める時はさっさと辞める何を言わずに…。
だから、身内以外の存在は誰も気にしない。その結果、実態が分からなくなっていた。
この件で一番最初に逃亡したのは横柄無能の醜悪ゴリラ顔の馬糞龍二である。
早々に逃げ出したのだが、自分は逃げ遂せると思い込んでいた。
だが、今となっては、その服しか残っていない。
空しく、焼けた天津の地の端に、薄汚い馬糞龍二と縫いこまれた軍服と靴の一式で、それは置かれていた。
そして、黒い臭い液体と共に…。
まだ、誰が何処に居たか?を分かる分マシだったのだろう。
清掃業者は、その服が下水を流れて、何処で何があったのか?分からない有様だった。
そして硫化水素は、増えることはあっても、減る事はない。
第二回の中間発表的なものを天津の駐中日本領事館で行われようとしていた。
三人の科学者は睡眠もソコソコである。
「どうなんだね?」
と労いより先に、大使殿は、状況を問うた。
コイツ!と三人は顔を顰めた。
この会議は衛星電波を使った、テレビ会議でもあった。そんな中自らの下劣さを平気で披瀝する大使に参加者は全員辟易した。
「天津は最前線でまとめをやって頂きたいので、情報は我々が先ずご提示申し上げます。と言うか…」
それらは、書面として渡されている。だが、殆どはデータである。大使殿はさっぱり分かっていない。その当たりもイライラがつのっているのだろう。
実は会議というほどのものではない。どちらかといえば大使を始めとして、科学を分からない面々向けの説明である。
「では、我々岡崎生物研究所からの報告を致します。我々は、細胞の等価性を確認すべく、同等の確証試験を行いました。」
「二度手間だな」
と偉そうにホザク馬鹿大使。全員がイラついた。
細胞の試験は、特に、何か分かっていない場合、渡された細胞の挙動を確認する必要性があった。その為、今までの報告された内容が同等であるか?を確認してからの、新しい試験となる。
岡崎生物研究所の猪俣主任は、馬鹿を放って置いて先を続けた。
「同等の現象を確認、また、遺伝子分析を細かく実行。その結果、該当細胞は、その85%が豚の四倍体の遺伝子を持つ細胞で、残りは羊でした。通常の遺伝子もありましたが、二倍体、三倍体も確認されていますが、小数です。」
「豚か…、でもなぜ豚が?」
「一番豚の死体が捨てられたからでしょう。特に内臓は処理に困っていたから、多くの細胞は臓器のものだと思われます。虫獄では豚の内臓を食べる習慣もなく、また、有鈎条虫などが虫獄の豚には多く、内臓を食べた者は往々にして寄生されます」
「有鈎条虫?」
「最低の寄生虫です。脳が根こそぎ食い尽くされる奴です」
北村が囁く。
「今の所、細胞の挙動を調べましたが、どうも、ある種の特定機能しか持たないと思われます。」
「何だね?」
「消化液の分泌と、それにより溶かされた栄養の吸収です。残りの機能としては、細胞同士の結合程度しか見られません。」
「消化液はどの程度のものですか?」
迎居が問う。
「腸液と胆汁に似たものでした。」
「膵液ではないのですね?」
「そこまで強力ではないようです。胃液より強力な程度で、それ以上の能力は無いものと思われます。」
「膵液とは、強力なのかね?」
大使殿の素朴な疑問だったが、既にブリーフには書かれている。
「強力です。一番強力な消化液です。でも、腸液程度で、ああまで簡単に人体が溶かされるのは、どうも…釈然としません。」
「疑問は尤もです。我々も、色々調べましたが、手に入る試料では、消化能力は、さほどの能力はありません。手元の写真にあるものは10時間付け続けたものです。」
「これを溶解とは言いませんね…」
迎居も意外だった。
「こちらも食べ易いものを用意してやってみました。」
「何を?」
北村である。
「これは昆虫です。特に蝿や蛆虫、ゴキブリなどが好みのようです。」
「虫獄儘は蝿やゴキブリ並ですか?」
迎居が吐き捨てる。
