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人気作家・伊坂幸太郎のベストセラー小説を、『人間失格』などの生田斗真主演で映画化したサスペンス。恋人を殺害した犯人への復讐(ふくしゅう)に燃える元教師、人の心を操り自殺に追い込む殺し屋、その命を狙うナイフ使いの殺し屋の運命が、それぞれの思惑を抱えながら交錯していくさまが展開。監督は、『脳男』に続き生田とタッグを組む瀧本智行、脚本を『あなたへ』などの青島武が担当。共演には日本のみならず国際的に活躍する浅野忠信、Hey! Say! JUMPの山田涼介が顔をそろえる。
<感想>伊坂先生の作品は、どこか寓話的で、「グラスホッパー」とは、トノサマバッタを意味する。渋谷のスクランブル交差点でバッタが乱舞するシーンでは、密集して育つことで凶暴化するという同昆虫の習性が、ここでは人口過密都市に生きる人間の歪みになぞらえられている。リアルではないけれど、決して遠い世界でもない、どこか無国籍なイメージになっているのだ。
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映像の中に、黒いトノサマバッタが出てくるシーンが多いです。それにゴキブリも。その漆黒の闇の中で、平凡な教師の鈴木を演じる生田斗真と、ナイフ使いの若き殺し屋・蝉を演じる山田諒介は、ほぼ交差しないパラレル構造の中で、どくとくの競演を果たしている。
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物語は、ハロウインの夜の渋谷から始まる。スクランブル交差点で通行人に暴走車が突っ込む凄惨な事故が勃発する。そこで、鈴木の恋人が死亡した。だが、実は闇組織が、己の利益のために仕組んだことだったと知った鈴木は復讐を決意する。恋人を殺された気弱な男・鈴木を、生田斗真が演じて、「脳男」の感情を持たない殺人鬼とは真逆の、虫もころせないような心優しい青年を演じている。そして恋人百合子には波瑠が扮しており、鈴木との幸せなプロポーズのシーンも素敵ですね。
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教師という職をなげうって裏組織の比与子(菜々緒)の経営する「フロイライン」に潜入する。やせ薬と言いながら、麻薬であり飲み出すと虜になり中毒になる。
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ところが、そのターゲットである、合成麻薬密売グループの首領寺原会長(石橋蓮司)の息子は、目の前であっけなく“押し屋”という殺し屋によって殺され、その後を付けた鈴木自身も嘘がバレて追われる身となってしまう。
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“押し屋”役の吉岡さんは物静かで、気配を感じさせない影のような存在で、槿(あさがお)という名前で、鈴木が後を付けて行った家には、妻も子供2人がいる。比与子からの電話で、押し屋の場所を教えろと言われるも、仲のいい人の良さそうな家族に戸惑いを感じて住所を教えることができない。だが、この家は、劇団と呼ばれる人たちが疑似家族を演じていて、家も2,3日借りていた。だから、門の前や玄関の前は雑草が伸び放題であった。裏組織の比与子が押しかけて来た時には、もぬけの殻。
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一方、闇組織の依頼で“仕事”をしていた鯨は、知り過ぎたことで命を狙われることに。鯨は人の心を狂わせる眼力でターゲットを自殺に追い込むが、過去に殺した者たちの幻覚、亡霊に悩まされている。
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その現場に必ず現れる亡霊が宇崎竜童のおっさんである。住処としているトレーラー車の中は、綺麗に整然としており、珈琲が好きらしく豆を挽いているところへ、車いっぱいに殺した人たちの幻覚が現れるシーンも圧巻です。
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鯨を追うのは、相棒を彼に殺された蝉だった。岩西は相棒というよりも、殺しの仕事を請け負う役で、村上淳が扮していて、鯨を殺す仕事を受けて蝉に殺させるという楽な役回り。だが、鯨に感づかれてしまい、飛び降り自殺をさせられてしまう。蝉に扮しているのは、どこかベビーフェイスなんだけれど、ナイフの使い手で、鍛え上げられた身体能力のギャップ感が役柄にぴったりな山田諒介くん。
