『ダージリン急行』などのウェス・アンダーソン監督が、格式高い高級ホテルを取り仕切るコンシェルジュと、彼を慕うベルボーイが繰り広げる冒険を描いた群像ミステリー。常連客をめぐる殺人事件と遺産争いに巻き込まれた二人が、ホテルの威信のためにヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走する。主演のレイフ・ファインズをはじめ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ジュード・ロウなど豪華キャストがそろう。
<感想>ウェス・アンダーソンの映画といえば、カラフルでちょっとキッチュでこの上なくせつなくて、心の奥に大切に閉まっておきたくなるようなものが多い。批評家が絶賛するのみならず、彼の作品の中でも最高の興行成績を記録する勢いの新たなるブレイク作品だと思う。
淡いピンクを基調とした映画は、洋菓子のパッケージのような優雅さで、思わずペロリと舐めたくなってしまう。ですが、その目に美味しい映像の中で展開される物語は、これまでにないドキドキのスリラーでもあり、パンチの効いたコメディでもある。
俳優さんの中では、特殊メイクで80代の老婆に扮したティルダ・スウィントンの演技力、「スノーピアサー」でも凄かったですよね。後は、ウィレム・デフォーの殺し屋、黒いレザーに身を包みバイクに乗って悪役を演じているのが気に入りました。
そして、アンダーソンのマジックが随所に散りばめられた、中でもとりわけ遊び心が強く、刑務所の中のレイフ・ファインズが脱獄を企てるところとか、リズム感がよくてヌケがいい。それでいて、ホラーのようなちょん切られた生首が出てきたり、指がぽろっと切れ落ちたり、ギョッとするシーンもあって、ダーク・ファンタジー的な要素も大好きです。
舞台となるのは、ヨーロッパ大陸の東端、旧ズブロフカ共和国の山の上の温泉地、もちろん架空の場所で、かつて栄華を誇ったグランド・ブダペスト・ホテルである。1968年、今はさびれたホテルのオーナー、ゼロは宿泊客の温泉旅行へ来た作家(ジュード・ロウ)に、過去を語り始める。
時は第二次世界大戦開戦の迫った1932年。名物コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)が、ホテルの上客で愛人でもあったマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。その成り行きを見守るのが、グスタヴにベルボーイとして雇われ、親子のような縁を築くゼロ(トニー・レヴォロリ)だった。
駆け付けたグスタヴには、マダムの遺言により貴重な「少年と林檎」の絵画を譲り受けることになるが、それに納得できない息子のドミトリー(エイドリアン・フロディ)に殴られてしまう。怒ったグスタヴはこっそりと絵画を盗んで持ち帰ることに。だが、ドミトリーにマダムD殺しの犯人にでっち上げられ、ホテルのバックヤード(壁金庫)に絵画を隠した直後、ヘンケルス(エドワード・ノートン)に逮捕されてしまう。だが刑務所の中でも持ち前のおもてなし精神で、牢名主的な囚人の懐に入り込み、囚人仲間と力を合わせて脱獄。出迎えに来たゼロと合流する。
事件後なぜか行方不明となっていたマダムの執事(マチューテ・アマルリック)と弁護士のコヴァックス(ジェフ・ゴールドブラム)は無惨にも殺されていた。グスタヴはゼロと共にヨーロッパ各地を逃避行しながら、コンシェルジュの秘密結社の協力を得て事件解明に挑むのです。そして真犯人の魔の手と警察の捜査網がグスタヴの間近に迫っていた。
アール・ヌーヴォーに東欧的な厳めしさを加えた万華鏡のような装飾美に加えて、常連俳優のエイドリアン・フロディ、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンらと、新参組のレイフ・ファインズにシアーシャ・ローナン、マチューテ・アマルリック、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、レア・セドゥ、トム・ウィルキンソン、という面々が揃っています。
中でも、F・マーレイ・エイブラハムが、それぞれ物語の語り部である「若き日の作家」と「老人のゼロ」に扮して、映画に荘厳さを与えているのが印象的です。
これだけ登場人物が多いので、あらあら見たことのアル俳優さんに、この人もあの人もと目が少々ついていけないところもありますが、とにかく物語は難しくないし面白いので、これは世界観を楽しんで欲しい作品ですね。
大勢の有名俳優が交ざった、贅沢なキャストによる3つの時代にまたがるファンタスティックな物語が、ヨーロッパの階級社会をロマンチックに、しかも笑いたっぷりで皮肉っていて、そして心が痛くなるような悲しみも湛える本作は、幻想的とも復讐劇とも言える壮大なスケールで、スリリングな展開を軸にしつつ観る者を魅了させてくれるのが最高でした。
