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民主党政権へのレクイエム

2012-11-19 10:02:08 | マスメディア
「高速道路無料化」「消費税増税はしない」「ガソリン税暫定税率廃止」「16.8兆円の財源捻出」「最低でも県外」「私には腹案がある」「トラスト・ミー」「首相を辞めれば議員も辞める」・・・どれも守られなかった約束で、多重の嘘つきであったことになります。

 とりわけ鳩山先生のご活躍が目立ちますが、このような民主党の「伝統」が続くなか、野田首相が辛うじて嘘つきにならなかったことを喜びたいと思います。もし野田氏までが嘘つきになったなら政治に対する不信感はさらに深刻になっていたことでしょう。

 解散を歓迎する向きも多く、読売や毎日なども社説で解散を評価しています。嘘をつかないという一般社会ではあたりまえのことをしただけで賞賛される世界というのはなかなか羨ましいですね。これも政治への期待水準を大きく引き下げた鳩山氏らのご尽力のおかげです。

 各紙が解散を評価する中で、朝日だけは『「異常な選挙」の自覚もて』と題した社説で、今回の選挙は違憲状態の選挙であるとし、そんな政権は正統性を欠く、そう批判されても仕方がない、と述べています。解散のもつ大きい意味より違憲状態の選挙という小さな負の面の方に関心があるようです。まあ森を見るより木を、そして明るい面よりも暗い面ばかりを好む人もいらっしゃるわけですが。

 今回の解散には大義が見えないという意見がありますが、決してそうは思えません。無能さが明確になった政権が退場するというだけでも十分な大義があります。また国民に嘘をついて選ばれたという点で正統性の問題があります。政権の委任は国民との契約であり、そこに虚偽があれば契約の正統性が疑われます。一票の格差も正統性を疑う問題ですが、現実には虚偽契約の方がはるかに影響の大きい問題です。

 さて解散が決まってから民主党には離党者が相次ぎました。党の中核である鳩山氏まで離党を検討中と伝えられています。次の選挙では民主党の惨敗がほぼ確定したかのようですから、もっともなことと思われます。自らの生き残りをかけて、なりふりかまわぬ姿は逞しく生命力に溢れていますが、しかしその見苦しさは避けようがありません。

 民主党の中核的な理念は何であったか、今でも明確に思い浮かばず、バラマキが得意な政党という印象があるだけです。民主党は選挙に当選するための選挙互助会といわれていました。選挙に利用価値がないと思われれば蜘蛛の子を散らすように四散するのはごく当然の成行きです。おそらく1ヶ月もすれば民主党の惨めな姿を見ることになるでしょう。

 小選挙区制によって幸運な大勝利を得た政党が僅か3年余で、皮肉にもその小選挙区制によって惨敗を喫す、とてもドラマチックであり中選挙区制では望めないことです。この盛者必衰の模様をテレビで観戦する分には面白いのですが、ドラマチックとは不安定の別名であり、単純に喜んでよいことではありません。

 企業は人なり、と言われますが、政党は人なり、と言い換えてもよいと思います。技術や資産も重要な要素である企業に比べ、政党は人がすべてといってもよいほどで、これは3年余りの民主党政権を観察して実感したことであります。そして前回選挙で民主党を持ち上げたメディアの判断の誤り、識見の低さが明らかになりました。安易にメディアを信用してはいけないというのが今回の教訓であると言えましょう。


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