5月19日(金)ラ・プティット・バンド
東京オペラシティ・タケミツメモリアル
【曲目】
1. ブランデンブルク協奏曲第2番 ヘ長調 BWV1047
Vn:サラ・クイケン/リコーダー:バルトルド・クイケン/Ob:尾崎温子/Tp:ジャン=フランソワ・マドゥーフ
2. ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調 BWV1051
Vla:サラ・クイケン、赤津真言
3. 三重協奏曲 イ短調 BWV1044
トラベルソ:バルトルド・クイケン/Vn:ジギスヴァルト・クイケン/Cem:バンジャマン・アラール
4. ブランデンブルグ協奏曲 第5番 ニ長調 BWV.1050
トラベルソ:バルトルド・クイケン/Vn:ジギスヴァルト・クイケン/Cem:バンジャマン・アラール
5. ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV1048
【アンコール】
ブランデンブルク協奏曲第3番~第3楽章
夫婦で出かけたラ・プティット・バンドの演奏会。前回聴いてからもう5年もたったなんて驚き。
元祖ピリオドとも言えるラ・プティット・バンドの奏でるバッハはいつ聴いても新鮮で、調和があり、何よりも楽しい。演奏には常に新しい試みを盛り込むというこのバンドは、楽器へのこだわりにも並々ならぬ熱意を注ぎ続け、低音楽器にスパッラを本格的に採り入れたり、トランペットに、バルブはおろか穴までないものを使ったり、「オリジナルの響き」への探求を続ける。つまり、ただ楽しく演奏するだけではなく、いつも前進を続けるアンサンブなのだ。
そんなシンプル極まりないラッパをソロ楽器に迎えて演奏したブランデンブルク協奏曲の2番、聴く方としては、わずかな音色の差にこだわって危なっかしい演奏を聴かされるより、演奏し易い機能を備えた楽器を使って欲しい、というのが本音だが、このラッパを吹いたマドゥーフは、片手を腰に当て、進軍ラッパを鳴らすような格好で、曲芸なみに見事にソロパートを吹きこなした。いとも軽々と高音を出し、速いパッセージもわけなくクリア。清々しい風が吹き抜けるような2番だった。
次の6番は、打って変わってしっとりした柔和さが全体に行き渡り、宮廷で繰り広げられる優雅なバロックダンスの趣き。落ち着いた響きのヴィオラの柔らかな語り口が、心にしっくりときた。
3曲目の三重協奏曲は珍しい作品だが、原曲はオルガン曲などから集めたパロディー。第1楽章の後半あたりでジギスヴァルトの弦が切れ、演奏が中断するハプニングがあり、最初からやり直したおかげで、初めて聴く曲に慣れ親しむことができた。ここではチェンバロのアラールの活躍が耳を引いた。
そのアラールの活躍を更に楽しめたのは、後半最初のブランデンブルク協奏曲第5番。端正な運指から優美で滑らかな表情が生まれ、アンサンブルの間を縦横に動き、金の刺繍を施してゆく。ヴァイオリンとトラベルソの優しい語りとの交感、そして、トゥッティとの語らいが幸せなひとときを届けてくれた。
最後のブランデンブルク協奏曲第3番は、チェンバロを10人の弦楽器奏者が取り囲み、圧巻の演奏を聴かせた。弦楽器の面々がみんなとても楽しそうに微笑を浮かべながら、小気味よいテンポで歩を進めて行く様子は、みんなで輪になって草原を駆け回っている情景。そこからソロが順番に抜けて、得意げな振りつけで踊っては、また輪の中に戻る。それを見守るトゥッティの面々・・・ 「個」と「全体」が、美しいハーモニーを奏で、活き活きとした息遣いが聴き手を心から楽しませてくれた。こんなバッハを聴けるのなら、また何度でもラ・プティット・バンドを聴きに来たい!という気持ちにさせてくれる公演だった。
ラ・プティット・バンドのオールバッハプログラム 2006.5.9 東京オペラシティコンサートホール
