「 九州 ・ 沖縄 ぐるっと探訪 」

九州・沖縄・山口を中心としたグスク(城)、灯台、石橋、文化財および近代土木遺産をめぐる。

福岡県築上町  「 矢引迫 ( やびきざこ ) の氷室 」

2017-10-10 11:57:28 | 近代化産業遺産・土木遺産



氷室として築かれた石組みがわずかに町道側に残っている








氷室の中は土が流れ込んで原型をとどめていない







町道の横に露出した石組み











矢引迫 ( やびきざこ ) の氷室は、
福岡県築上町の真如寺から龍城院へ向かう町道の脇に
僅かに石組みが残っているが、
氷室として使われていた室穴は土砂が流れ込んで
原型をとどめていない。

氷室がある矢引迫は、戦後の植林で杉や檜が林立しているが、
戦前は茅葺の屋根の材料として使われていた萱の群生地であった。
秋になると鎌で萱を刈り取った後、露出した山肌を隠すように
大量の雪が積もる。
その雪を穴に詰め込み踏み込んだのが氷室であった。
遠く離れた 「 今井の祇園さん 」 に氷を馬車で運ぶのに、
夜中に出ていたと言われている。

また、矢引迫の地名となったのは、
この山上から攻めて来る敵をめがけて矢を射たことから始まる。
ここはかつて城井谷を治めていた宇都宮氏の領地で、
黒田の軍勢の来襲に備えていたと言われている。
その黒田軍の烏帽子を射たことから、
ふもとの真如寺には、烏帽子笠という地名も残っている。


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