パピとママ映画のblog

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ガラスの城の約束★★★★

2019年08月07日 | アクション映画ーカ行

「ショート・ターム」のデスティン・ダニエル・クレットン監督とブリー・ラーソンが再びタッグを組み、アメリカの人気コラムニスト、ジャネット・ウォールズのベストセラー回顧録を映画化。夢や理想ばかりを追い求め、ほとんどホームレス状態だった破天荒な両親に振り回され続けた壮絶な子ども時代と、そんな両親に愛憎入り交じる複雑な感情を抱える主人公の心の軌跡を綴る。共演はウディ・ハレルソン、ナオミ・ワッツ、マックス・グリーンフィールド、セーラ・スヌーク。

あらすじ:1989年、ニューヨーク。“ニューヨーク・マガジン”で活躍する人気コラムニストのジャネット・ウォールズは、真面目な青年デヴィッドとの結婚を控え、仕事もプライベートも順調な日々を送っていた。そんなある夜、車道に飛び出してきたホームレスの男性と遭遇したジャネット。なんとその男性は彼女の父、レックスだった。自由を愛し、夢ばかりを追い求めていたレックスの下で、ジャネットたち姉弟妹は学校にも通わせてもらえず、夜逃げを繰り返す流浪の生活を強いられていた。画家の母ローズマリーは、レックスに輪をかけて生活力がなく、ほとんど育児放棄状態。それでも両親は両親なりに、子どもたちに愛情を注いでいたのだったが…。

<感想>「自分らしく生きる幸せ」を教えてくれたのは、大嫌いだった父。家なき両親を持つ女性セレブ、実在の人気コラムニスト、ジャネット・ウォールズの物語である。15年公開の「ルーム」でアカデミー賞主演女優賞に輝き、最近では「アベンジャーズ」シリーズに、キャプテン・マーベル役で参戦。今や名実共にハリウッドのトップ女優となったブリー・ラーゾンが主演を務めた本作。その衝撃の過去と自立のドラマである。華麗なセレブとして有名な彼女が、自らの衝撃的な過去を綴り、大反響を呼んだ全米ベストラーの映画化であります。

映画は出版業界で成功を収めたジャネットが、NYの街角でホームレスをして落ちぶれた両親と再会するところから始まる。ジャネットの婚約者でエリート金融マンのデヴィッド。マックス・グリーンフィールドが演じている。ジャネットの家族と対面するシーンでは、世間の常識とはかけ離れた一家の振る舞いにドン引きしてしまうのだ。横柄な態度の父親が、ジャネットに金をせびるシーンは、うんざりする。こんな親とは縁を切りたいものだ。

実は4人姉妹の次女として育ったジャネットは、酒浸りの父親レックス、絵描きの母親ローズマリーのもとで過酷な極貧生活を経験して、その地獄のような日々から脱出して、今の地位を築き上げたのだった。つまり、逃げ出してから高校や大学へと、働きながら奨学金をもらい大学を卒業する。他の姉弟妹たちは、學校へはいっていない。

気まぐれな両親に翻弄されつづけ、田舎を転々としたジャネッとの少女時代は、まさに毎日が戦争のようだった。本作では、痛ましい過去と向き合ったジャネットが、粗暴だが優しさにも満ちていた父親との関係を見つめ直していく姿を描き出していく。

ヒロインの自立と心の救済、そして家族愛といった多様なテーマが込められた、波乱万丈のドラマなんです。その心揺さぶる行く末を見届けて欲しいと思います。

ジャネットの父親は手のつけられないほど酒癖の悪いトラブルメーカーだが、科学や哲学などの豊富な知識を持ち、娘たちに多くの知恵を授けた。演じているのがウディ・ハレルソン。

母親のローズマリーには、ナオミ・ワッツが扮しており、子育てや家事よりも絵画を描くことが大好きで、そちらを優先して何もしない芸術家肌の女性である。描いている絵は、そんなに巧くなく、売れる絵ではない。ただの道楽、子育ても長女に任せて、一番下の子供は生まれたばかりなのに、長女が母親代わりで、食事の世話もお金がないので、庭や森の中を散策して食べられる物を探して調達する。

子供たちは、お腹が減ると家の中にあるものを、鍋で煮込んで食べるのだが、ジャネットが4、5歳のころに踏み台に乗り、鍋でパスタを茹でている時に、体のお腹の部分にコンロの火が移り燃えてしまい、大やけどを負うのだ。そんな時でも、一応は病院へ連れて行くも、支払いが出来ないので、治療途中で逃げ出すのだ。だから、ジャネットのお腹あたりには、大火傷のケロイド状の跡が残っている。

少女時代のジャネットは、定職を持たず、生活が行き詰まると引っ越しを繰り返す両親に振り回されっぱなしだ。父親は働きにもいかず、妻の絵を売りにいき酒を買い、アル中状態。家もない時には野宿をする。だから、金もないので、スーパーへいくも万引きをして戦利品を並べて、子供たちは腹を満たすのだった。着ている服は教会で支給される古着だ。

デスティン・ダニエル・クレットン監督とそのスタッフは、まるで根無し草のヒッピーのような一家の生活ぶりを、山奥にポツンと建つ、廃墟のようなあばら家のセットなどを駆使して表現。ジャネットにとっては悲惨でありながらも、かけがえのない日々の思い出が彩り豊かに映像化されていた。

物語のキーマンとなるレックスを演じたのは「スリー・ビルボード」などの実力派俳優ウディ・ハレルソン。迷惑な奇行を連発する半面、4人の我が子には惜しみなく愛情を注ぐ複雑なキャラクターを、強烈なるインパクトで体現していた。親として自分は絶対に悪くはないと断言している。

また本作の題名に含まれる“ガラスの城”は、家族のためにいつの日か「ガラス製の家を建てる」と宣言するレックスの、途方もない夢からつけられている。つまりは、家の中が丸見えのスケスケの家でもあり、壊れやすいガラスで建てられている家なのだ。

そんな森の中の廃墟のボロ屋暮らしをしている家族たち、家を抜け出したのは二番目のジャネットだけで、後の姉弟妹たちはその日暮らしを楽しんでいるようだった。だから、ジャネットがNYの暮らしから逃げ出して、またもや森の廃墟へ戻ったのは私には解せないのだ。それでも家族の絆と言えるのだろうか。いつの間にか、両親の暮らしが当たり前の生活だと誤認しているようにみえた。

この映画とよく似ているのに、ビゴ・モーテンセンが父親役をした「はじまりへの旅」があるが、こちらは父親と母親が教育にも、躾にも厳しく、世の中へ出ても立派な人間になるようにと育てていた。爪のアカでも煎じて飲んで見たらいいのにね。

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