郷里出身の画家、平福百穂の作品。当方での平福百穂の作品も百点を超える蒐集になってきました。
今回の作品は門下生の島田柏樹による鑑定箱入りの作品です。
函嶺路 平福百穂筆 その111
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 島田柏樹鑑定二重箱箱
全体サイズ:縦1940*横470 画サイズ:縦1120*横300
本作品をいつ頃描いたのかは定かではありませんが、落款の書体からは大正5年から10年頃かと思われます。
平福百穂に関する当方の限られた資料からは箱根を平福百穂が訪れたという記録は見当たりません。
ただし平福百穂の記録では昭和2年(1927年)8月23日~9月20日まで熱海の久邇宮家別邸(現在はホテル:当時の当主は久邇宮邦彦王)に滞在して襖絵「巌頭千鳥」、「むら千鳥」を描いていた時期があり、熱海と箱根は近いことからこの時期かとも思われます。ただし当方の推測では落款の書体からは大正期と推定していますが・・・。
なお印章は朱文白円印の「穂」で珍しいものですね。
箱書きや作品中の落款と印章は下記のとおりです。
平福百穂はマークのように「穂」を描いている印章を時折使います。通常は手書きが多いのですが、この印章は印のようです。非常に珍しいですね。
平福百穂の門人の島田柏樹による鑑定箱書ですね。こちらの鑑定は間違いのないものと判断されます。
資料としては貴重な作品となります。
郷土出身の画家に関しては、蒐集がマニアックになりすぎるないことには留意しながらも、資料として参考になるものは蒐集品に加えています。
調べた記録は本ブログの投稿とともに、記録書類として作品と一緒に遺すようにしています。