昨晩テレビを点けてチャンネルを変えていたらあるシーンでリモコンを持った手が止まった。
坂東玉三郎丈の鷺娘だったのかな…、え゛ぇ…っ
どうやら『ニュースな会』とやらいう番組で、ゲストパネラーがお薦めのダンス、凄いと思ったダンスを紹介するという内容らしい。
演出家の宮本亜門氏を筆頭にDa PumpのISSA、振付師のAKANEさんなどが座っていて、司会進行が中居正広氏、進行側のゲストに劇団ひとり氏他数名。
なんだか面白そう
ゲストパネラーたちが順にダンサーやそのダンスを紹介し、見どころやどこに感動したかなどを語ってくれる。
熊川哲也氏もVTR出演で、フレッド・アステアとミハイル・バリシニコフを紹介。
アステアの素晴らしさは脱力感、その脱力が出来るからこそステップからステップへの繋ぎ目が判別出来なくなって一つのステップに見えてしまうということ、そして小道具使いの巧みさ。丈の高い帽子掛けをパートナーに見立てて踊るシーンが映されたんだけど、まぁ素敵でした。
そしてバリシニコフの場合は映画『ホワイトナイツ』の1シーン、タップダンサーと二人で全く同じ振り付けをユニゾンで踊るシーンだったんだけど、その動きの違いを熊川氏が丁寧に解説してくれました。
そのあとでK-Bllet カンパニーのダンサーが踊りを披露したんですが、司会の中居クンが感動してましたね。
劇団ひとり氏は“ぐん って思いっきりしゃがみ込んで反動をつけるわけでもないのに、なんであんなに高く跳びあがれるんだ”って不思議がってて、Da Pumpのメンバーがトゥール・ザン・レールに挑戦したんですけどね。
真っ直ぐ立ったところからプリエして、思いっきりトルソーを捻って反動をつける準備をして、そこからどぉっこいしょぉぉ と跳びあがって2回転、カタチはなってないけどさすがは世界大会8連覇中のダンサーです、身体能力が高いからちょっとしたアドバイスをもらいながら何度か繰り返すと、少ぉ~しずつサマになりはじめましたもんね
そのあともボブ・フォッシーと彼の作品である『スウィート・チャリティー』の1シーンだとか、シルヴィー・ギエムが行きついたコンテンポラリー作品の1シーンだとか、いろいろなダンスが紹介されてて楽しかったです。
私にとってちょっと衝撃だったのはS**T Kings(シットキングス)という男性4人組のダンスユニットの作品で、それはチャップリンの映画『独裁者』で独裁者に扮したチャップリンの演説、その音声に振り付けした作品です。チャップリンの声、その抑揚や強弱に動きが見事に一致していて凄かった
ダンス=音楽という当たり前の概念から軽々と抜け出して飛翔したような作品でしたねぇ
あーでなければいけない、こーでなければ踊りじゃない、そーでなければ表現じゃない、なんていう時代は終わったのね
私がバレエを始めた頃、昔むかぁしはね、クラシック・バレエはクラシック・バレエ、モダン・バレエはモダン・バレエ、モダン・ダンスはモダン・ダンス、とがっちり色分けというか領域わけというか区別していました。その当時は、クラシック・バレリーナはクラシック・バレエしか踊らない、という傾向があったように思います。ジャズを聴いていた先輩が“バレリーナなんだからクラシックをお聴きなさい”と先生に注意されていたこともありましたからね。
でも今時代は変わりました。
クラシック・バレリーナはクラシック・バレエしか踊らない、のではなく、クラシック・バレリーナだからこそコンテンポラリーも踊れる、踊れて当たり前、そんな時代になりました。それが一番よく分かるのがローザンヌのコンクールでしょう、課題曲はクラシック・バリエーションとコンテンポラリーと両方踊らなければなりませんからね
クラシック・バレエであれコンテンポラリーであれソシアル・ダンスであれその他の多様なダンスを、自ら踊って楽しむもよし観て楽しむもよし…、お楽しみはこれからだ…そんな気がします…楽しみ…