12月26日(火)ゲルハルト・オピッツ(Pf)
東京オペラシティ・コンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調op.27-2「月光」
2.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第16番ト長調op.31-1
3.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第17番ニ短調op.31-2「テンペスト」
4.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第15番ニ長調op.28「田園」
今年最後のコンサートはオピッツのベートーヴェン。結構直前に良い席が取れたので空席が目立っているかと思いきや、会場はほぼ満員でこの人気にはちょっとびっくりした。オピッツを聴くのはNHKのピアノレッスンに出ていた当時以来だからもう12年ぐらいぶり。12年前と変わらぬ風貌。そしてとても端正でオーソドックスなピアノも。
オピッツのピアノからはエンターテイメント的なものとは正反対の学者肌を感じる。「ドイツの正統的なピアノ演奏を受け継ぐ」という見出しをよく見かけるが確かにそれは当たっているのかも知れない。でも、こんなこと書いたら怒られるかも知れないが、だとすると「ドイツの正統的なピアノ演奏ってあまりおもしろくないのでは…」という気が少しした。
音楽を真正面から捉え、とても正直で、それにすごく研究もして楽譜を深く読み込んでいるんだとは思う。演奏からはそうした自信がにじみ出ていて確信に満ちている。「音色やテンポでのごまかしなど許さない。奇を衒った演奏など論外」と言わんばかりのオーソドックスさ。
オピッツはスタインウェイのフルコンサートピアノを使いながら、そこから出る音は真正直で、きっと弾き方によっては多彩な音色を引き出せるであろうこのピアノだが、モノトーンと言ってしまえるほどの限られた音色にしか興味はないという感じ。近年のピリオド奏法からの影響もなく、ベートーヴェンの激しいコントラストもそこそこの表出にセーブされる。「あー、ここをもっと激しくやってくれればいいのに」とか「この音はもっと別の色合いで弾いて欲しい」とか、自分のイメージや期待の肩透かしを食らうことがたびたび…
以前は「ドイツの正統派」なんて聞くとそれだけで結構共感していた僕だが、今はもっと演奏に「色」や「意外性」を求めてしまうのは、聞く側の自分が正統派志向からずれてしまったせいなのかも知れない。
というわけで、オピッツさんのベートーヴェン、決して悪くはないのだが自分にとっては物足りなかったというのが今夜の感想。
東京オペラシティ・コンサートホール タケミツメモリアル
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調op.27-2「月光」
2.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第16番ト長調op.31-1
3.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第17番ニ短調op.31-2「テンペスト」
4.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第15番ニ長調op.28「田園」
今年最後のコンサートはオピッツのベートーヴェン。結構直前に良い席が取れたので空席が目立っているかと思いきや、会場はほぼ満員でこの人気にはちょっとびっくりした。オピッツを聴くのはNHKのピアノレッスンに出ていた当時以来だからもう12年ぐらいぶり。12年前と変わらぬ風貌。そしてとても端正でオーソドックスなピアノも。
オピッツのピアノからはエンターテイメント的なものとは正反対の学者肌を感じる。「ドイツの正統的なピアノ演奏を受け継ぐ」という見出しをよく見かけるが確かにそれは当たっているのかも知れない。でも、こんなこと書いたら怒られるかも知れないが、だとすると「ドイツの正統的なピアノ演奏ってあまりおもしろくないのでは…」という気が少しした。
音楽を真正面から捉え、とても正直で、それにすごく研究もして楽譜を深く読み込んでいるんだとは思う。演奏からはそうした自信がにじみ出ていて確信に満ちている。「音色やテンポでのごまかしなど許さない。奇を衒った演奏など論外」と言わんばかりのオーソドックスさ。
オピッツはスタインウェイのフルコンサートピアノを使いながら、そこから出る音は真正直で、きっと弾き方によっては多彩な音色を引き出せるであろうこのピアノだが、モノトーンと言ってしまえるほどの限られた音色にしか興味はないという感じ。近年のピリオド奏法からの影響もなく、ベートーヴェンの激しいコントラストもそこそこの表出にセーブされる。「あー、ここをもっと激しくやってくれればいいのに」とか「この音はもっと別の色合いで弾いて欲しい」とか、自分のイメージや期待の肩透かしを食らうことがたびたび…
以前は「ドイツの正統派」なんて聞くとそれだけで結構共感していた僕だが、今はもっと演奏に「色」や「意外性」を求めてしまうのは、聞く側の自分が正統派志向からずれてしまったせいなのかも知れない。
というわけで、オピッツさんのベートーヴェン、決して悪くはないのだが自分にとっては物足りなかったというのが今夜の感想。
以前から私も同じように感じていました。
オピッツ氏の演奏はメトロノームみたいです~ピアノを学ぶ学生にっって、お手本中のお手本なのだと思いました。
それにしてもオピッツさんて[酔っぱらった小柄なブラームス]みたいです(失礼)
ミスは多いけど、ゲルバー様の方が断然魅力があります
古い記事にわざわざコメントをくださって、ありがとうございます。
オピッツは最近聴かれたのですか?
演奏の魅力の大きな要因として、活き活きとした生命力が欠かせないと思います。
どんなに上手くても、それがなければ何も訴えてこないし、
多少ミスっても(たくさんミスるのはダメ!)、生命力のある演奏からはたくさんのメッセージが投げかけれますよね。
ゲルバーの魅力、僕も同感です。
ゲルバーのレポートも書いていますので、宜しければこちらもどうぞ!
http://blog.goo.ne.jp/pocknsan/e/8902aa1a9aec3c29240c17167a459f47