8月13日(水)
~8月14日(木)
カゼルタからナポリ中央駅へ戻ったあとは再びナポリの観光だ。地下鉄のカヴール駅から国立考古学博物館を訪れた。
国立考古学博物館 Museo Archeologico Nazionale
等身大の彫刻の数々は、柔らかな色合いの大理石に施された彫塑により現した、精巧・繊細で生き生きとした流麗でかつ力強い姿に圧倒される。
見学の助けになったのは「地球の歩き方 南イタリアとマルタ」の2011・2012年版の巻頭の特集。フロアごとに必見の作品が写真入りで解説されていて便利だった。
そこでも大きく取り上げられていたのがこの「ファルネーゼの雄牛」。「母の恨みを晴らそうとふたりの兄弟が雄牛を使って拷問している場面」だそうだ。
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ひとつ上の中2階のフロアは、ポンペイとエルコラーノから出土したモザイク画やコインなどが展示されている。これはそうした出土品の中で最も有名なモザイク「アレクサンドロ大王の戦い」の右側部分。ポンペイの古代遺跡で発掘された。モザイク全体の横幅は6メートル近くある大きな作品。
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このフロアの奥には「秘密の小部屋(gabinetto segreto)」という妖しい名前の部屋があり、主にポンペイから出土したエロチックなモチーフの作品が集められている。14歳以下は大人の同伴が必要ということで、鉄格子の扉もあり、かなり過激な代物が並んでいるかと思いきや、ヘンテコで笑えるもんがたくさんあって子供たちにも大ウケ。この部屋は2000年までは一般公開されていなかったとのこと。「アモーレ」の国、性にはおおらかなはずのイタリアにしてはちょっと意外。
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更に1フロア上の2階が、この博物館の最上階。ここにはポンペイやエルコラーノなど、ヴェズーヴィオ山の大噴火で埋もれた古代都市の遺跡から発掘された絵画を中心に展示されている。中2階と合わせて、実際にポンペイやエルコラーノ遺跡とリンクして訪れると良い、といろいろなガイドに出ている。
僕たちはポンペイは前回のナポリ訪問時に訪れているので、今回はエルコラーノに行こうと思っていたのだが、「カゼルタにも行ったし後はナポリでゆっくりしよう」ということで結局エルコラーノには行かなかった。それでも、ポンペイ遺跡の館で見た絵画のことを思い出しつつ、そこから出土した絵画を眺めるのは感慨深かった。
下の絵は、ヴェズーヴィオ山の灰で埋もれたポスコレアーレの館から発掘された「狩りの風景」を描いた壁画。メガログラフィーア(大構図壁画)という技法で描かれているという。マケドニアの名高い絵を模した作品だそうだ。背景には、2000年経過しても鮮やかな色彩が保たれて「ポンペイの赤」と呼ばれるようになった赤が使われている。
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このフロアには、こうした「ポンペイの赤」をはじめ、色彩の美しさを堪能できる古代絵画がたくさん展示されていた。
ミイラなどのエジプト・コレクションが展示されているという地下へは行けなかったし、上のフロアも閉鎖されている部屋が結構あったが、それでも2時間以上かけて考古学博物館を見学したあとはタクシーに乗って、昨日訪れたサンタ・ルチアへ。
再びサンタ・ルチーアへ ancora alla Santa Lucia!