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というわけで、映画の後半、クライマックスに近い場面、どこか無国籍な廃墟のようなビルの一角で、鈴木が捕えられ貯水槽で激しい水責めを受ける拷問シーン。気を失ってしまう鈴木。そこへ、先に、蝉は一人で寺原会長や取り巻きの子分どもを殺し、側近の比与子も殺すエレベーターの中。そこに囚われていたのが、スズメバチという鈴木の教え子の女。仲間の男たちもやってきて、鈴木は拷問され今にも死にそうなところを助けられるのだ。
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怒涛のクライマックスでは、鯨と蝉の激しい死闘を繰り広げるシーンがあります。黒のロングシャツに身を包んだ浅野忠信と、黄色のシャツと派手な柄のパンツをまとった金髪の山田諒介との対決シーンは、山田の手には銀色に光るナイフ。飛び蹴り、頭突き、首締め、舞うように襲い掛かってくる山田の蹴りを受けるも、すぐに身をかわした浅野は、重い拳を蝉の身体に叩き込む。苦痛で歪む表情にうめき声。気迫の芝居を見せる2人。この壮絶なる殴り合い格闘技の見事さに圧倒される。蝉がいつもの耳鳴りに悩まされ始め、自分のナイフで耳を切り落としてしまう。これはショックでした。
ですが、原作と違って、2人は揉みあいながらビルの下へと落下して死亡。その姿を見ている2人が傍に立っていて、蝉が「シジミが空気の泡を吐き出すのが唯一の癒しの時間」だと言う。蝉の家へ、シジミを見に行こうと鯨の車で行ってしまう亡霊。
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鈴木が目が覚めると全てが終わった後で、何が起こったのか分からず唖然とする。1年後のラストで、ピエロの格好をした鈴木が遊園地で働いているところへ、疑似家族の押し屋の妻を演じた麻生久美子が子供を連れて現れ、鈴木に真相を話してあの百合子に上げた婚約指輪、探していたダイヤの指輪を渡すシーンに胸が熱くなりますから。
ほぼ全編を通して原作と同じようで、鈴木の生田斗真くんも、鯨の浅野さんの威厳のある殺し屋、蝉の素早いナイフ使いの殺し屋、他のキャスティングもみんな当てはまっていて演技のベテランばかりで、観ていて満足でした。
2015年劇場鑑賞作品・・・231
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<感想>伊坂先生の作品は、どこか寓話的で、「グラスホッパー」とは、トノサマバッタを意味する。渋谷のスクランブル交差点でバッタが乱舞するシーンでは、密集して育つことで凶暴化するという同昆虫の習性が、ここでは人口過密都市に生きる人間の歪みになぞらえられている。リアルではないけれど、決して遠い世界でもない、どこか無国籍なイメージになっているのだ。
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映像の中に、黒いトノサマバッタが出てくるシーンが多いです。それにゴキブリも。その漆黒の闇の中で、平凡な教師の鈴木を演じる生田斗真と、ナイフ使いの若き殺し屋・蝉を演じる山田諒介は、ほぼ交差しないパラレル構造の中で、どくとくの競演を果たしている。
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物語は、ハロウインの夜の渋谷から始まる。スクランブル交差点で通行人に暴走車が突っ込む凄惨な事故が勃発する。そこで、鈴木の恋人が死亡した。だが、実は闇組織が、己の利益のために仕組んだことだったと知った鈴木は復讐を決意する。恋人を殺された気弱な男・鈴木を、生田斗真が演じて、「脳男」の感情を持たない殺人鬼とは真逆の、虫もころせないような心優しい青年を演じている。そして恋人百合子には波瑠が扮しており、鈴木との幸せなプロポーズのシーンも素敵ですね。
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教師という職をなげうって裏組織の比与子(菜々緒)の経営する「フロイライン」に潜入する。やせ薬と言いながら、麻薬であり飲み出すと虜になり中毒になる。
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ところが、そのターゲットである、合成麻薬密売グループの首領寺原会長(石橋蓮司)の息子は、目の前であっけなく“押し屋”という殺し屋によって殺され、その後を付けた鈴木自身も嘘がバレて追われる身となってしまう。
