いきがかり上いたしかたなく・ぶろぐ

寄る年波には勝てないし難しいことは出来ないし、行き掛かり上致し方なくブログに頼ります。

子どもたち

2006-03-06 16:43:33 | 出来事
いろいろな子どもたちと絵や工作をやってきた私なのだが、今月いっぱいでそれも終了する。

思えばいろんな子どもたちに出会った。子どもというのは実は大人よりも大人で、何も考えていないように見えてけっこういろいろなことを考えている。彼らから見ると私はどうにも頼りないらしくて、ある4歳児は毎週私に折り紙を教えてくれたのだが、翌週にはその折り方のおさらいテストというやつを私は受けさせられたりしていた。そして覚えていないのよね、折り方を。だって1枚の紙でどこも切ったりせずに、何本かくっついてるバナナを折ったりするんだよ、その子は。

虫のことなら何でも知っている子、恐竜にやたら詳しくて恐竜ばっかり作っている子、マンガ本の台詞部分を完全に暗記しているという『華氏451度』のブックピープルみたいな子、小さい子の面倒をよく見る世話好きな子、いじめられている子、宇宙人みたいな子。

最初、汚いからといって粘土に触れなかった子がそのうち触れるようになったり、私のことを物で叩いたりしていた子が、そのうち手で叩くようになり、やがて肩を叩くようになり、最後にはずーっとくっついていたり。

ほかの子がとても上手に何かを作っているのを見てわざと壊してしまう子もいる。うっかりならたいてい壊した方もすぐに謝るし、私も壊されて泣いてる子をなだめてとりなしたりもする。でもごくたまにだけれど、わざと壊して謝らない子もいる。私にとがめられると「もっと上手に作ってあげようと思った」とか言い訳を始めるのだ。どんな理由があっても壊してしまったことには変わりはない。増してその言い訳が嘘だったら、私はよけいに叱らなくてはならなくなる。言い訳も嘘も自分の間違いを認めないことも嫌いだからだ。

けれど中にはさらに、私を上目遣いに見ながら「叱るんならもう来ないから」などと言う子もいたりする。今まで同じようにして大人を操れたことがあるのだろうか。私はあなたが本当はいい子だと知っている。もう来ないと言うのなら私は別にかまわない。後であなたのお母さんに話をしましょう。そうすればもう来なくてよくなる。で、あなたはそれでいいのかな? そう聞くとやっぱり来ると言う。

私は怒るととても恐ろしいので(関西弁で怒鳴る。しばらくはしーんと静まり返る)、前から来てくれている子がその恐ろしさについて最近来た子に話してくれるので、あの人を怒らせると怖いからそのへんでやめとけというふうに「林本さんの恐ろしさ」は伝説となり実際に怒らなくてもよくなったりもする。でも、実際怒ってもくどくど怒り続けてたりはしない。よほどのことでない限りたいてい一瞬だけ。怒っている状態というのも好きではないから。

私は未熟だから行き届かないことも多くて、でも私に「大きくなったら何になりたいの?」と聞いてくれた子どもたち。私はまだ、何にもなれていない。

壁に貼ってある絵。作りかけの粘土細工。引っ越していった子が「ここに置いておいてね」と残していったその子の名前を書いた紙切れ。ビー玉、おはじき、ゴムのタイヤ、色紙、ガムテープ、画用紙、ビニールテープ、水彩絵の具、スパンコール、色とりどりのボタン、紙粘土、竹ひご、はさみ、のこぎり、くぎ、ラジオペンチ、いろいろな太さの針金、モール、カッターナイフ、たくさんのサインペン、山ほどのガラクタ(空き箱、牛乳パック、空き缶、トイレットペーパーの芯など)、端切れ、毛糸、木の切れっ端、ビーズ、リボン、タコ糸、図鑑や絵本。

楽しかったな、とても。ありがとう、ほんとに。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
図画工作の先生 (体調)
2006-03-06 20:15:41
もあと少しの間になったんですね。

工房でよく教室の話をされてましたが、楽しそうな教室で近くならばうちの子も通わせたいと常々思ってました。

あ、でも「先生」とは呼ばせてないって言ってましたね。林本さんらしいな。

いろんな子供がいて、大変な事もたくさんあったと思います。

でも子供っておもしろいですよね。こちらが教えられることもいっぱいあるから。

私はなぜか学校で勉強を教えてくれた先生より部活の先生とか、社会人になってからの絵の先生、ギターの先生の方が印象深いです。

時々、「先生、元気かな~?」とか思い出したりね。

きっと林本さんも、子供たちにとってそんな存在だと思います。





お花見作戦の予定日、メールにて連絡します。

震えて待て!!(?)
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今度は生徒です (林本ひろみ)
2006-03-07 01:36:36
4月からカルチャーセンターやら何やら行く予定です。今度は生徒になります。勉強するのは久々なのでドキドキです。



あ、メールの返事出しました~。

返信する
勉強☆ (みやじま)
2006-03-07 12:28:30
日記読んでて泣きそうになりました。

卒業式とかの気持ちに似てるかな。

ジーーン、、
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子どもはみんな先生でした (林本ひろみ)
2006-03-07 14:45:33
子どもというのはどうかすると大人よりいろいろなことを知っています。たぶん大人は大人になっていく過程で、いっぱい知っていたいろいろなことを忘れてしまうのだと思う。



勉強することはとても大事ですけれど、大人になるにつれてどうでもいいようなこともたくさん覚えていって、本当にたいせつな何かをどんどん忘れていくみたいな気がします。



そういう何かを忘れないこと。いくつになっても何かになろうと思い続けること。いつも発展途上であり続けること。子どもたちはみんな私の先生でした。



私は、えらい大人ではなくて、小さなでもずっと夢を持ち続ける子どもの気持ちでいたいです。
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