5月22日(日)Buono! Vol.4
~世界を巡る歌曲&時代を巡るオペラ~
新宿文化センター小ホール
【出演】
歌:川上茉梨絵、加藤のぞみ、瀬田祐美子、戸井田有希、吉成文乃、市川泰明、黄木透、後藤将文、目黒知史
ピアノ:仲村真貴子、樋口晃子、山下祐加
【曲目】
~第1部~国を巡る歌曲~
♪山下祐加/わらい (残念!間に合わず…)
♪中田喜直/さくら横町
♪中田喜直/かなしくなった時は
♪バッハ/マニフィカト~その憐れみは
♪ブラームス/永遠の愛
♪シュトラウス/我が愛を抱いて
♪カプーア/君に口づけしたい
♪ファルヴォ/彼女に告げてよ
♪トスティ/暁は光から
♪フォーレ/月の光
♪ファリャ/モーロ人の織物
♪クィルター/来たれ死よ
♪クィルター/我が人生の喜び
♪服部良一/蘇州夜曲
♪黎錦光/夜来香
♪山下祐加/寿限無
~第2部~時代を巡るオペラ~
♪ヘンデル/「ジュリアス・シーザー」~愛しい希望よ
♪モーツァルト/「ドン・ジョヴァンニ」~お手をどうぞ
♪モーツァルト/「魔笛」~なんと美しい絵姿
♪モーツァルト/「魔笛」~パパパの二重唱
♪ロッシーニ/「チェネレントラ」~何か分からぬ甘美さが
♪ベルリーニ/「ノルマ」~ごらんなさい、ノルマ
♪ヴェルディ/「仮面舞踏会」~永久に君を失って
♪ヴェルディ/「椿姫」~パリを離れて
~アンコール~
♪ヨハン・シュトラウス/「こうもり」~シャンパンの歌
家族で新宿西口の区民ギャラリーで父が講師を務める絵画グループの絵画展を見たあと、東口へまわり、新宿文化センターで、芸大の学生を中心に集まった9人の歌手と3人のビアニストによるコンサートを聴いた。
前半の、世界の歌曲を集めたステージでは、馴染み深い歌から珍しいものまで揃い、各国の多彩な歌が繰り広げられた。なかにはデュエットやカルテット、間に合わず聴けなかったが、合唱もあり、歌の内容でも編成でも多彩なバリエーションを楽しんだ。演奏は総じてレベルが高く、声も大変よく鍛えられた素晴らしい歌声で、そのため、それぞれの歌の世界に入り込むことができたが、とりわけ演奏に入り込めるのは、歌い手がいかに詩と音楽に共感し、「自分の歌」として表現できているか、ということだと思った。
オペラの名場面を集めた後半のステージは、更に楽しかった。馴染み深いメロディーがたくさん披露され、簡単な小道具や演技も交えたために、オペラの場面が身近に感じられた、ということもあるが、後半の歌を聴いていて、つくづく「人は歌う生き物」ということを実感した。それだけ歌が自然に、自ら命を得て発せられていた。これは、やはり「オペラ」が歌曲とは違い、歌詞にしてもストーリーにしてもストレートな感情移入をしやすい、ということと、オペラで有名な作曲家というのは、気持ちよく歌える歌を書いている、ということがあるように思う。前半では少々表情が硬かったように思った歌い手も、後半では水を得た魚、と言えるほどに「自分の歌」を聴かせていたのが印象的だった。
披露されたオペラの名場面集の多くは、男女が愛を語ったり、表現するシーンだったが、メンバーは臆することなく、その役になり切り、名演技とともに瑞々しい情感に溢れた歌を聴かせてくれたのは、やはり毎年同じメンバーで公演を行い、4回目を迎える、という経験の積み重ねも大きいのだろう。前半では「もう帰ろう」とうるさかった息子も、こちらは楽しんでいた。最後は、NHKニューイヤーオペラコンサートのノリで、シャンパンの歌を全員で披露し、場は大いに盛り上がり、このコンサートのタイトル通りの「おいしい!(Buono!)」時間を堪能した。
ステージを全て聴き終え、出演者がみな、素晴らしい才能と実力を持っていることを感じた。どの歌い手もそれぞれに印象に残るところはあったが、この演奏会で最も感銘を受けたのは、メゾの加藤のぞみさんが歌ったブラームスの「永遠の愛」。実に安定した歌唱で、気高さを感じる美声は、それだけでスポットライトを浴びているよう。言葉の一つ一つが美しく明瞭に発音されるだけでなく、それらがきちんとフレーズとして有機的につながり、不安や焦燥から永遠の愛を確信する心の変化を見事に表現していた。最後に、"Unsere Liebe muss ewig bestehen!"と喜ばしく歌うフレーズからは、溢れる光を感じた。加藤さんは今年の藝大オペラで「コジ」のドラベッラを歌うという。これは是非応援に行きたい。