昨日散歩したサンタ・ルチアからの夕暮れの景色があまりに美しく、もう一度見たかったこと、そこでスケッチがしたかったこと、それからその景色を眺めながら海の幸の料理が食べたかったことから、再びサンタ・ルチアへやって来た。
ヴェズーヴィオ山を望むナポリ湾の風景は、夕方の光に照らされて昨日と同様に絵のように美しかった。海沿いのメインストリートの防波堤に上ってスケッチをした。一緒に座った息子は学校の夏休みの宿題。。その間に奥さんと娘で、眺めがよく、単品の注文もオーケーで、ズッパ・ディ・ペッシェ(zuppa di pesce:魚介類のスープ)がメニューにあって、そんなに高くないレストラン探しへ(そんな都合のいいお店あるかしら??)。
スケッチをしていると、通行人が覗き込んで、"bella!"とか"wonderful!"とか声をかけてくれる。ちょっと嬉しい…
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小一時間で取り敢えず仕上げたスケッチ。描いているうちに雲の形も変化するし、特に日暮れ時は海も空も山も刻々と色を変えて行く。スケッチの出来はともかく、移ろいゆく夢のような眺めをじっくりと目に焼き付けることができた。
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僕が注文したのは食べたかったズッパ・ディ・ペッシェ。奥さんは漁師風リゾット、子供たちはトマトとモッツァレッラのフェトチーネと、ボロネーゼ(ミートソース)フェトチーネ。それにみんなでカプレーゼ(モッツァレッラとトマトのサラダ)も頼んだ。
テーブルから正面に見える景色はだんだんと夜景になってきた。
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僕が頼んだズッパ・ディ・ペッシェは、ボーイさんが2人がかりでやってきて、
「ジャジャ~ン!ズッパ・ディ・ペッシェでございます!」と大げさなパフォーマンス付きでテーブルに出してくれた。やっぱ、この料理は特別なんだろうか。シーフードがたっぷり盛られた豪華な一品に感動!
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夜景を眺め、地元のワインを飲みながらゆっくり夕食を楽しんだ。ズッパ・ディ・ペッシェは本当においしかった!スープもいい出汁が出ていて絶品。スープも全部飲みたかったので、スプーンを頼んでしまった。これで25ユーロ。
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家族が注文した料理もみんなおいしかったようで何より!食後にはコーヒーも頼んで、お会計は4人で95.5ユーロ。チップを4ユーロ添えて、100ユーロ以内に収まった!お腹も心も満たされた。
ホテルまでは、少し距離はあったが地下鉄1号線の駅まで歩いた。途中のスタンドでアイスも食べた。夜のナポリの町も賑やかだ。驚いたことに小さな子供たちが広場を走り回ったり、この時間までやっている遊園地でも子供がたくさんいて至って平和な感じ。
「ナポリは危ない」という警戒心がつい緩みそうになる。町を知り尽くしている地元の人達にとっては、子供をこんな夜に外で遊ばせるくらいなんだから、ナポリはきっと暮らしやすい町なんだと思う。実際、リエージュで感じたような何やら怪しい雰囲気をナポリで感じることはない。警戒すべきは、町を知らないよそ者や、金目のものを身につけている観光客ってことだろうか。
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プレビシート広場は昼間よりも人出が多かった
地下鉄1号線のホームへ下りるエスカレーターの壁や天井は、とても近代的でオシャレな色合いと装飾にビックリ!地元の人っぽいおにいちゃんも写真撮ってた。
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翌朝は7時45分起床。今日もいい天気。気温は26度で爽やか!
スカトゥルキオ Scaturchio
ホテルに荷物を預けて向かったのは、スパッカ・ナポリにあるお菓子屋さん「スカトゥルキオ」。1つ前のブログ記事で紹介した本「ナポリの街の物語」に、「スカトゥルキオの歴史は、ナポリのパスティッチェリアの歴史でもある。」と書かれている。
スパッカ・ナポリのサン・ドメニコ広場の前、あまり目立たない店構えだが、お客さんがたくさん出入りしている。支店などもなく、ここのお店一つで続けているという。こちらのブログによると創業は1905年で、更に400年も前に尼僧が書き残したレシピを元にお菓子を作っているんだとか。
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店内はこぢんまりとしていて、ガラスケースに色とりどりのたくさんの種類のお菓子が並んでいた。
選んだのは、絶対外せないナポリの銘菓であり、スカトゥルキオの看板商品のスフォリアテッラとアランチーノ(ミートリゾット入りのコロッケ)、ピンクのクリームがかかっているのは、イチゴのエクレア。どれも超うまそう!
