「虹の橋の宝箱」

ハコのこと、ママに教えてあげる。
みんなにも教えてあげるからよく聞いててね？
わたし、一回しか言わないからね！





神様から虹の橋の住民票をもらうとき
一緒に渡されるハコがあるんだって
それは

「虹の橋の宝箱」

って言うんだって


お兄ちゃんが住んでるところにあるものは
こっちに持ち出しすることはできなくて…
持ち出しできない、っていうか
持っていってもわかってもらえないんだって


「虹の下行き」のバスに乗る人は
必ずそれを一緒に持っていく決まりになっていて
みんな忘れずに「虹の橋の宝箱」を持って
会いたい人のところに行くんだって


お兄ちゃんはリュックに入れて持ってきたみたいだけど
宝箱を大事そうに抱えている仲間や
バッグに入れて持っていく仲間
思い思いの方法で持って行くらしいよ




「虹の橋の宝箱」の中身はね…？
実は全員、からっぽなんだって




お兄ちゃんたちは会いたい人に再会できたとき
自分が会いにきたことに気づいてもらえても
気づいてもらえなくても
それぞれ自分がいた場所で
その宝箱をそっと開けるんだって


すると
大好きだった人のにおいや
まだこっちで暮らしてる
一緒に過ごしてきた仲間のこと
何より
飼い主さんがまだ自分を愛してくれていること
忘れてないこと
いつでもそばにいるよ！って思い続けてくれてること…


目には見えないあったかい気持ちは
虹色の光に包まれながら
宝箱にどんどんたまっていくんだって


「それはまるで宝石みたいで、とってもきれいらしい」


…ってお兄ちゃん言ってた



里帰りできる短い時間で集めた
飼い主さんたちのそんな想いだけは
「虹の橋の宝箱」に入れて
持って帰ることができるんだって


少しずつ集めた愛情は
お家に着いて宝箱を開いた瞬間
ダイヤモンドみたいにキラキラ輝きながら
虹の橋全部に散らばっていくんだって！






ねえママ？






お兄ちゃん、
虹の橋では雨は降らないって言ってたよね？
いつも春みたいに暖かい、って…


お兄ちゃんのいる虹の橋は





大好きだった人たちの愛情で
あったかいんだろうねぇ





どこを歩いても
キラキラで
あったかくて


お兄ちゃん、いいなぁ～






ね？　ママ。　








でもお兄ちゃんハコ出すの忘れたんだよね～！残念！






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