この本は,アメリカのアマゾンではベストセラー。しかしながら,日本ではまったく紹介されていないに等しい。
僕は,仕事上高校理科に触れざるを得ないことがある。不可解なのは,物理や数学のように「解明されていること」を「専門用語」を使って解説する学問と,「未知の部分」を「ヨコ文字」で誤魔化しているとしか思えない学問があるということだ。
もちろん学問だから,未知の分野を知るのも重要。「いまはそういう考えが主流なのか」「いまはそこまでしかわかってないのか」などなど,数学でいえば「フェルマーの最終定理」だって,証明されたのはつい最近ではないか。
数学嫌いな人の気持ちもわかっているつもりだ。いわく「抽象的概念を想像するのが難しい」という。では,具体的であれば学問はわかりやすいのだろうか。具体性があればそれでよいのだろうか
進学するにあたって,結局「ここ」を深く考えておくかどうかも重要な「学び」であると思う。なんでもいいから大学行っとけばよい,という単純な話は20世紀で終わったのだ。雇用システムが変わったいま,間違っても高校3年のときの常識や仕事が4年後にどうなっているかなんて想像すら難しい。
必要なのは基礎力。基礎と基本は異なり,基礎は揺るがない。揺るがないのは考え方。計算法を忘れても考え方を覚えておくのが重要な受験対策,とは自身の受験時に教示されたことだったが,仕事でもなんでも「根本原理」を理解しないと先に進まない。
上記のような考え方をすると,グレタさんを始めとする「地球温暖化CO2悪玉説」を唱える人々の思考回路が理解できない。そもそも明日の天気予報が外れる。地震予知が出来ない。なのに,はるか先の「気候変動」だけはわかるという理屈がおかしくないか
この本がベストセラーになった理由は,米国人の多くが「クライメート事件」をきっかけにIPCCをまったく信用していないことが背景にあるだろう。日本だって,不祥事を起こした企業の多くがその後も苦戦するように,イメージというものは非常に影響する。
広瀬隆さんによって理解した「地球温暖化説のウソ」があり,僕はこの手の本を何冊も読んできた。同時に,高校教科書がいつまでたっても外来種をスケープゴートとし,たとえば河川の氾濫・地形変化がアユの遡上を阻んでいる理由など,本当に知っている漁業関係者ぐらいしか真実を語らないし,取材などされない。
興味のないことは辛い。これもまた事実。しかし,苦痛ではあっても最低限知っているべき情報というものもある。
このようなジレンマ解消に,ぜひこの本を手にとってみてほしい。