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“押し屋”役の吉岡さんは物静かで、気配を感じさせない影のような存在で、槿(あさがお)という名前で、鈴木が後を付けて行った家には、妻も子供2人がいる。比与子からの電話で、押し屋の場所を教えろと言われるも、仲のいい人の良さそうな家族に戸惑いを感じて住所を教えることができない。だが、この家は、劇団と呼ばれる人たちが疑似家族を演じていて、家も2,3日借りていた。だから、門の前や玄関の前は雑草が伸び放題であった。裏組織の比与子が押しかけて来た時には、もぬけの殻。
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一方、闇組織の依頼で“仕事”をしていた鯨は、知り過ぎたことで命を狙われることに。鯨は人の心を狂わせる眼力でターゲットを自殺に追い込むが、過去に殺した者たちの幻覚、亡霊に悩まされている。
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その現場に必ず現れる亡霊が宇崎竜童のおっさんである。住処としているトレーラー車の中は、綺麗に整然としており、珈琲が好きらしく豆を挽いているところへ、車いっぱいに殺した人たちの幻覚が現れるシーンも圧巻です。
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鯨を追うのは、相棒を彼に殺された蝉だった。岩西は相棒というよりも、殺しの仕事を請け負う役で、村上淳が扮していて、鯨を殺す仕事を受けて蝉に殺させるという楽な役回り。だが、鯨に感づかれてしまい、飛び降り自殺をさせられてしまう。蝉に扮しているのは、どこかベビーフェイスなんだけれど、ナイフの使い手で、鍛え上げられた身体能力のギャップ感が役柄にぴったりな山田諒介くん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/73/4be06e007b9fe8a3b7c8cdae5781e76c.jpg)
というわけで、映画の後半、クライマックスに近い場面、どこか無国籍な廃墟のようなビルの一角で、鈴木が捕えられ貯水槽で激しい水責めを受ける拷問シーン。気を失ってしまう鈴木。そこへ、先に、蝉は一人で寺原会長や取り巻きの子分どもを殺し、側近の比与子も殺すエレベーターの中。そこに囚われていたのが、スズメバチという鈴木の教え子の女。仲間の男たちもやってきて、鈴木は拷問され今にも死にそうなところを助けられるのだ。
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怒涛のクライマックスでは、鯨と蝉の激しい死闘を繰り広げるシーンがあります。黒のロングシャツに身を包んだ浅野忠信と、黄色のシャツと派手な柄のパンツをまとった金髪の山田諒介との対決シーンは、山田の手には銀色に光るナイフ。飛び蹴り、頭突き、首締め、舞うように襲い掛かってくる山田の蹴りを受けるも、すぐに身をかわした浅野は、重い拳を蝉の身体に叩き込む。苦痛で歪む表情にうめき声。気迫の芝居を見せる2人。この壮絶なる殴り合い格闘技の見事さに圧倒される。蝉がいつもの耳鳴りに悩まされ始め、自分のナイフで耳を切り落としてしまう。これはショックでした。
ですが、原作と違って、2人は揉みあいながらビルの下へと落下して死亡。その姿を見ている2人が傍に立っていて、蝉が「シジミが空気の泡を吐き出すのが唯一の癒しの時間」だと言う。蝉の家へ、シジミを見に行こうと鯨の車で行ってしまう亡霊。
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鈴木が目が覚めると全てが終わった後で、何が起こったのか分からず唖然とする。1年後のラストで、ピエロの格好をした鈴木が遊園地で働いているところへ、疑似家族の押し屋の妻を演じた麻生久美子が子供を連れて現れ、鈴木に真相を話してあの百合子に上げた婚約指輪、探していたダイヤの指輪を渡すシーンに胸が熱くなりますから。
ほぼ全編を通して原作と同じようで、鈴木の生田斗真くんも、鯨の浅野さんの威厳のある殺し屋、蝉の素早いナイフ使いの殺し屋、他のキャスティングもみんな当てはまっていて演技のベテランばかりで、観ていて満足でした。
2015年劇場鑑賞作品・・・231
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