Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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神経内科医が主人公のミステリー

2006年02月22日 | 医学と医療
左心室縮小形成術、むしろ創始者の名前を冠したバチスタ手術のほうが通りがよいかもしれない。拡張型心筋症に対する手術術式のひとつで、肥大・変性した心筋を切りとり小さく作り直すという単純な発想に基づいた大胆な手術である。難易度の高い心臓移植の代替手術として知られるが、要は余分なものは取ってしまうというラテンのノリの手術である。
ちょっと趣を変えて良質の推理小説の紹介。年1回「このミステリーがすごい!大賞」が発表されているが、今年の大賞受賞作はの主人公はなんと神経内科医である。東城大学医学部臓器制御外科桐生助教授をリーダーとするチーム・バチスタは、バチスタ手術100%の成功率を誇っていたが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死とメディアの注目を集める手術が重なる事態に、病院長は神経内科講師で不定愁訴外来責任者田口に内部調査を依頼する・・・
これ以上はネタばれになってしまうのでやめておくが、著者は詳細不明ながら勤務医の先生。現在の大学病院や医局制度の描写、医療過誤やリスクマネージメントの問題の扱いなどとても丁寧で、ストーリーのみならず、この辺もなかなか楽しく、一気に読ませる内容であった。あと後半、「Ai(エー・アイ)」なる聞きなれない専門用語が出てくるが、この辺は勉強になった(その言葉こそ知らなかったが個人的には一度経験したことはある)。あとは主人公が神経内科医の知識をフル活用してもらえていれば大満足の作品であったが、その辺は続編を期待したい。

チーム・バチスタの栄光 海堂尊。宝島社
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