2014年劇場鑑賞作品・・・209 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
「ダージリン急行」
「ムーンライズ・キングダム」
<感想>ウェス・アンダーソンの映画といえば、カラフルでちょっとキッチュでこの上なくせつなくて、心の奥に大切に閉まっておきたくなるようなものが多い。批評家が絶賛するのみならず、彼の作品の中でも最高の興行成績を記録する勢いの新たなるブレイク作品だと思う。
淡いピンクを基調とした映画は、洋菓子のパッケージのような優雅さで、思わずペロリと舐めたくなってしまう。ですが、その目に美味しい映像の中で展開される物語は、これまでにないドキドキのスリラーでもあり、パンチの効いたコメディでもある。
俳優さんの中では、特殊メイクで80代の老婆に扮したティルダ・スウィントンの演技力、「スノーピアサー」でも凄かったですよね。後は、ウィレム・デフォーの殺し屋、黒いレザーに身を包みバイクに乗って悪役を演じているのが気に入りました。
そして、アンダーソンのマジックが随所に散りばめられた、中でもとりわけ遊び心が強く、刑務所の中のレイフ・ファインズが脱獄を企てるところとか、リズム感がよくてヌケがいい。それでいて、ホラーのようなちょん切られた生首が出てきたり、指がぽろっと切れ落ちたり、ギョッとするシーンもあって、ダーク・ファンタジー的な要素も大好きです。
舞台となるのは、ヨーロッパ大陸の東端、旧ズブロフカ共和国の山の上の温泉地、もちろん架空の場所で、かつて栄華を誇ったグランド・ブダペスト・ホテルである。1968年、今はさびれたホテルのオーナー、ゼロは宿泊客の温泉旅行へ来た作家(ジュード・ロウ)に、過去を語り始める。
時は第二次世界大戦開戦の迫った1932年。名物コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)が、ホテルの上客で愛人でもあったマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。その成り行きを見守るのが、グスタヴにベルボーイとして雇われ、親子のような縁を築くゼロ(トニー・レヴォロリ)だった。
駆け付けたグスタヴには、マダムの遺言により貴重な「少年と林檎」の絵画を譲り受けることになるが、それに納得できない息子のドミトリー(エイドリアン・フロディ)に殴られてしまう。怒ったグスタヴはこっそりと絵画を盗んで持ち帰ることに。だが、ドミトリーにマダムD殺しの犯人にでっち上げられ、ホテルのバックヤード(壁金庫)に絵画を隠した直後、ヘンケルス(エドワード・ノートン)に逮捕されてしまう。だが刑務所の中でも持ち前のおもてなし精神で、牢名主的な囚人の懐に入り込み、囚人仲間と力を合わせて脱獄。出迎えに来たゼロと合流する。
事件後なぜか行方不明となっていたマダムの執事(マチューテ・アマルリック)と弁護士のコヴァックス(ジェフ・ゴールドブラム)は無惨にも殺されていた。グスタヴはゼロと共にヨーロッパ各地を逃避行しながら、コンシェルジュの秘密結社の協力を得て事件解明に挑むのです。そして真犯人の魔の手と警察の捜査網がグスタヴの間近に迫っていた。
アール・ヌーヴォーに東欧的な厳めしさを加えた万華鏡のような装飾美に加えて、常連俳優のエイドリアン・フロディ、エドワード・ノートン、ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンらと、新参組のレイフ・ファインズにシアーシャ・ローナン、マチューテ・アマルリック、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、レア・セドゥ、トム・ウィルキンソン、という面々が揃っています。
中でも、F・マーレイ・エイブラハムが、それぞれ物語の語り部である「若き日の作家」と「老人のゼロ」に扮して、映画に荘厳さを与えているのが印象的です。
これだけ登場人物が多いので、あらあら見たことのアル俳優さんに、この人もあの人もと目が少々ついていけないところもありますが、とにかく物語は難しくないし面白いので、これは世界観を楽しんで欲しい作品ですね。
大勢の有名俳優が交ざった、贅沢なキャストによる3つの時代にまたがるファンタスティックな物語が、ヨーロッパの階級社会をロマンチックに、しかも笑いたっぷりで皮肉っていて、そして心が痛くなるような悲しみも湛える本作は、幻想的とも復讐劇とも言える壮大なスケールで、スリリングな展開を軸にしつつ観る者を魅了させてくれるのが最高でした。
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「ダージリン急行」
「ムーンライズ・キングダム」