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お店の前のサン・ドメニコ広場のベンチでこれらの銘菓をほうばった。スフォリアテッラは、パリッパリの薄~い生地が層をなし、貝殻の形にまとめられ、見た目も芸術品。その中には甘さ控えめのリコッタチーズがたっぷり詰まった逸品。一口かじっただけで虜になってしまう!アランチーノも美味しかった。
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という祝日で、ヴァカンスシーズンとも重なるため、この週は、イタリアでは多くの店が閉店する。
マリーナさんも「8月15日はナポリの全ての店が閉まる!」と教えてくれていたが、8月14日はとりあえずスパッカ・ナポリのお店はたくさん開いていて、賑わっていてホッ。
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いろんな乾燥パスタを売るお店…
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ちょっとした路地から通りを眺めるのも絵になる。
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ナポリの下町、歴史地区は世界遺産でもあるが、落書きは欠かせない。
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スパッカ・ナポリの西端近くにある、鎧のようないかつい外壁が目を引くジェズ・ヌオーヴォ教会(Chiesa del Gesù Nuovo)。もとは宮殿だった建物を16世紀に教会に改築し、宮殿の壁が教会のファサードに使われたという。
壁を近くで観察すると五角の石材が規則正しく積み上げられている様子がわかる。力強さがみなぎり、それが独特の美しさにもなっている。
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内部は外観からは想像できないような金ピカで絢爛豪華な造りと装飾。イタリアにはこうした豪華な内装の教会は多いが、質素さを尊ぶイエズス会の教会では珍しいようだ。
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「ナポリの街歩きその1」で触れたプルチネッラをあちこちのお店で探していたが、このお店にたくさんの種類があって、ようやくお気に入りを見つけることができた。ナポリでピザの修行をしていて、今は大阪でピッツェリアをやっているという日本人のことを、お店の夫婦が動画を見せながら嬉しそうに話してくれた。「日本人はみんな人柄が良い!」としきりに褒めていた。
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マンドリンを抱えるプルチネッラの新しい相棒は、ワインとマルゲリータを持っているプルチネッラ(40€)。
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カラヴァッジョの祭壇画があるピオ・モンテ・デラ・ミゼリコルディア聖堂
Pio Monte della Misericordia
カラヴァッジョの作品は、聖堂の主祭壇の壁面をいっぱいに占めていた。高さは4メートル近くもある大作だ。
ナポリの慈善団体のモンテ・デラ・ミゼリコルディアが、ローマで殺人の大罪を犯してナポリに逃れてきたカラヴァッジョに依頼して完成したのがこの祭壇画。新約聖書の「マタイによる福音書」に由来する「慈悲の七つの行い」の様子が描かれている。
カラヴァッジョは光と影の対比の扱いや徹底した写実性が非常に斬新で、後の時代の絵画に大きな影響を与えたというが、実物の作品の前に立つと、描かれた人物が画面からとび出してくるようなリアルさで迫ってきた。
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2階のギャラリーの一室からもこの祭壇画を眺めることができる。ここから観る祭壇画の存在感もすごい。写真で見たときの印象とは全く異なるパワーを感じた。
再びドゥオモ通りの西側の賑やかな地区へ戻り、トリブナーリ通りのレストランでお昼。ソレントへ行く船の出港時刻が近づいていたので、早くできそうなパスタ類だけ注文したが、これがなかなか来なくてヤキモキした。急いで食べて、ホテルで荷物をピックアップして、ドゥオーモの前で客待ちをしていたタクシーに大急ぎで乗り込んだ。ぎりぎりの行動がこの後の失敗を招くことになった。
運転手に船の出港時刻を伝えて「急いでくれ」と頼むと、タクシーは猛スピードで他の車をどんどん追い越し、船が出る5分前に港に到着した。タクシーのメーターは9ユーロ。チップ分の1ユーロを加えて10ユーロを渡すと、「話にならん!警察に捕まる危険を犯してこんなに飛ばして、荷物もたくさん乗せて来たんですぜ!」と取り合ってくれない。更に2ユーロ渡してもダメ。船に乗れなかったら元も子もないので、結局要求額の15ユーロを払ってしまった。
タクシーでボラれるリスクが大きいというナポリで今回3度タクシーを使ったが、最初の2回はとても良心的な運転手だった。3度目でイヤな目に遭ってしまったが、これも運転手を急がせることになったぎりぎりの行動が原因。
おまけに、更なる痛い出費が待っていた。船のチケット売り場は何人も並んでいて、これを待っていては船が行ってしまう。まさに出港するところの船に駆け寄り、「チケット(biglietti)はまだ買ってないけど…」と言うと「乗った乗った!」と指図されて乗り込んだ。そこで請求された料金は4人で50ユーロ。チケット料金は調べていなかったが、ナポリからソレントまでがこんなに高いわけはない。これはタクシー以上に無駄な出費となってしまった。
2泊したナポリではマリーナさんの「掟」を守って、トラブルなくずっと快適に過ごせていたが、最後の最後で油断して時間の管理がルーズになったおかげで、ナポリの負の部分に遭遇してしまった。これからは更に気を引き締めていかなければ!
