パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

ハッピーニート ★★★

2013年01月03日 | DVD作品ーな行、は行
リドリー・スコット&トニー・スコット製作総指揮による『僕の大切な人と、そのクソガキ』で監督・脚本に大抜擢され、『タランティーノの2010年映画ベスト10』に選ばれ一躍注目を集めたジェイ&マーク・デュプラス兄弟。本作は待望のメジャー映画第2作目。
常識から逸脱しかけた人々の日常の小さな起伏や、彼らがたどる「軌跡」から「奇跡」が生まれていく感動の展開など、繊細な情景や心理の変化を巧みに描き上げていく。

あらすじ:30歳のジェフは実家暮らしで引きこもりのニート。映画『サイン』を信仰するあまり、人生のカギとなる出来事を見つけることしか頭にない。
ジェフの兄パットは妻リンダに愛想尽かされ、どうやら浮気されている!?
夫に先立たれ、ダメ息子たちに頭を悩ませている母シャロンは、自分の誕生日に謎の人物から愛の告白メールを受け取り… 。(Amazonより)

<感想>今年お初のDVDレビューです。正月休みで昨年の暮れにレンタルして来た中からの1本目。ニートのマザコン息子を持つ女性と、中年男の恋愛を描いたコメディ未公開作品「僕の大切な人と、そのクソガキ」で、一躍注目の存在となったジェイとマークのデュプラス兄弟の新作なんです。
またしても母親と同居するニートが登場する映画なのですが、こういっても前作を観てない人たちには、何が何だか分からないと思います。しかもニートのジェフの年齢が30歳と、いい加減にしろ、自立しろ、とつい暴言を吐きたくなります。ですので、この映画だけを観ると、まぁほどほどに良かったという程度だと思う。

ですが、驚いたのが出演者が凄いんですね。主人公ジェフを演じているのは、「バッド・ティーチャー」や「ザ・マペッツ」のジェイソン・シーゲルだけど、いつもの能天気野郎ではなく、ダウナーなニートに成りきっていて中々よかった。けど、デブで見た目がだらしなそうな感じがして、主人公役にはちょっとねと感じた。別に筋肉隆々なんて希望してないけどね。ニートでも爽やかさが大事だよ。
それに兄のパット役のエド・ヘルムズも「ハングオーバー!」シリーズとは異なったキャラを演じて演技力が増したように思った。このパットの奥さんリンダ役にジュディ・グリアが、夫が衝動で高級車を勝手に買って、夫婦中はセックスレスで上手くいってないし、会社の同僚の男とホテルへ入っていくのを見つけたパットは、嫉妬の炎がメラメラと。
それは本当にせっかく買ったポルシェを飛ばして追いかけ、揚句に他人の家の庭の木に車を正面から激突してしまうし、ホテルの部屋へ押しかけててんやわんやの大騒ぎ。結局妻のリンダは実家へ帰ってしまう。
母親役にはスーザン・サランドンが、この女優さん年のわりに若く見えるし、物語の中で密かに思われている男?・・・自分が中年おばさんなのに、まだ捨てたもんじゃないわ、といった女性の心情を表すのはさすがのベテラン女優である。
で、肝心のストーリーはというと、南部の田舎町、ニートのジェフは、ニートで居続ける理由があったのですね。それは、M・ナイト・シャラマンの「サイン」あのメル・ギブソン主演のSFミステリー映画です。その映画を観て愛しすぎるあまり、人生を再起動させるサインを求めていたのです。
あまりにその映画の内容にハマリすぎて「ケヴィンはいるか?」という単なる間違い電話すら何らかのサインと勘違い始末。
一方、二人の息子を女手一つで育て上げた母親のシャロンは、「貴方の隠れファンです」と書かれたメールを受け取って、不安と期待に動揺するのです。まったく関係が無かったように思えた3人の物語は、やがてひとつへと収束していき、・・・。
そうなんです、これはボンクラ・コメディであると同時に、映画「サイン」へのオマージュ作なんですね。10年前の映画をオマージュしてどうするの?・・・と思ったけど、違うんですよ。主人公ジェフが「ケヴィンはいるか?」のケヴィンという名前にこだわり、バスの中でタンクトップに“ケヴィン“と背中に名前が書かれている少年を追いかけ、金を盗られて殴られるし、トラックの横に”ケヴィン”と書かれていただけで、そのトラックに飛び乗る始末。
そして、後半部分に入るともうジェフの独断で、兄貴の妻のリンダの家へ追いかけていく途中、橋の真ん中で渋滞に巻き込まれる。そこで、突然ジェフが車から降りて走り出す。すると橋の真ん中で交通事故があり川の中に1台の車が今にも沈みそう。ジェフはすぐさま飛び込んで車に乗っていた2人の子供を助け、沈んだ車の中に父親がいると聞き、またもや水の中へと潜る。そして父親を助けるのだが、ジェフが浮かんでこないのだ。
兄貴のパットがそれを見て自分も飛び込み、弟のジェフを助けるも意識がない。蘇生をする救援隊のお蔭で息を吹き返すで、めでたし、めでたし。この橋には、母親も車の中で渋滞の列に混ざってたんですね。母親の頭痛の種の息子が人助けをするとは、これはタイトルに付いていた「おちこぼれ兄弟の小さな奇跡」って本当に奇跡ですよ。
これはもう、「サイン」じゃない。でも最近のシャマランはあまり評判が良くないけど、やっぱ彼は圧倒的な影響力を持つ映画作家なので、シャマラニスト的には、笑う以前にラストに勇気づけられたヒューマンドラマになっていたのが良かった。
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