図書館で借りた本
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嫌われた監督
以下、自分用メモとして
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よくファンのために野球をやるっていう選手がいるだろう?
あれは建前だ。
自分がクビになりそうだったら、そんなこと言えるか?
みんな突きつめれば自分のために、家族のために野球をやってるんだ。
そうやって必死になって戦って勝つ姿を、お客さんは見て喜ぶんだ。
俺は建前は言わない。
建前を言うのは政治家に任せておけばいいんだ
「あんた、嫌われたんだろうねえ」
室内の沈黙を破るように、隣にいた夫人が笑った。
その声につられて落合も笑った。
だが私は笑えなかった。
微かに戦慄していた。
落合という人物の根源を目の当たりにした思いだった。
理解されず認められないことも、怖れられ嫌われることも、落合は生きる力にするのだ。
万人の流れに依らず、自らの価値観だけで道を選ぶ者はそうするより他にないのだろう。
監督としての八年間だけではない。
野球選手としてバッターとして、おそらくは人間としても、そうやって生きてきた。
血肉にまで染み込んだその反骨の性が、落合を落合たらしめているような気がした。
そして私を震えさせたのは、これまで落合のものだけだったその性が集団に伝播していることだった。
いつしか選手たちも孤立することや嫌われることを動力に変えるようになっていた。
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落合博満の内面を深く掘り下げた名著。
一気に読了。
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