さあ、これから向かうソレントでは初めてのアグリトゥーリズモに宿泊。楽しみ~!
レモンが実るリゾートの町、ソレントでアグリトゥーリズモ初体験
イタリアを凝縮 ディープなナポリの街歩き ~その1~~
途方もないスケールと造形美 カゼルタの王宮庭園
ヨーロッパ家族旅行2014
【参考にした主なサイト】(ドイツ語)
ナポリ ~ヴィヴァ-イタリア~
ナポリを見る、ナポリがわかる~
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カゼルタからナポリ中央駅へ戻ったあとは再びナポリの観光だ。地下鉄のカヴール駅から国立考古学博物館を訪れた。
国立考古学博物館 Museo Archeologico Nazionale
ここは1777年創設という長い歴史を持ち、古代の彫刻や、ポンペイとエルコラーノからの出土品などが目玉の、世界屈指とも言われる博物館のひとつ。博物館には地下と中2階も含めて4つの展示フロアがあり、広くて展示数も膨大だ。 そんな所蔵作品の中核を成すのが、中世から続くイタリアの名門貴族・ファルネーゼ家から受け継いだファルネーゼ・コレクションと呼ばれる収蔵品。 古代ギリシャの彫刻作品の殆どは消失してしまったという。それを模してローマ時代に模刻された数々の彫刻作品がファルネーゼ・コレクションで、これらは1階に展示されている。 | ![]() |
等身大の彫刻の数々は、柔らかな色合いの大理石に施された彫塑により現した、精巧・繊細で生き生きとした流麗でかつ力強い姿に圧倒される。
見学の助けになったのは「地球の歩き方 南イタリアとマルタ」の2011・2012年版の巻頭の特集。フロアごとに必見の作品が写真入りで解説されていて便利だった。
そこでも大きく取り上げられていたのがこの「ファルネーゼの雄牛」。「母の恨みを晴らそうとふたりの兄弟が雄牛を使って拷問している場面」だそうだ。
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ひとつ上の中2階のフロアは、ポンペイとエルコラーノから出土したモザイク画やコインなどが展示されている。これはそうした出土品の中で最も有名なモザイク「アレクサンドロ大王の戦い」の右側部分。ポンペイの古代遺跡で発掘された。モザイク全体の横幅は6メートル近くある大きな作品。
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このフロアの奥には「秘密の小部屋(gabinetto segreto)」という妖しい名前の部屋があり、主にポンペイから出土したエロチックなモチーフの作品が集められている。14歳以下は大人の同伴が必要ということで、鉄格子の扉もあり、かなり過激な代物が並んでいるかと思いきや、ヘンテコで笑えるもんがたくさんあって子供たちにも大ウケ。この部屋は2000年までは一般公開されていなかったとのこと。「アモーレ」の国、性にはおおらかなはずのイタリアにしてはちょっと意外。
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更に1フロア上の2階が、この博物館の最上階。ここにはポンペイやエルコラーノなど、ヴェズーヴィオ山の大噴火で埋もれた古代都市の遺跡から発掘された絵画を中心に展示されている。中2階と合わせて、実際にポンペイやエルコラーノ遺跡とリンクして訪れると良い、といろいろなガイドに出ている。
僕たちはポンペイは前回のナポリ訪問時に訪れているので、今回はエルコラーノに行こうと思っていたのだが、「カゼルタにも行ったし後はナポリでゆっくりしよう」ということで結局エルコラーノには行かなかった。それでも、ポンペイ遺跡の館で見た絵画のことを思い出しつつ、そこから出土した絵画を眺めるのは感慨深かった。
