音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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(続き4)◆《さくら横町》に魅せられて

2008年07月25日 | 中田喜直《さくら横丁》
歌曲《さくら横町》の再現部、
と、
ちょっとその前に、
この再現部へ戻る寸前の魅力なところについて
触れさせてください。


全部で【3小節】のピアノの間奏は、
前回の記事で取り上げました「ほほえんだ夢のふるさと」【3小節】を
追随するような役割をもっているのかもしれません・・・
http://blog.goo.ne.jp/pianist-gensegawa/e/dfff55966100a650d37785c84bfbd328
どちらも同じ【3小節】という小節周期。


【3小節】で突然「いなくなった」歌を
「mp」で一人奏でるピアノの役割は、
歌曲が担う大きな役割ある「言葉」を離れて
「音のみ」で、その余韻を味わう醍醐味と
いえるのかもしれません。


ここに、歌曲伴奏をするピアニストの難しさがあると
いってもいいでしょう。


ただピアノを弾くだけではなく、
歌い手が歌う「言葉」と、その曲の持つ「世界」を感得し、
自分は一体何を弾いているのか、何を受け持っているのか、
「その音は何なのか」を吟味し、探り、
歌手と一緒になって音楽を創ってゆく・・・


・・・なかなか難しい・・・時間もかかるかも・・・けれど、
何かが「見える」「分かる」瞬間、
(「見えた気がした」「分かった気がした」瞬間)
そんな瞬間が、
器楽曲では味わえない歌曲ならではの遣り甲斐と
言えるのかもしれません。


――――――――――――――――――――――――――


話が歌曲伴奏全般にちょっと逸れてしまいましたが、
この【3小節】のピアノの間奏、
特に注目すべきは、三つ目の小節 ↓

上声部のラインは半音階で、
つづく「春の宵」という冒頭のメロディーの始まりの
【掛留音】へと導いてゆきます。(この【掛留音】については
最初の頃の記事で取り上げましたhttp://blog.goo.ne.jp/pianist-gensegawa/e/c0c271770ba862abf0302ec9c7b9fe44)

そして、
●二拍目を見てみると、「Gis」と「G」の音が入り混じった尋常ではない和音、
●小節全体にまたがる松葉印のクレッシェンド&デクレッシェンド「 < > 」、
(これはespressivo(感情込めて)とも解釈できる音楽的効果を持ちます)
●さらに「rit.(リタルダンド、徐々に遅くなるという意味)」が書き添えられ、


このような、ただならぬ一小節を通して、音楽は
冒頭の聴き馴染みあるメロディー【再現部】へと戻ってゆきます。


(☆ちなみに、この「Gis」と「G」という「隣り合った第3音」は、
長調と短調が入り混じった、ジャズピアノによく使われる音です。
クラシックにおいて、自分が思いつく限りでは、
ガーシュウィンがこれを使っているのではないでしょうか。そして、
後だか先だか、はっきりとした証拠はありませんが、これに影響を受けてか、
後期のラヴェルの作品《ピアノ・コンチェルト》において、
このような種類の音が、魅力的に使われます。)


(つづく)



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