「この点に関しては、我々は我が国の国民の問題を調べる事が最重要です。他国の人種のサンプルは、この大分後に行う予定です。」
「虫獄儘は?」
大使が聞く。
「極めて政治的であり個人的な見解を根拠とした問題が発生する可能性がありますので、一番最後という事になっています。」
「おやおや?」
全員が、極めて穏当な判断を聞かされ納得した。
「世界中が同じ傾向で、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、ロシア、その他、各国で、自国の細胞で溶解試験を行っています。」
「その結果は?」
「フィリピンとベトナム、それとミャンマー、シンガポールでは、そこの人体細胞に強力な影響を見せるものがあると聞いていますが、データはまだです。」
「人種によって、溶けるものと溶けないものがある?」
「じゃぁ尚の事、虫獄儘の細胞が…。」
「火中の栗を拾ってやるほど、皆、親切ではないようです。」
「じゃぁ虫獄儘だけが、この天津怪獣に食べられるのか?何故?」
「ゴキブリと蛆虫と蝿の同類なんだろう?」
「生物汚染じゃないだろうか?つまり細胞的に虫獄儘は汚染が染み付いている…」
「そうだな…、虫獄の汚染レベルは常軌を遥かに逸した状態だ。大気も…、水も…、」
「一つ間違えると人種差別だな…」
大使が珍しくまともな事を言う。
「しかし、特定遺伝子を持つ民族は確かに存在しており、それは差別とは言いません。」
「実際ATLはアジア人に多い感染症です。」
「問題は、多分DNAが、あの汚染で変わった可能性がある。それが問題だろう。ベトナムもシンガポールもフィリピンも虫獄との関係が強い。それがDNAの交配が、或いは荒廃が進んだ可能性はある。」
「環境からの虫獄儘への復讐…か…」
全員の口が止まった。
「対策はあるのかね?」
言わずもがなでブリーフにも書かれているが大使殿は読まない。
「対策は極めて穏当です。連中は硫化水素の中では無敵ですが酸素があれば直ぐに死滅します。」
「何だ!そんな事か?」
「日本では十分可能でも虫獄では絶望的です。」
「そんな、硫化水素事故は、そんなに沢山あるのか?」
「我々は今自分達の領域の硫化水素濃度を調べては居ますが、虫獄は、それを放棄しています」
「何故?」
「理解しないから、意味が分からないから、それと市民に不安を与えるのが怖いから…、こんな所でしょう…。」
「馬鹿な!それじゃ馬鹿じゃないか?」
お前もそうだよ…、と大使殿に皆の視線が向いた。
「他にも、酸素をかければ、この細胞は死滅します。その他、消毒薬、酸化剤も有効です。」
「消毒薬か?」
「イソジンより、オキシドールが良いでしょう。」
「怪我の手当て程度のものか…」
「基本的に、こういった問題は、基礎を押さえることが重要です。手を洗うとかうがいをするとか、こんな基本的な事も日本でしか通用しません」
「じゃぁ簡単に終わるな…、全く、何が天津怪獣だ!」
「…、ですが、ここは虫獄、天津市です…」
「何を言うんだ!虫獄儘だって馬鹿じゃない!これぐらい出来るさ!」
「いえ、文化に無ければ手も洗わず風呂にも入らない。キリスト教徒は1500年の間風呂に入りませんでした。エリザベス1世は月一回の入浴を潔癖症と謗られました。これが人間の愚かさです。文化の奴隷である事を、文化によって、妙な調教が知らずと成される事を考えると…。」
「…、まっまさか?」
「とりあえず、今、一番単純で簡単な硫化水素の濃度も、現在天津市防衛士官、曹武曾大佐は一笑に付して、取り合ってくれません。」
「しかし…、それを、このままにしておくと…。」
「食べないと決心した者は、口を開いて食べ物をねじ込んでも吐き出すんです。我々は、連中に、これ以上何かする必要はあったとしても、義務はありません。」。。。。。。。。
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