下の絵は、ヴェズーヴィオ山の灰で埋もれたポスコレアーレの館から発掘された「狩りの風景」を描いた壁画。メガログラフィーア(大構図壁画)という技法で描かれているという。マケドニアの名高い絵を模した作品だそうだ。背景には、2000年経過しても鮮やかな色彩が保たれて「ポンペイの赤」と呼ばれるようになった赤が使われている。
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このフロアには、こうした「ポンペイの赤」をはじめ、色彩の美しさを堪能できる古代絵画がたくさん展示されていた。
ミイラなどのエジプト・コレクションが展示されているという地下へは行けなかったし、上のフロアも閉鎖されている部屋が結構あったが、それでも2時間以上かけて考古学博物館を見学したあとはタクシーに乗って、昨日訪れたサンタ・ルチアへ。
再びサンタ・ルチーアへ ancora alla Santa Lucia!
昨日散歩したサンタ・ルチアからの夕暮れの景色があまりに美しく、もう一度見たかったこと、そこでスケッチがしたかったこと、それからその景色を眺めながら海の幸の料理が食べたかったことから、再びサンタ・ルチアへやって来た。
ヴェズーヴィオ山を望むナポリ湾の風景は、夕方の光に照らされて昨日と同様に絵のように美しかった。海沿いのメインストリートの防波堤に上ってスケッチをした。一緒に座った息子は学校の夏休みの宿題。。その間に奥さんと娘で、眺めがよく、単品の注文もオーケーで、ズッパ・ディ・ペッシェ(zuppa di pesce:魚介類のスープ)がメニューにあって、そんなに高くないレストラン探しへ(そんな都合のいいお店あるかしら??)。
スケッチをしていると、通行人が覗き込んで、"bella!"とか"wonderful!"とか声をかけてくれる。ちょっと嬉しい…
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小一時間で取り敢えず仕上げたスケッチ。描いているうちに雲の形も変化するし、特に日暮れ時は海も空も山も刻々と色を変えて行く。スケッチの出来はともかく、移ろいゆく夢のような眺めをじっくりと目に焼き付けることができた。
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僕がスケッチしている間に奥さんと娘が見つけたレストランは、スケッチした場所からすぐのサンタ・ルチア海岸通り沿いのちょっぴり高級そうなお店。だけど、確かにメニューの値段は他の店と比べるとわりとリーズナブル。ズッパ・ディ・ペッシェもあるし、4人とも海を向いて座れるテラス席があるし、ここなら言うことなしだ! 出されたメニューに日本語が!!日本語のメニューが出てくるのは別に珍しくないが、ここのメニューの日本語は超ウケた!「そばかすムール貝」??「私たち自身からのエビ」??子供たちは、これを何度も繰り返し読んでは大笑いしていた。 | ![]() |
僕が注文したのは食べたかったズッパ・ディ・ペッシェ。奥さんは漁師風リゾット、子供たちはトマトとモッツァレッラのフェトチーネと、ボロネーゼ(ミートソース)フェトチーネ。それにみんなでカプレーゼ(モッツァレッラとトマトのサラダ)も頼んだ。
テーブルから正面に見える景色はだんだんと夜景になってきた。
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僕が頼んだズッパ・ディ・ペッシェは、ボーイさんが2人がかりでやってきて、
「ジャジャ~ン!ズッパ・ディ・ペッシェでございます!」と大げさなパフォーマンス付きでテーブルに出してくれた。やっぱ、この料理は特別なんだろうか。シーフードがたっぷり盛られた豪華な一品に感動!
