夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

辰砂釉曾呂利

2013-01-26 06:19:54 | 陶磁器
最近の建設業界の問題をあえて挙げるなら3点に絞られます。
1.過度の価格競争
2.現場力の低下
3.作業員不足

1.「(ゼネコンによる)過度の価格競争」は発注先先にとってはいいことかもしれませんが、ゼネコンのしわ寄せが下請まで波及し、社会には悪影響しかありません。設計側は予算オーバーの設計をし、安値でゼネコンに押し付けることが常態化しています。ゼネコンは妥当なる価格にて競争すべきところを、価格競争にて淘汰を望んでいるがごとくの状況が続きました。しかし競争したゼネコン自体が淘汰されずに低価格で受注せざる得ない非力な下請けから淘汰されているという皮肉な結果になっています。官庁,ましてや民間も妥当な金額を査定できる機能が存在していないことも問題です。ここはゼネコン自体が姿勢を正し、一社一社が各々、毅然とすべきでしょう。ゼネコン同士の受注競争の遺恨があるのも事実でしょうがそろそろノーサイドとし、過度な価格競争に終止符を打つべきでしょう。

2.「現場力の低下」を言われ続けてはや20年を経ようとしていますが、現在はかなり深刻のようです。とくにリードすべき大手ゼネコンが如実に顕在化してきているようです。技術開発は予算が縮小され、ベテランは定年でどんどん現場からリタイヤし、現場も減点主義で魅力が失せ優秀な社員が少なくなっています。各大手ゼネコンにおいて現場の状況を把握していない施策によって、もしくは経営状況から施策を打てずに現場から人材が離れています。現場を魅力あるものにしていかないと日本のモノづくりの原点がまたひとつ失う可能性があります。ここは優秀な技術者を囲い込む真摯な努力が必要です。

3.作業員が不足しています。とくに型枠大工、鉄筋工など熟練を要する作業員が足りません。原因は低収入に尽きます。働けど生活保護による手当より安いのではなんともなりません。組合を作るなりして守るべき職種でしたが、あまりにもまとまれない会社が多すぎました。民主党による「コンクリートから人へ」などという聞こえがいい無策な政治によって、ますます職人は現場を離れました。基本は安定的な収入を増やしてあげることしかありませんが、今のままでは望むべきもありません。

安値受注を避け、きちんとした仕事を行い、妥当な報酬を配当することです。ようはバランスです。とにもかくにもバランスを崩している今の建設業の構造は簡単には立ち直れません。はてさて生き残りに難しい状況は続きます。

本日は実にバランスのとれた作品の紹介です。陶磁器の美観のひとつにその形の美しさと色の美しさのバランスと言うものがあります。その中で一番難しいのが鶴首の花入れではないしょうか?

「そろり」というと紹鴎所持の天下無双の名物が著名で、この美しさに敵うものはありません。その鶴首花入れに辰砂という釉薬で古銅の感触まで出している本作品には緊張感のある美しさがあります。

さていつ頃に誰が製作したものやら・・。そういえば、辰砂の花入れが「なんでも鑑定団」に出品されていたことがありました。この作品は形がよくなく、私としては好きになれない作品です。中国ではこの手の美しさは出せないとも思えるので日本製の可能性も否定できません。

本作品の箱書きには「唐物 辰砂 曽呂利」とあります。


辰砂釉曾呂利
口径20*胴径111*底面径54*高さ244 箱入



全体に「ぞろり」とした姿なのでこの名が出たといいます。このような単色の姿、釉薬の美しい作品は模倣品であれ、貴重な作品となっているのが現状です。




今から180年くらい前の中国清王朝景徳鎮の官窯の作品かもしれません。銅を呈色剤とした真っ赤な辰砂を中国人は牛血と呼び、現在では単色の焼き物は貴重で珍しくなりました。



そろり(曾呂利):「ぞろり」とも、金物で作った花入れの一種。胡銅製で首の部分が細く無文のもの。昔紹鴎所持の天下無双の名物が著名。

入手できませんでしたが、青色の釉薬で同時期の作品もあります。



高台内の銘などから民窯の作と思われます。




単色の作品はいくつか本ブログでも紹介しました。撮影がうまくありませんが、単色の陶磁器もなかなかいいものです。

黒釉玉壺春瓶 
胴幅133*高さ275

天青色釉瓶化粧箱入 口径45*胴径約100*高さ190

瓢形花生 大清乾隆年製銘 
合箱 下胴径125*上胴径85*口径20*高台径64*高さ230





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