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民主党の歪んだ構造

2010-09-06 09:59:17 | Weblog
 8月28、29日に実施された毎日新聞世論調査によれば、首相にふさわしいと答えたのは菅氏が78%と、小沢氏の17%を大きく上回り、民主支持層でも78%が菅氏と回答したそうです。他社の調査でもほぼ同様の結果が出ています。ところが党所属国会議員411人のうち菅氏支持約175人、小沢氏支持186人超(9/7日の毎日新聞調査)と小沢氏支持が多数です。

 世論は移ろいやすく、現時点の調査数値を重視しすぎるのはよくないことですが、首相を選ぶ際に国民の意向と議員のそれがここまで大きく乖離しているのは異常です。現在の代議制では国民が議員を選び、議員が首相を選ぶという仕組みであり、議員は国民の代表として、国民の意向を反映することが大前提となる筈です。国民に代わって議するから「代議士」なのです。「当選すればこっちのもの、あとは好き勝手にやらせてもらう」とばかり、議員が国民の意思を無視するようではそもそも代議制は成り立ちません。

 むろん100%の反映は無理でしょうが、国民の支持が2割にも達しない小沢氏を議員の半数あるいはそれ以上が支持するという現状はやはり異常です。少なくとも首相を選ぶという極めて重要な問題に関して、国民から選ばれた議員が国民の意思を無視するなら、これは多くの国民に対する重大な背信行為だと考えられます。

 しかしこの点に関し、なぜかメディアはあまり批判しません。代議制の意味が問われるほどの問題であるのに不思議なほどの寛容さを見せています。メディアが些細な問題を追及するときに見せる鬼のような非寛容さを見慣れている者にとって、この現象はいささか不可解であります。このようなメディアの寛容さ(実は鈍感さ)が、議員らが悪びれもせず正々堂々と国民の意向を無視するという土壌を作り上げたと言えるでしょう。

 一方、小沢氏支持の中核である小沢グループの議員が8割ほどの国民の期待を無視し小沢氏を支持するのは、小沢氏への忠誠を優先せざるを得ない「事情」があるのだと思われます。本来の国民の代表たる立場より小沢氏への忠誠を優先する議員が民主党最大グループを形づくり、小沢氏の意向によって一糸乱れず行動するさまは不気味です。国民の代表としてその利益を優先できるのか、たいへん怪しいことです。

 小沢グループは民主党に深く食い込んだ別の異質な政党のようです。それは党執行部の統制を受けない、半ば独立した集団のようにも見えます。国民の意向に反する首相を生み出そうとしている背景にはこの歪んだ構造があると言えるでしょう。レバレッジ(てこ)を使うように、強い結束力をもつ小沢グループが民主党を支配し、そして国を支配するという姿はやはり異常なものと思わざるをえません。

 理由はどうあれ、この代表選によって民主党政権は国民の意向に背いた決定をする可能性のあることが明確に示されました。このことはもう少し注目されてもよいと思います。

(*1)参考拙文 民主党の非民主的性格


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2 コメント

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Unknown (こんちゃん)
2010-09-06 15:41:36
よく「挙党体制で」などと言いますが、民主党に挙党体制というものはあり得ないということを、今回の騒動でも強く感じました。
自民党の場合、派閥争いはあっても、政策面で大きな違いはありません(小泉時代の郵政選挙は例外として)。だから、誰がボス猿になっても、決まった以上は協力できます。特に外敵に対しては、結構しっかりとした一枚岩になります。
でも、民主党は政策面でも各グループで色合いが違う。仲良く握手してスタートしても、具体的に何をするかという段階になると、紛糾して収拾がつかず迷走します。
トロイカ体制で協力と言った翌日には分裂して対決です。ショーとしては面白いかもしれませんが、政治は空転、迷走、置き去りのままです。
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Unknown (okada)
2010-09-07 10:54:45
なるほど自民党との違い、おっしゃる通りですね。政策面での大きな対立を抱えたままであれば、もはや単一の政党とはいえないと思います。いまだに何をしたい政党なのか、具体的なビジョンが見えません。
「小沢党」は独立する方が自然ですね。
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