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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

土肥校長9.6付文書

2008年10月08日 | 暴走する都教委
 ▼ 言論弾圧の実例大きく4点とその他

「9.27集会から」 《撮影:平田 泉》

 東京都教育委員会 殿

 8月28日の貴委員会における竹花委員の質問に対し、教育庁は、私に対し文書による意見の提出を許可しているにもかかわらず、私はその文書を提出していないと回答したと聞きました。私もその事実、即ち文書で教育委員会に意見を提出するのはかまわないと教育庁が私に連絡した事実は認めます。ただ、様々な理由、特に教育庁を経由することに多少疑問を感じていたため意見を提出することを躊躇しておりました。しかしながら、教育委員会親展の形で私の意見を提出してもかまわないと8月29日に教育庁から連絡があったため、今回親展の形で、何故私が「職員会議において職員の意向を確認する挙手・採決の禁止」の撤回を求めているか、直接貴委員会に私の意見を述べさせていただきます。
 私の信条は基本的人権の尊重と平和主義です。中でも言論の自由は、民主的な国家・社会の構築・運営のために絶対不可欠な基本的人権です。過去の歴史を見ても言論の自由のない組織、社会、国家はことごとく崩壊しています。(たとえば、第二次世界大戦前の日本、ソビエト連邦等) 私は、言論の自由は、社会の発展、活性化に絶対に必要で、民主主義の基本だと思っています。特に将来の日本を担う子ども達に民主主義を教えなければならない教育現場において、言論の自由の尊重は一層重要だと思います。

 しかし貴委員会は、平成18年(2006年)4月、都立公立校の職員会議において職員の意向を確認する挙手・採決の禁止の通知を出されました。この通知によって、教員には何を言っても意見が反映されないのなら言っても意味がないという空気が広がり、自由な討論がなされず、学校の活性化にもつながっていません。また、業績評価が導入され、職員会議で校長の意思に反する発言をした場合、業績評価において低い評価を付けられる恐れがあるため、教員は発言しなくなってきているのが現状です。
 生徒に民主主義を教えなければならない学校だからこそ、生徒を教える教員組織は民主的に運営されなければならないと思います。教員に言論の自由がなくなることは、生徒の言論の自由もなくなっていく可能性が高いと考えます。
 挙手・採決の禁止の撤回を求めるのは、実際にこの問題だけでなく、教育現場において様々な形で、言論の弾圧と思われる出来事が発生しているからです。そして、このままでは東京都の教育の現場で、言論の自由が無くなっていくと感じたからこそ撤回を求めたのです。

(1) 私に対する言論弾圧(内部告発により教育庁より強い指導を受けました)
 (略)

(2) 文化祭における生徒掲示物問題(生徒に対する言論弾圧)
 (略)

(3) 発表原稿差し替え問題(教員に対する言論弾圧)
 (略)

(4)「職員の意向を聞く挙手・採決の禁止」は必要なのか
 (略)

(5) その他の出来事
1.卒業式、不起立教諭の人事委員会不服申し立てにおける個別準備書面問題

 三鷹高校卒業式において不起立であった教諭が個別準備書面の中で「校長が職務命令を出さざるを得ないよう校長に強要したか」との質問に対し、教育委員会代理人の細田氏等が私に最初に提示した回答の文面は「校長に職務命令を出すよう校長会等で強制、命令した事実はない」とありました。私は、事実と全く違うので「平成15年10月23日の通達に基づき私は職務命令を発出したが、個別的職務命令については校長会で何度も発出を強要した。」と変更するように依頼しましたが、最終的な文書においても個別的職務命令のことには一切触れていなかったのです。これは事実とは全く違うことです。

2.個別的職務命令と業績評価におけるパーセンテージ問題
 個別的職務命令と業績評価の問題はすでに(4)の2.ですでに述べましたが、これらの件でもう一点問題がありました。まず個別的職務命令ですが、平成19年度の三鷹高校定時制の卒業式においては個別的職務命令を発出しませんでした。教職員を職員室に呼んで、口頭で職務命令を全体に対して読み上げ、包括的職務命令のみを発出したのです。なぜなら個別的職務命令は校長の権限と責任において発出するものであり、定時制の場合は包括的職務命令だけで卒業式の適正な実施を確信したからです。にもかかわらず教育庁は、他の学校への波及を恐れて、三鷹高校定時制でも個別的職務命令が発出されたと、全ての校長に連絡したのです。文書による職務命令が個別的職務命令であることは全ての校長がそのように認識しているはずです。明らかに虚偽の連絡だと思います。
 また、業績評価問題では、前述したように制度的には校長の権限と責任で絶対評価で評価すると明記してあるにもかかわらず、校長会や評価者訓練研修、管理主事との面談等で度々C・D評価を何パーセンテージ以上(明らかに相対評価である)つけて欲しいと指導していたにもかかわらず、そのような指導はしていないと、ある新聞社の質問に答えたのです。これも完全な虚偽回答だと思います。

3.業績評価による言論の制限
 平成18年4月に挙手採決の禁止が通知されましたが、それ以前から東京都教育委員会は教員に対する業績評価制度を導入していました。その時から業績評価と昇給が直接連動する制度となりました。業績評価は、本来教員の教育活動全般にわたり評価をするものです。しかし実際に私が教頭の時経験したのですが、職員会議での発言、特に校長の意向に反対するような発言をしただけで低い業績評価がつけられたのです。その教員の教育活動は生徒からも高く評価されていたのです。教員も職員会議での発言が業績評価に直接影響することを知っており、実際に職員会議で自由な発言は出来なくなってきているのが事実です。

