映画「沖縄スパイ戦史」
「ポレポレ東中野」で上映されている「沖縄スパイ戦史」。第二次世界大戦末期に米軍が上陸し、20万人以上が亡くなった沖縄戦とは別に、陸軍中野学校から派遣された将校たちによる少年を組織したゲリラ戦、スパイ戦の実態を明らかにしている。
沖縄南端の波照間島に一人の将校が教員として赴任した。最初はやさしい教師として、最後は銃剣を振りかざして、マラリアの島として有名な西表島に住民を強制移住。「住民が敵の捕虜になったら、手先になる」という理由。だが、実態は島の各家でたくさん飼育していた牛や馬を食料として沖縄各地の軍隊に持って行くためだった。軍は島に燻製工場を作って、毎日加工、船で運び出していた。
マラリア地獄、そして住民をスパイとしてリストを作って、罪のない村人を殺害していった。
軍隊は住民を守らない。このことは戦前の軍機保護法にあるだけでない。「自衛隊法」に、自衛隊が必要な物資の使用、住民を土木作業などに使用できることを規定している。
「野外令」というとんでもない陸上自衛隊の教範があることを初めて知った。離島における自衛隊の行動規範というが、この映画を彷彿させるものだ。
「戦前の軍の行動にメスを入れない限り、沖縄の地獄は再来する」と映画は警告する。
「沖縄スパイ戦史」 監督 三上智恵・大矢英代