facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

2016年6月B定期(アシュケナージ指揮)

2016年06月27日 | N響公演の感想(~2016)
6月23日(木)ウラディーミル・アシュケナージ指揮 NHK交響楽団
《2016年6月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1. シューマン/交響曲 第2番 ハ長調 Op.61
2. エルガー/交響曲 第2番 変ホ長調 Op.63


2年ぶりにアシュケナージがN響定期に登場した。B定期はお得意のシューマンとエルガー。前半のシューマンからアシュケナージの持ち味が発揮され、木目細かく柔らかなテクスチュアが美しく浮かび上がる。弦のやり取りが、寄せては返す波のごとく、切れ目なく大きな呼吸で自然につながって行く。第2楽章ではもう少し激しく熱く煽ってもいいかなとも思ったが、全体として滑らかな呼吸が息づいた、格調の高い雅やかなシューマンだった。

アシュケナージの指揮は、見ているとお人形のような動きで、お世辞にもカッコいいとは言えないが、そこからこんなに音楽的な演奏が生まれるのはいつものことながら不思議。何もしないで立っているだけですごい演奏になってしまう老巨匠と通じるところがあるのかも。

後半はエルガーのシンフォニー。前回のアシュケナージ客演時には第1番をやった。今回の2番は1時間にも及ぶ大曲で、第1番に共通する複雑で大規模な音楽。初めて聴く身としては完全消化が難しいが、音楽の奥底から湧き上がる魅力を、充実した演奏で感じることができた。

第1楽章 は、つかみどころを捉えるのがタイヘンだったが、多彩で変化に富み、不可思議な魅力を秘めている。演奏からは集中力とパワーが伝わってきた。第2楽章は実に美しい音楽。アシュケナージ/N響からは、貴腐ワインのような黄金の輝き、深みや味わいが発せられた。繊細で柔らかな表情付けが、緻密で柔軟なアンサンブルによってホレボレする色彩や香り、表情を醸していた。

第3楽章はギュッと引き締まって隆々としたパワーが躍動した。力強い生命の鼓動。そして第4楽章は 深くて大きな呼吸で幽玄の世界が描かれて行った。このシンフォニーは英国王だった故エドワード7世に捧げられたそうだが、華やかで堂々として包容力があり、ロイヤリティーを感じさせる。演奏も、宮殿の大広間を思わせるような風格と輝かしい響きを湛え、しなやかで優美。アシュケナージは、N響ならではの艶やかなサウンドを引き出し、初めて接する大曲の魅力を伝えてくれた。

アシュケナージ指揮 NHK交響楽団 2014.6.19 サントリーホール

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジャン=ギアン・ケラス 無... | トップ | 武満徹 室内楽作品演奏会 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

N響公演の感想(~2016)」カテゴリの最新記事