音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆ベートーヴェン自身の言葉から

2007年03月08日 | ベートーヴェン Beethoven
久々に、
ベートーヴェンに関する書物を読みながら、
彼自身の言葉に触れることができました。
そんな一部をご紹介いたしたく、筆をとってみます。


●「―――そして自分を宇宙との関わりで考えれば
私の存在などなんでしょう―――」

ベートーヴェンという巨人が、
宇宙の規模から彼自身の人間というものの小ささを
痛感していたことが垣間見られるようです。
「一人の人間のちっぽけな存在」
多くの人が、少なからず感じることのある
共通の感覚ではないでしょうか?
ベートーヴェンも、そんなれっきとした人間の一人、
ということなのでしょうか。


●「また人が偉大な人物と
よぶものがなんだというのでしょうか」

それにしても、
後世の我々にとって(いやベートーヴェンが生きていた当時から
すでに)彼自身が疑いなく「偉大」な人間の一人ではないでしょうか。
偉大であること・・・なんだというのでしょうか。
偉大であることは事実でもあり、あるいはどうでもいいことでもあり、
大事なことでもあるけれど、やっぱりどうでもいいことなのかも
しれない。


●「―――ああ、神よ―――こんなにも近しい!こんなにも遠い!」

・・・色即是空 空即是色・・・!?


● 「あなたの腕に身を投げ、あなたのもので完全に故郷にいる
思いを味わい、そしてあなたに寄りそわれて私の魂を霊の王国へと
送ることができるまで―――」

・・・ベートーヴェンが、自身の魂のゆく先について触れている・・・
そういうことを考えていた人であったことが、
この文章から明らかになりましょう。


そういうことを考えていた人が、音楽を書いた・・・


そう、もしかすると、きっと、
あの最後のピアノソナタ群、
《op.109》《op.110》《op.111》には、
このような思いがあるのではないか、
ベートーヴェンの言葉を念頭に置きながら曲を弾いてみて・・・
深くそれを音楽に見出すことができる気がするのです・・・

私の魂が霊の王国へと送られる様子が

「あなたに寄りそわれて」

《op.111》の最後に現れる高い高音域からの声・・・
ベートーヴェンは、「あなた」に寄りそわれて
魂がかの国へと送り出される様子を、音楽にすることに
成功したのでしょうか


ベートーヴェン自身の言葉と、
彼の音楽が重なり合う・・・!?

つづく

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