~世界を巡る歌曲&時代を巡るオペラ~
新宿文化センター小ホール
【出演】
歌:川上茉梨絵、加藤のぞみ、瀬田祐美子、戸井田有希、吉成文乃、市川泰明、黄木透、後藤将文、目黒知史
ピアノ:仲村真貴子、樋口晃子、山下祐加
【曲目】
~第1部~国を巡る歌曲~
♪山下祐加/わらい (残念!間に合わず…)
♪中田喜直/さくら横町
♪中田喜直/かなしくなった時は
♪バッハ/マニフィカト~その憐れみは
♪ブラームス/永遠の愛
♪シュトラウス/我が愛を抱いて
♪カプーア/君に口づけしたい
♪ファルヴォ/彼女に告げてよ
♪トスティ/暁は光から
♪フォーレ/月の光
♪ファリャ/モーロ人の織物
♪クィルター/来たれ死よ
♪クィルター/我が人生の喜び
♪服部良一/蘇州夜曲
♪黎錦光/夜来香
♪山下祐加/寿限無
~第2部~時代を巡るオペラ~
♪ヘンデル/「ジュリアス・シーザー」~愛しい希望よ
♪モーツァルト/「ドン・ジョヴァンニ」~お手をどうぞ
♪モーツァルト/「魔笛」~なんと美しい絵姿
♪モーツァルト/「魔笛」~パパパの二重唱
♪ロッシーニ/「チェネレントラ」~何か分からぬ甘美さが
♪ベルリーニ/「ノルマ」~ごらんなさい、ノルマ
♪ヴェルディ/「仮面舞踏会」~永久に君を失って
♪ヴェルディ/「椿姫」~パリを離れて
~アンコール~
♪ヨハン・シュトラウス/「こうもり」~シャンパンの歌
家族で新宿西口の区民ギャラリーで父が講師を務める絵画グループの絵画展を見たあと、東口へまわり、新宿文化センターで、芸大の学生を中心に集まった9人の歌手と3人のビアニストによるコンサートを聴いた。
前半の、世界の歌曲を集めたステージでは、馴染み深い歌から珍しいものまで揃い、各国の多彩な歌が繰り広げられた。なかにはデュエットやカルテット、間に合わず聴けなかったが、合唱もあり、歌の内容でも編成でも多彩なバリエーションを楽しんだ。演奏は総じてレベルが高く、声も大変よく鍛えられた素晴らしい歌声で、そのため、それぞれの歌の世界に入り込むことができたが、とりわけ演奏に入り込めるのは、歌い手がいかに詩と音楽に共感し、「自分の歌」として表現できているか、ということだと思った。
オペラの名場面を集めた後半のステージは、更に楽しかった。馴染み深いメロディーがたくさん披露され、簡単な小道具や演技も交えたために、オペラの場面が身近に感じられた、ということもあるが、後半の歌を聴いていて、つくづく「人は歌う生き物」ということを実感した。それだけ歌が自然に、自ら命を得て発せられていた。これは、やはり「オペラ」が歌曲とは違い、歌詞にしてもストーリーにしてもストレートな感情移入をしやすい、ということと、オペラで有名な作曲家というのは、気持ちよく歌える歌を書いている、ということがあるように思う。前半では少々表情が硬かったように思った歌い手も、後半では水を得た魚、と言えるほどに「自分の歌」を聴かせていたのが印象的だった。
披露されたオペラの名場面集の多くは、男女が愛を語ったり、表現するシーンだったが、メンバーは臆することなく、その役になり切り、名演技とともに瑞々しい情感に溢れた歌を聴かせてくれたのは、やはり毎年同じメンバーで公演を行い、4回目を迎える、という経験の積み重ねも大きいのだろう。前半では「もう帰ろう」とうるさかった息子も、こちらは楽しんでいた。最後は、NHKニューイヤーオペラコンサートのノリで、シャンパンの歌を全員で披露し、場は大いに盛り上がり、このコンサートのタイトル通りの「おいしい!(Buono!)」時間を堪能した。
ステージを全て聴き終え、出演者がみな、素晴らしい才能と実力を持っていることを感じた。どの歌い手もそれぞれに印象に残るところはあったが、この演奏会で最も感銘を受けたのは、メゾの加藤のぞみさんが歌ったブラームスの「永遠の愛」。実に安定した歌唱で、気高さを感じる美声は、それだけでスポットライトを浴びているよう。言葉の一つ一つが美しく明瞭に発音されるだけでなく、それらがきちんとフレーズとして有機的につながり、不安や焦燥から永遠の愛を確信する心の変化を見事に表現していた。最後に、"Unsere Liebe muss ewig bestehen!"と喜ばしく歌うフレーズからは、溢れる光を感じた。加藤さんは今年の藝大オペラで「コジ」のドラベッラを歌うという。これは是非応援に行きたい。