4.都立中高一貫6年制学校における前期課程(中学)の教科書採択について
 平成17年度に都立中高一貫6年制学校として開校した都立白鴎高校附属中学校の社会科の教科書として、新しい歴史教科書を作る会が編修した教科書が採用されました。私は言論の自由は最も大切であると思っているので、相手と意見が100%違っていても、相手の言論の自由は100%保障したいと思っています。したがって新しい歴史教科書を作る会が編修する教科書を出版することは認めなければならないと思います。しかしながら、この教科書の全国採用率が1%以下にもかかわらず、その後開校した5校も含め、現在まで開校している6校全てがこの教科書を採用しているのです。即ち100%の採用率はどう考えても異常で、思想統制を行っているとしか言いようがありません。白鴎高校附属中学の場合は最初なので100%か0%であり、やむを得ないと思います。しかし、常識で考えれば、校数が増えるに従って全国平均の採用率に近づいていくのが普通だと思います。

5.守秘義務という名の言論弾圧。
 私は8月4日に記者会見を開き、貴教育委員会に要請書を提出いたしました。その中で、私は回答を8月20日までに文書でお願いしたいと明記しました。しかしながら教育庁は、8月19日に電話で回答して来たのです。私は要請書も文書で出しているので回答も文書でお願いしたいと頼みましたが拒否され、しかも口頭で回答するのでそれを書き取って欲しいと言われました。恐らく文書で残すと、今後教育庁にとって不利になると思い、口頭で答えたものと思います。いつも私には文書で提出するようにと指示していながら、自分に不利になりそうな時は口頭でやるのは、非常に卑怯なやり方だなと思いました。しかもその内容を報道機関に公開したところ、人事部の業績評価の部分の「3割程度」という言葉を報道関係者に公開したことが、地方公務員法の守秘義務違反に当たる可能性があると連絡してきたのです。そして服務事故(守秘義務違反)として取り扱いかどうかを検討するために、報告書を中部学校経営支援センターが作成するとの連絡が8月27日にありました。私は、業績評価の実施要項とは違う指導を教育庁が行っており、その間違った指導の実態を明らかにするためC・D評価20%以上や過去の実績が3割程度等の数字を具体的に述べているのです。(実施要項では校長による絶対評価と明記されているにもかかわらず、教育庁は過去の実績の3割と言う数字を示し、20%以上C・Dを付けるように指導し、しかも20%以下の場合は、業績評価の名簿は受け取らないという強い指導を19年度は行った)間違った指導の実態を公表することは守秘義務違反どころか、国民の知る権利を保障するものであり、国民に公開すべきものだと思います。戦前日本は軍隊の守秘義務によって事実を国民に知らせず、あのような結果となったのです。公務員の間違った行為を公開することが、何故守秘義務違反となるのでしょうか。むしろ教育庁の人事部が、業績評価実施要項(法令に順ずるもの)に第一次評価者は校長で、(校長の権限と責任で評価する)絶対評価で付けると明記してあるにもかかわらず、相対評価であるパーセンテージを出して指導していることは、業績評価実施要項違反であり、人事部こそが地公法の法令遵守義務違反の服務事故を起こしているとしか考えられません。守秘義務違反の可能性があると私を脅迫して、今後私に自由に発言させないようにするためとしか考えられません。きっとこの件を公表されると、教育庁にとって都合が悪いのです。それと業績評価についての20%以上C・Dをつけることは多くの校長が教職員に話しており、ほとんどの教職員はその事実を知っていると思います。となれば、ほとんどの校長が守秘義務違反となるはずです。もし私の服務事故報告書を書くのなら、他の校長の守秘義務違反について調査をお願いします。
 最後に、校長の上司に当たる教育庁(人事部、指導部、学校教育部等)が、地公法の法令遵守義務違反の服務事故を起こした場合は、誰がどのようにして服務事故報告書等の手続きを行うのかお聞かせ願いたいと思います。

 以上、大きく四点、その他の出来事五点について私の考え方を表明しました。「職員会議において職員の意向を確認する挙手・採決を禁止する」通知の撤回の要求は、単に通知の問題点だけではなく、現在のさまざまな教育庁による言論の弾圧の中で、通知として文書化されているこの禁止規定だけは撤回していただきたいと思っているからです。
 尚、この文書だけでは私の本意が正しく伝わらず、教育委員の皆さんが十分に理解できないところもあると思います。また教育庁の言い分もあると思います。添付資料の要請書にも書いてあるように、私も教育庁も、生徒のため、東京のため、日本のために頑張っているのです。その意味で、貴委員会の場に是非とも私と教育庁の幹部を呼んでいただき、この件についてのお互いに意見を十分に討論させていただきたいのです。その上で、教育委員の皆さんに公正な判断をしていただけたら幸いです。

平成20年9月6日

東京都立三鷹高等学校長
土肥 信雄

※全文は、 ↓ のHPから
 『学校に自由の風を!』
http://comcom.jca.apc.org/freedom/siryou/siryou_080927.html

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