バイオレンス、コメディー、ドラマなど多彩なジャンルの作品を手掛けてきた三池崇史が監督を務め、『ROOKIES』シリーズなどの市原隼人を主演に迎えた本格アクション。不死身のヤクザの正体が実はヴァンパイアで、彼に憧れて極道の道に進んだ主人公が遭遇する思いも寄らない体験を活写する。脚本を担当するのは、三池監督作『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』『ヤッターマン』で助監督を務めた山口義高。型破りで豪快な展開に圧倒される。
あらすじ:亜喜良(市原隼人)は、これまで何度も命の危険にさらされながらも生き抜き、不死身だとうわさされるヤクザ神浦玄洋の舎弟となっていた。敏感肌でまともに入れ墨さえ入れられない下っ端の彼は仲間からも見下され、すっかりやる気も失せてしまう。そんな折、神浦を狙う殺し屋が放たれ、血みどろの争いの末ついに伝説の男は命を落とすが……。
<感想>先週の金曜日で最後だというので観賞してきた。三池崇史監督というと、ヒーローものからホラーに、そして3月の「風に立つライオン」といった心を揺さぶる感動作まで、どんなジャンルの映画も独自の世界の中で料理し、大ヒット作に仕上げてしまう。
しかし、今作では原作なしのオリジナルストーリー、さらにはヤクザに咬まれた人たちは老若男女みなヤクザになってしまうという、奇想天外すぎる設定とあって、アクション迫力満点の映画に間違いない。
映画の出だしでヤクザの親分リリー・フランキーに、とにかく圧倒される。何しろ、他の映画では走る姿すら見せたことがないのに、その彼が日本刀で敵の組員をバッタバッタと斬りまくり、刺客とキレッキレのアクションを炸裂するのだ。いくら銃で撃たれても死なないのに、おや?っと思い、それもそのはず、彼は極道にして吸血鬼体質だったという。
そして、市原隼人が演じる影山に噛みつくところでは、この世のものとは思えないおぞましい形相を見せつける。後はなるほどと、人外魔境のような下町風景の中に、カタギよりヤクザばかりが世界中から、馳せ参じてくるドラマの中に引き込まれ、つい乗せられてしまった。
主演が「神様のパズル」の市原隼人なのだが、最強伝説を持つ神浦組の組長リリー・フランキーの遺志を継いでヤクザヴァンパイアとなった市原隼人が、刺客たちの戦いを通して覚醒していくこの物語。今回は更なる肉体改造をし、三池組で暴れまくる。市原隼人の純粋さとタイトな肉体が、その方向性にジャストフィットしていて良かった。
さらには「ザ・レイド」シリーズに出演していた、インドネシアではかなりの知名度を誇るヤヤン・ルヒアンが適役の狂犬として登場する。それから、銃を巧みに使う“テイ龍進“扮する、伴天連という棺桶を背負い、黒い帽子にコートを身に付けた殺し屋も出てくる。
神浦の右腕で、アニキ肌の性格。ひそかに国際進出を目論んでいる膳場壮介の高島。ビニールハウスで変なものを育てている“高島礼子”もそんなことをしている場合か。
それと、神浦が吸血欲求を押さえるために、小料理屋のオヤジ、“でんでん”から特別に血を分けてもらっている。
羅漢組の組長の“ピエール瀧”、神浦組を潰すためなら、手段は選ばない凶悪な男。
それに、ラストに突如現れる最強の殺し屋が着ぐるみのカエル(中に入っているのは、空手の有段者だそうです)。というかカエルに河童まで出てくるストーリー展開そのものが、クレイジーでくだらなく予想できない映画であった。
激闘に次ぐ激闘、そんな中でヴァンパイア・ウィルスが毘沙門通りに蔓延しはじめる。どの画面も熱気がこもり、この面白さはただごとじゃない。例によってガトリング機関銃もちゃんと出てくる。
しかし、三池監督が助監督時代に親しんだ日活撮影所で撮っているからなのか、原点回帰の清々しさがあると思う。最近の三池監督作品「風に立つライオン」を観ると、余分なものを削ぎ落とし、素朴で純粋な映画の力で勝負しているように思えたから。だから、構図もカット割りもタイトでかっこいい。
ヤクザヴァンパイアに咬まれた人間はすべてヤクザ化してしまうという設定を聞いただけでも、三池監督マニアならば誰もが、極道、血、抗争、アクション、そして笑いという、彼の歴史を語る上で欠くことのできない重要な言葉を想起し、逸る気持ちを抑えきれないことだろう。
ですが、ヤクザヴァンパイアが、カタギの血を吸うと、カタギがヤクザ化して増殖していく珍しい展開だから、ヴァンパイアも極道も昭和も、ユルキャラも完全に食傷気味でした。ラストの霊峰が大噴火を起こして、世界の終りとはこれいかに。何が何だかわからない、過激でクレイジーなメチャクチャな映画であった。
