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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の勧告を受けて

2025年02月26日 | 人権

 ★ 賃金・昇進のジエンダー格差解消を!
   裁判官に研修も求める (『女のしんぶん』から)

日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)共同代表世話人 柚木康子

 2024年10月17日の女性差別撤廃委員会(CEDAW)の日本報告審議の経緯は、既に昨年報告した(本紙2024年12月10日号)。今回は、審議を踏まえ出された総括所見、主に労働分野について報告する。

 ★ 女性の労働実態を報告

 日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)は、以下について報告をした。
 女性活躍推進法に基づき公表された男女間格差割合では、大企業ほど格差が大きく、コース別雇用では女性は一般職で昇進の対象外
 女性は非正規雇用者の68・2%を占めているが、労契法20条裁判の最高裁判決は「同一労働同一賃金」への期待を裏切る内容だった。
 2024年4月盛岡地裁は、契約社員が正社員との差別是正を求めた裁判で、労契法20条裁判の最高裁判決を踏襲して請求を棄却した。
 同年5月には、東京地裁がAGC裁判コース別の一般職女性への住宅関連手当で初めて間接差別を認めたが、男女間賃金格差については棄却。

 地方自治体で働く非正規公務員112万人のうち76・6%が女性で、正規の女性比率40%弱に比べ非常に多く、かつ仕事は継続的なのに単年度任用・低賃金・低待遇・ハラスメントが多く、雇用不安から声を出せない実態がある。

 女性の年収は、生計維持者でも7割が250万円以下。
 育休明けに保育園が見つからず、正社員復帰が前提で契約社員となった女性が会社から訴えられ、最高裁で敗訴した育児休業取得への不利益取扱いもあった。
 さらに、保育士の配置基準改正後も、待遇の低さから保育施設の3割が保育士を確保できない実態などを報告し、2016年総括所見評価表の最新版も提供した。

 ★ 委員からの鋭い指摘

 10月17日の審議では、条約11条(雇用)に関し、デシルバ委員(スリランカ)がNGOからの情報提供を活用し、矢継ぎ早に質問した。

 コース別雇用で女性は一般職で賃金が低い、管理職の女性は15%しかいないが一般勧告40号に基づく50%となる政策を期待する。
 IT業界は女性が11%だがその分野に女性のリーダーが増えれば前向きの影響がある。
 AI研修に向け開発段階から女性が入りバイアスをなくす必要性、男女賃金ギャップが24・3%も残っている。
 非正規雇用が特に女性に多く、女性活躍推進法による賃金ギャップ公表を広げる考えはあるのか、AGC・東和工業・大阪医科薬科大(企業名が出された!)など賃金や昇進にジェンダー格差がある。
 裁判所は差別なしと判断したが、国として飴と鞭のようなアプローチなど経済的インセンティブを与える考えはあるか。

 追加質問でも、間接差別の対象は世界中で妊娠や子育て、都市と地方、年齢などに広がっているが、日本も法整備の見直しを考えているかと迫った。

 厚労省他による回答の多くは予定原稿の読み上げだったが、女性活躍推進法の対象を101人以上の企業に拡大することは検討中、間接差別の対象拡大は今後必要に応じて検討していきたいと答えた。

『女のしんぶん』(2025年2月10日)発行所:女性会議

 


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