パピとママ映画のblog

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狐狼の血★★★

2018年05月22日 | アクション映画ーカ行

人気作家・柚月裕子が東映やくざ映画の金字塔「仁義なき戦い」へのオマージュを込めつつ書き上げたベストセラー小説を「凶悪」「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督が豪華キャストの共演で映画化した衝撃作。暴力団同士の抗争が激化する広島のとある地方都市を舞台に、暴力団が絡む事件の解決に乗り出したマル暴刑事が己の信念のみに従って進める法律無視の過激な捜査の行方を壮絶なバイオレンス描写とともに描き出す。主演は役所広司、共演に松坂桃李、真木よう子、中村獅童、竹野内豊、ピエール瀧、石橋蓮司、江口洋介。

あらすじ:暴力団対策法成立直前の昭和63年。広島の地方都市、呉原。そこでは地場の暴力団“尾谷組”と、広島の巨大組織“五十子会”をバックに進出してきた新興組織“加古村組”が一触即発の状態で睨み合っていた。そんな中、呉原東署に赴任してきたエリート新人刑事の日岡秀一は、凄腕ながら暴力団との癒着など黒い噂が絶えないマル暴のベテラン刑事・大上章吾の下に配属される。すると赴任早々、加古村組系列のフロント企業の経理担当が失踪する事件が発生、暴力団絡みの殺人事件と睨んだ大上は、さっそく日岡を引き連れ捜査を開始するのだったが…。

<感想>原作は、まさに「仁義なき戦い」に触発されて書き上げたと言う、柚月裕子の同名小説。原作は読んでいませんが、女性とは思えない筆致による、そこに“東映イズム”を継承させたかのような物語だった。

冒頭での養豚場、一人の男がガラの悪い男たちに囲まれて、ブタの糞にまみれながらリンチを受け、そして、この物語の発端となる加古村組の金庫番の惨殺シーンである。いやぁ、もうエグくていきなりこんなシーンから始めるかと思ったら、このシーンが伏線となって、後半で主人公の役所広司演じる大上刑事が、まさにここで同じようにリンチを受けて殺され、海でドザエモンになって上げられるのだから。

主人公の大上は、ヤクザと警察の間で奔走する、ヤクザ以上にヤクザっぽいとも言えるダーティーな刑事ですが、それでも大上は一本筋の入ったかっこいい男なんです。

結果的に、汚い方法でしか正義を貫けなかっのが大上なんですが、どんな形であっても最初に抱いた正義感を貫きとおしたことにおいては、すごい男だなと。

その正義を継ぐ松坂桃李演じる日岡も、彼が大上のもとに配属されたのは、実はヤクザとの癒着が噂される大上を内偵するためであり、単なる相棒物語を超えた、そんなスリリングな関係性の中で、やがて“大上なりの正義=狐狼の血“が、若い日岡に継承されていくことになるのである。

他にも、初のヤクザ役で生一本な若頭を演じた江口洋介や、「仁義なき戦い」シリーズの“大友勝利”を彷彿とさせる粗暴のお化けの竹野内豊は、既存のイメージを覆して痛快だし、助平で滑稽な策士の会長役の石橋蓮司や、白石組には欠かせないピエール瀧はまさに適材適所であった。

女優陣にも、大上と因縁を持つクラブのママの真木よう子や、日岡といい仲になる女性薬剤師役の阿部純子が、何とも艶やかで、この一見、男だらけの写真の中で、しっかりとオンナの存在感を謳いあげているのも良かった。ここには映画を役者で観る“快感と悦びが満ち溢れている。

 

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