「やっと来れた!」 リベンジ!台湾旅行2023 2023年3月17日~3月24日 台湾を愛した小百合さん |
プライベートでは4年ぶりとなった台湾旅行は、キャンセルせざるを得なかった2020年3月のリベンジの旅でもありました。そのとき計画していた場所を訪れ、そのときやりたかったことを実現させたうえで、当時の計画よりも滞在期間を伸ばし、本当に久しぶりに台湾を満喫してきました。 今回は、台湾を愛した小百合さんを巡る心打たれるエピソードに惹かれて台南のカフェ「窄門咖啡」を訪れたときのレポート、そして、後日談を紹介します。 |
台湾に出発する3日前、3月14日の毎日新聞の夕刊で、「娘の愛した台湾 描く旅」という見出しの記事を読みました。2ページに渡って大きく取り上げられた記事の内容を簡単に紹介すると…
「うつ病に長く苦しんでいた小百合さんは、25歳のときに気分転換のつもりで訪れた台湾に一発ではまり、どうしても台湾に住みたいと思うようになった。台湾で日本語教師として働くために中国語を猛勉強、3年後に台北で日本語教師の職を得た。台湾に暮らし始めたらうつ病の症状も全くなくなり、生活も軌道に乗ってきた約1年半後に乳がんが見つかり、治療のため帰国するも、32歳の若さで旅立った。
父親で画家の克之さんはその後、娘が愛した台湾を巡って各地で絵を描き、小百合さんを優しく迎えてくれ、いつも励ましてくれた台湾の人たちへの感謝の気持ちを込めて台北で個展を開いた。個展は台湾で大きな共感を呼び、映画化されることになった。作品のなかに、小百合さんも訪れた台南のカフェ「窄門咖啡」を描いた絵があることをカフェのオーナーが知って個展を訪れ、その絵に感動して購入。絵はカフェに飾られている。」
小百合さんの台湾への特別な愛情、その思いをくみ取って台湾で絵を描いているうちに自身も台湾に魅せられていった父親の克之さん、このストーリーと作品が台湾で大きな反響となり、映画化までされるという話は、「優しい台湾」「癒しの国、台湾」という僕がずっと思い描いている台湾のイメージと重なり、胸がいっぱいになりました。今回の台湾旅行では台南も訪れることにしていたので、窄門咖啡にある絵を見たいと思い、台南に到着した夕方、このカフェを13年ぶりに訪れました。
窄門咖啡は日本統治時代の古い家を改装して1990年にオープンしたカフェで、以前NHKの「世界ふれあい街歩き」で紹介されて知り、訪れたところです。13年前と変わらない狭い入口を通りお店に入ると、当時と同じレトロな落ち着いたカフェがありました。
カフェの入口はここを入る
通路は体を横にしないと通れない狭さ
あの絵があるはずの奥の部屋を覗くと、窓際の角のテーブルの上に絵は架けられていました。「娘のいない風景」と題された絵は、お店の雰囲気に合った落ち着いた色調で温かさが滲み出ています。小百合さんは「すてきなカフェに行ったの。お父さんもきっと気に入ると思う」と話していたそうです。克之さんは、小百合さんが座った席はここに違いないと想像して、その風景を絵にしました。
「娘のいない風景」藤井克之 画
空いていたその席に座り、暑かったので、僕は「黄昏之戀」というフルーツ系の冷たいお茶を注文しました。オーナーはジェシカさんと云う女性ですが、不在のようで、飲み物を運んでくれた男性の店員さんに、「日本で新聞記事を読んで、この絵が見たくて来ました」と話しましたが、その話も絵のことも知らない様子でした。
このカフェは、ゆっくりと時間が静かに流れる贅沢な場所です。だんだん夕ぐれに染まっていく向かいの孔子廟の風景を眺めながら、そして絵を正面に見ながら、一日の疲れが癒される気分で過ごしていると、暫くして女性の店員さんが「そろそろ閉店なんです」と声をかけに来ました。もしやと思いここに来た目的を話すと、その女性はすごく驚いて喜んでくれました。この方こそ、絵を購入したオーナーのジェシカさんでした。ジェシカさんは笑顔が爽やかな、明るくて素敵な方で、閉店時間を過ぎたあとも、色々とおしゃべりを楽しみました。
ジェシカさんは、この絵について友人から知らされて台北に駆けつけたことや、日本が大好きで何度も訪れていることなどを話してくれました。僕たちが、台湾で出会った様々な親切について話をすると、「台湾人はとても親切でしょ」と返してきました。この反応、以前にも台湾の友人から受けたことがあります。自国民のことをこんな風に言うことができるのは素敵です。ジェシカさんと一緒に写真を撮り、ジェシカさんも「お店のFacebookに載せていい?」と、僕たちのことを撮ってくれました。
一緒にお店を出たジェシカさんは、僕たちが歩いて行こうと思っていた赤崁樓の方まで車で連れていってくれるとのこと。お言葉に甘えて乗せて頂き、車で行けるなら時間にも体力にも余裕ができるので、本当はその前に行きたかった神農街の方へ連れて行ってくれるとうれしいなぁ、とお願いしてみたら、「没問題!(問題なし)。台南は私のホームだからね。」と、快くそちらまで乗せて行ってくれたのです。神農街の入口で握手をしてお別れ。ジェシカさんとの嬉しい出会い、思わぬ親切も受ける素敵な出会いとなりました。
夜景が美しい神農街
帰国後、虎ノ門の台湾文化センターで行われていた藤井克之さんの絵画展「台湾を描く」を訪れました。克之さんが小百合さんの面影を追って台湾を歩いて描いた絵の数々が展示され、一枚一枚をじっくり鑑賞することができました。どの絵も温かな色合いと丁寧なタッチで描かれ、とりわけ人々の表情が生き生きと伝わってくることに感銘を受けました。有名な観光地だけでなく、ごく日常の風景もモチーフに選ばれ、そのなかで台湾の人たちの人懐っこい表情が見え、明るい声が聴こえ、匂いまで感じられるようでした。そして、そこに小百合さんもいるように思えました。
会場には克之さんと奥さまの久美子さんもいらして、窄門咖啡に行って絵を見て来たと伝えると、お2人ともとても喜んでくださり、台湾の話で盛り上がりました。ご両親から小百合さんのことも色々伺い、克之さんはご自分の作品について一つ一つギャラリートークしてくださいました。そして、いくつかの絵のなかに小百合さんを描き込んでいることも教えてくれました。
願い事をランタンに書いて空へ飛ばす台湾の伝統行事の様子を描いた「十分天燈風景」
前に立つ女性は小百合さんとのこと。小百合さんは「台湾での暮らしが順調にいきますように、家族が健康でありますように」としたためたランタンを飛ばした。
藤井さんご夫妻の温かな歓待を受け、僕たちも温かな気持ちになりました。小百合さんが魅せられた台湾への思いをご両親が引き継ぎ、その思いが日本と台湾との懸け橋という形になって膨らんでいるというのは素晴らしいことですね。そして、素敵なめぐり逢いをプレゼントしてくれた小百合さんにも感謝です。映画が上映されるときは、是非観に行きたいと思います。
台北での個展のことを伝える台湾の記事
小百合さんのご両親と
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