東京オペラシティ・タケミツメモリアル
【曲目】
1. ブランデンブルク協奏曲第2番 ヘ長調 BWV1047
Vn:サラ・クイケン/リコーダー:バルトルド・クイケン/Ob:尾崎温子/Tp:ジャン=フランソワ・マドゥーフ
2. ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調 BWV1051
Vla:サラ・クイケン、赤津真言
3. 三重協奏曲 イ短調 BWV1044
トラベルソ:バルトルド・クイケン/Vn:ジギスヴァルト・クイケン/Cem:バンジャマン・アラール
4. ブランデンブルグ協奏曲 第5番 ニ長調 BWV.1050
トラベルソ:バルトルド・クイケン/Vn:ジギスヴァルト・クイケン/Cem:バンジャマン・アラール
5. ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV1048
【アンコール】
ブランデンブルク協奏曲第3番~第3楽章
夫婦で出かけたラ・プティット・バンドの演奏会。前回聴いてからもう5年もたったなんて驚き。
元祖ピリオドとも言えるラ・プティット・バンドの奏でるバッハはいつ聴いても新鮮で、調和があり、何よりも楽しい。演奏には常に新しい試みを盛り込むというこのバンドは、楽器へのこだわりにも並々ならぬ熱意を注ぎ続け、低音楽器にスパッラを本格的に採り入れたり、トランペットに、バルブはおろか穴までないものを使ったり、「オリジナルの響き」への探求を続ける。つまり、ただ楽しく演奏するだけではなく、いつも前進を続けるアンサンブなのだ。
そんなシンプル極まりないラッパをソロ楽器に迎えて演奏したブランデンブルク協奏曲の2番、聴く方としては、わずかな音色の差にこだわって危なっかしい演奏を聴かされるより、演奏し易い機能を備えた楽器を使って欲しい、というのが本音だが、このラッパを吹いたマドゥーフは、片手を腰に当て、進軍ラッパを鳴らすような格好で、曲芸なみに見事にソロパートを吹きこなした。いとも軽々と高音を出し、速いパッセージもわけなくクリア。清々しい風が吹き抜けるような2番だった。
次の6番は、打って変わってしっとりした柔和さが全体に行き渡り、宮廷で繰り広げられる優雅なバロックダンスの趣き。落ち着いた響きのヴィオラの柔らかな語り口が、心にしっくりときた。
3曲目の三重協奏曲は珍しい作品だが、原曲はオルガン曲などから集めたパロディー。第1楽章の後半あたりでジギスヴァルトの弦が切れ、演奏が中断するハプニングがあり、最初からやり直したおかげで、初めて聴く曲に慣れ親しむことができた。ここではチェンバロのアラールの活躍が耳を引いた。
そのアラールの活躍を更に楽しめたのは、後半最初のブランデンブルク協奏曲第5番。端正な運指から優美で滑らかな表情が生まれ、アンサンブルの間を縦横に動き、金の刺繍を施してゆく。ヴァイオリンとトラベルソの優しい語りとの交感、そして、トゥッティとの語らいが幸せなひとときを届けてくれた。
最後のブランデンブルク協奏曲第3番は、チェンバロを10人の弦楽器奏者が取り囲み、圧巻の演奏を聴かせた。弦楽器の面々がみんなとても楽しそうに微笑を浮かべながら、小気味よいテンポで歩を進めて行く様子は、みんなで輪になって草原を駆け回っている情景。そこからソロが順番に抜けて、得意げな振りつけで踊っては、また輪の中に戻る。それを見守るトゥッティの面々・・・ 「個」と「全体」が、美しいハーモニーを奏で、活き活きとした息遣いが聴き手を心から楽しませてくれた。こんなバッハを聴けるのなら、また何度でもラ・プティット・バンドを聴きに来たい!という気持ちにさせてくれる公演だった。
ラ・プティット・バンドのオールバッハプログラム 2006.5.9 東京オペラシティコンサートホール