痛んだまま放置されている掛軸についてはついつい修復したくなるのが、当方の悪癖のようです。今回も以前に改装の例としていた作品ですが、きちんと?修復した際に保管箱を誂えたことと作品について資料を追加したので投稿します。
*真贋は不明の作品とご了解願います。
婦人愛児図 伝上村松園筆
絹本着色軸装 軸先 誂太巻上箱+塗二重箱
改装前:全体サイズ:横525*縦1973 画サイズ:横409*縦1130
改装後:全体サイズ:横*縦 画サイズ:横*縦
改装 25,000円 軸箱新調 太巻+上箱+二重箱+多当紙 30,000円
最初の本作品の投稿でも説明のように保管箱もなく、表具も痛んだ状態での入手です。
同じような画題の作品は上村松園の初期の作品に多々ありますね。
出来として稚拙な部分がありますが、ところどころに後の松園の画風となるものがあります。
絵の本体は絵の具の剥落の恐れがあるので、染み抜き等の処置はしていません。
胡粉の部分はすでに少し剥落しています。
模倣作品としてもよくできている方のようです。
表具は美人画風に仕上げています。
軸先は陶磁器。
剥落がすすまないように太巻の保管箱を誂えています。残念ながら共箱ではありません。
印章の落款の検証は下記の写真のとおりです。
参考として作品は下記の作品です。
加島美術出版 美彩21号(販売目録 2017年4月)掲載 NO295
姉妹の図 上村松園筆
東京美術倶楽部鑑定書付 絹本着色軸装 軸先 共箱
改装前:全体サイズ:横550*縦2010 画サイズ:横420*縦1100
明治36年頃作のようです。
上村松園の子息である上村松篁が生まれたのが明治35年ですね。
実に愛らしい作品。
やはり本物は違う・・・。
この作品はさすがに名画・・・。
印章や落款にこだわるより、作品自体の出来を見極めないといけませんね。このような経験を経て、いい作品を入手できるようになりたいものです。今回は資料的な作品として投稿しています。
*このブログは蒐集に際してどこでも見れるという利点があり、本ブログの目的はあくまでも当方の電子化された資料のまとめです。よって後日判明したことや資料はどんどんと追記されています。時には本日のようにブログの記事を追記しています。
**調べることが多くて現在では1年先まで当方予定の資料がたまっていますが、投稿していない記事も当方で検索できるのはとても便利ですね。ただし読まれる側には拙速な文ですので、稚拙な表現や意見の食い違いなどはご容赦願います。