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メビウスの輪 (やいっち)
2007-10-25 05:33:46
オペラ座の灰燼さん
TBだけして失礼しました。

小生が評論家としてのプルーストを知ったのはほんの数年前、マルセル・プルースト著『評論選Ⅱ 芸術篇』(保苅瑞穂編 ちくま文庫)などを読んでからでした(その前に、本書の広告でオヤッと思った)。
オペラ座の灰燼さんは、筑摩書房の『プルースト全集15』で読んでこられたのですね。

今度、上掲書などを読むのは二度目となるのですが、やはり随所でプルーストの評論というより、ほとんど彼の本領発揮の文章に魅せられるばかり。
シャルダンを論じているのか、いつかしらまさにプルースト世界にメビウスの輪のごとくごく自然に滑らかに導かれるだけなのか、その叙述と観察と文責のキメ細かさと相俟って酔わされるばかり。
ネットで「プルースト シャルダン」で検索したら、オペラ座の灰燼さんのこの頁に遭遇したのでした。

シャルダンの項だけでなく、随所で転記したくなる文章が、読むことそれ自体が快感となってしまうような文章があり、まさに本稿で転記した箇所もそうでした。
プルーストの世界に耽溺したら、もうそこから抜け出せなくなりそう。
記憶の世界でありつつ、人間にとっての記憶の不可思議をプルーストならではの、今、物語がそこで展開されているのを現にその場にあって観察し表現しつくそうとしているよう。
臨死体験で、自分が死んで横たわっているのを、その自分を取り巻いて家族や知人が歎いている様子を、部屋の片隅、天井の一角から眺め下ろし描きこんでいるような錯覚に陥ったりします。
そう、素晴らしい作家としか言いようがありませんね。
お邪魔しました。
 
 
 
メタフォール (オペラ座の灰燼)
2007-10-27 00:48:38
プルーストは「フローベールの「文体」について」というエッセイのなかで

ここには長くなりすぎるので詳述できないが、いろいろの理由から、
私 は文体に一種の永遠性を与えるのは、暗喩(メタフォール)のみ
であろうと考えている。

といっています。
今、そこで展開されている物語を、まるで人の感覚中枢や内臓にまで
語りかけんとするようなプルーストならではの文体は、豊かな
隠喩で彩られていますね。
小説やエッセイにおいては感動を与えてくれるプルーストの隠喩は、
さすがに日常生活で文体を意識した日常を過ごすことは困難ですが、
ただちょっとした会話に隠喩を添えるだけで、対人関係も豊かに
深まるのではないかと、私は思います。文体に一種の永遠性と
いうのに対し、その場合は印象の持続性といいましょうか。
なるべく日常生活で「豊かなもの」を追い求めたいものです。
 
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