2015年劇場鑑賞作品・・・145映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:亜喜良(市原隼人)は、これまで何度も命の危険にさらされながらも生き抜き、不死身だとうわさされるヤクザ神浦玄洋の舎弟となっていた。敏感肌でまともに入れ墨さえ入れられない下っ端の彼は仲間からも見下され、すっかりやる気も失せてしまう。そんな折、神浦を狙う殺し屋が放たれ、血みどろの争いの末ついに伝説の男は命を落とすが……。
<感想>先週の金曜日で最後だというので観賞してきた。三池崇史監督というと、ヒーローものからホラーに、そして3月の「風に立つライオン」といった心を揺さぶる感動作まで、どんなジャンルの映画も独自の世界の中で料理し、大ヒット作に仕上げてしまう。
しかし、今作では原作なしのオリジナルストーリー、さらにはヤクザに咬まれた人たちは老若男女みなヤクザになってしまうという、奇想天外すぎる設定とあって、アクション迫力満点の映画に間違いない。
映画の出だしでヤクザの親分リリー・フランキーに、とにかく圧倒される。何しろ、他の映画では走る姿すら見せたことがないのに、その彼が日本刀で敵の組員をバッタバッタと斬りまくり、刺客とキレッキレのアクションを炸裂するのだ。いくら銃で撃たれても死なないのに、おや?っと思い、それもそのはず、彼は極道にして吸血鬼体質だったという。
そして、市原隼人が演じる影山に噛みつくところでは、この世のものとは思えないおぞましい形相を見せつける。後はなるほどと、人外魔境のような下町風景の中に、カタギよりヤクザばかりが世界中から、馳せ参じてくるドラマの中に引き込まれ、つい乗せられてしまった。
主演が「神様のパズル」の市原隼人なのだが、最強伝説を持つ神浦組の組長リリー・フランキーの遺志を継いでヤクザヴァンパイアとなった市原隼人が、刺客たちの戦いを通して覚醒していくこの物語。今回は更なる肉体改造をし、三池組で暴れまくる。市原隼人の純粋さとタイトな肉体が、その方向性にジャストフィットしていて良かった。
さらには「ザ・レイド」シリーズに出演していた、インドネシアではかなりの知名度を誇るヤヤン・ルヒアンが適役の狂犬として登場する。それから、銃を巧みに使う“テイ龍進“扮する、伴天連という棺桶を背負い、黒い帽子にコートを身に付けた殺し屋も出てくる。
神浦の右腕で、アニキ肌の性格。ひそかに国際進出を目論んでいる膳場壮介の高島。ビニールハウスで変なものを育てている“高島礼子”もそんなことをしている場合か。
それと、神浦が吸血欲求を押さえるために、小料理屋のオヤジ、“でんでん”から特別に血を分けてもらっている。
羅漢組の組長の“ピエール瀧”、神浦組を潰すためなら、手段は選ばない凶悪な男。
それに、ラストに突如現れる最強の殺し屋が着ぐるみのカエル(中に入っているのは、空手の有段者だそうです)。というかカエルに河童まで出てくるストーリー展開そのものが、クレイジーでくだらなく予想できない映画であった。
激闘に次ぐ激闘、そんな中でヴァンパイア・ウィルスが毘沙門通りに蔓延しはじめる。どの画面も熱気がこもり、この面白さはただごとじゃない。例によってガトリング機関銃もちゃんと出てくる。
しかし、三池監督が助監督時代に親しんだ日活撮影所で撮っているからなのか、原点回帰の清々しさがあると思う。最近の三池監督作品「風に立つライオン」を観ると、余分なものを削ぎ落とし、素朴で純粋な映画の力で勝負しているように思えたから。だから、構図もカット割りもタイトでかっこいい。
ヤクザヴァンパイアに咬まれた人間はすべてヤクザ化してしまうという設定を聞いただけでも、三池監督マニアならば誰もが、極道、血、抗争、アクション、そして笑いという、彼の歴史を語る上で欠くことのできない重要な言葉を想起し、逸る気持ちを抑えきれないことだろう。
ですが、ヤクザヴァンパイアが、カタギの血を吸うと、カタギがヤクザ化して増殖していく珍しい展開だから、ヴァンパイアも極道も昭和も、ユルキャラも完全に食傷気味でした。ラストの霊峰が大噴火を起こして、世界の終りとはこれいかに。何が何だかわからない、過激でクレイジーなメチャクチャな映画であった。
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