一期一会の日々

日々のあれこれ

阿佐ヶ谷の夜

2019-05-19 03:16:27 | 飲み屋

先週の土曜日、阿佐ヶ谷神明宮能楽殿で行われた薪能へ
大鳥居から表参道に入り、ほどなくその右手に位置する能楽殿は
緑豊かな中にたたずみ、演目を待つ間、
西日が徐々に舞台の鏡板の松の絵に差し込み神々しい
能講座受講生による子どもたちの発表が第一部。
そちらを終えると、本殿の方から参った巫女さんが松明をかざし、
薪に火をくべると、いよいよ第二部の始まり
狂言は蝸牛、お能は高砂。
仮設席だから、脇正面から舞台を挟んで対面にも座席の設置。
そこに座ってしまったばっかりに、
前の方の頭だけでなく、柱が重なってほとんど何にも見えない
高砂の途中から離席し、正面から続く座席の後方に立ち見した。
全然見え方が違い感動…だったが、
微動だにしない真正面に立つスーツ姿のスタッフが視界に入り、
その真後ろでは薪が風にあおられ飛ばされる火の粉を団扇で仰ぎ返す私服スタッフ、
そして、玉砂利の音を立てながらトイレに向かう観客が行ったり来たり
前列で座っていた時の厳かな雰囲気からは全く予期していなかった
カオスな時がお能と同時進行に流れ、思わずハンカチで口を押え
笑いをかみ殺してしまった
それでも日も暮れ、このような空間で味わった伝統芸能は
やはり素晴らしく満足いくものだった

終了後は誰よりも大鳥居を先に潜り抜け、「大黒寿司」へ。
特上にぎりと、お刺身盛り合わせを浦霞などの日本酒でいただく。
お寿司もお刺身も何故か時間がかかって、お酒ばかりがすすんでしまった。
お腹を満たした後は、店を出て右手にある古書店へ。
しばし本の世界を彷徨い、いよいよ夜の阿佐ヶ谷界隈を練り歩く
気になっていた鳥久に直行したが、もう終わりと暖簾を下ろしていた
一周して結局何となくいいかもと目星をつけていた
駅からすぐの「あずさ」へ。
扉を開けると、ママさんと同時にカウンター奥にいらした
間違いなく常連さんにいらっしゃい! いい店に来たね!と声をかけられる。
手前奥にはもう一人の常連さん。
お二人の間、カウンターのセンターを陣取ってほっと一息。
飲みたいもの何でも言って!のママさんに、では梅酒をとお願いしたが
ないわぁ~…。で、また日本酒を。
お腹空いてる~?と聞かれ、ハイと答えると小鉢をどんどん出してくださる。
両サイドの常連さんとママさんとほどよい空間の中
阿佐ヶ谷へようこそ!と歓待を受けながら楽しくお喋り
本日夕方4時から飲んでいる、すっかり出来上がっている方の常連さんからは
都合3度思い出したように、それにしても随分きれいな人だなぁと言われ、
酔っ払いの戯言でも悪い気はしない
ママさんからは女性のお客さんこそ気持ちよくもてなして
笑顔の時間を過ごしてほしいと、安心安全のお言葉
聞くと、このママさんは週の中で土日の二日間担当。
月火木金の四日間は、オーナーの娘さんが担当。
そして水曜はママさんと同い年ぐらいの方が担当。
そう、お店という器は一つでも、3つのお楽しみが用意されている
珍しい飲み屋さんだった
  なんかよいわぁ~
よそ者扱いせずに、あったかく総出で迎えてくれる感じ
またふらっと寄ってみたいお店になった

阿佐ヶ谷の夜、思っていた以上に堪能した
楽しかったなぁ

 

 



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