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夜景を眺め、地元のワインを飲みながらゆっくり夕食を楽しんだ。ズッパ・ディ・ペッシェは本当においしかった!スープもいい出汁が出ていて絶品。スープも全部飲みたかったので、スプーンを頼んでしまった。これで25ユーロ。
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家族が注文した料理もみんなおいしかったようで何より!食後にはコーヒーも頼んで、お会計は4人で95.5ユーロ。チップを4ユーロ添えて、100ユーロ以内に収まった!お腹も心も満たされた。
ホテルまでは、少し距離はあったが地下鉄1号線の駅まで歩いた。途中のスタンドでアイスも食べた。夜のナポリの町も賑やかだ。驚いたことに小さな子供たちが広場を走り回ったり、この時間までやっている遊園地でも子供がたくさんいて至って平和な感じ。
「ナポリは危ない」という警戒心がつい緩みそうになる。町を知り尽くしている地元の人達にとっては、子供をこんな夜に外で遊ばせるくらいなんだから、ナポリはきっと暮らしやすい町なんだと思う。実際、リエージュで感じたような何やら怪しい雰囲気をナポリで感じることはない。警戒すべきは、町を知らないよそ者や、金目のものを身につけている観光客ってことだろうか。
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プレビシート広場は昼間よりも人出が多かった
地下鉄1号線のホームへ下りるエスカレーターの壁や天井は、とても近代的でオシャレな色合いと装飾にビックリ!地元の人っぽいおにいちゃんも写真撮ってた。
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翌朝は7時45分起床。今日もいい天気。気温は26度で爽やか!
スカトゥルキオ Scaturchio
ホテルに荷物を預けて向かったのは、スパッカ・ナポリにあるお菓子屋さん「スカトゥルキオ」。1つ前のブログ記事で紹介した本「ナポリの街の物語」に、「スカトゥルキオの歴史は、ナポリのパスティッチェリアの歴史でもある。」と書かれている。
スパッカ・ナポリのサン・ドメニコ広場の前、あまり目立たない店構えだが、お客さんがたくさん出入りしている。支店などもなく、ここのお店一つで続けているという。こちらのブログによると創業は1905年で、更に400年も前に尼僧が書き残したレシピを元にお菓子を作っているんだとか。
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店内はこぢんまりとしていて、ガラスケースに色とりどりのたくさんの種類のお菓子が並んでいた。
選んだのは、絶対外せないナポリの銘菓であり、スカトゥルキオの看板商品のスフォリアテッラとアランチーノ(ミートリゾット入りのコロッケ)、ピンクのクリームがかかっているのは、イチゴのエクレア。どれも超うまそう!
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お店の前のサン・ドメニコ広場のベンチでこれらの銘菓をほうばった。スフォリアテッラは、パリッパリの薄~い生地が層をなし、貝殻の形にまとめられ、見た目も芸術品。その中には甘さ控えめのリコッタチーズがたっぷり詰まった逸品。一口かじっただけで虜になってしまう!アランチーノも美味しかった。
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![]() | 今日は3時の船でソレントへ移動する。「午前中で売り切れてしまう」というスカトゥルキオのスフォリアテッラを食べたあとの船が出るまでの時間、エルコラーノへ行く予定にしていたのをやめて、ナポリの下町をゆっくり散策することにした。 お菓子の食べ歩き、教会の見学、あちこちで見かける変わった像、お土産の品定め… スパッカ・ナポリにはいろいろな楽しみがあっていくらいても飽きない。 翌8月15日は、フェラゴスト(Ferragosto 聖母被昇天祭) |
マリーナさんも「8月15日はナポリの全ての店が閉まる!」と教えてくれていたが、8月14日はとりあえずスパッカ・ナポリのお店はたくさん開いていて、賑わっていてホッ。
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いろんな乾燥パスタを売るお店…
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ちょっとした路地から通りを眺めるのも絵になる。
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ナポリの下町、歴史地区は世界遺産でもあるが、落書きは欠かせない。
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スパッカ・ナポリの西端近くにある、鎧のようないかつい外壁が目を引くジェズ・ヌオーヴォ教会(Chiesa del Gesù Nuovo)。もとは宮殿だった建物を16世紀に教会に改築し、宮殿の壁が教会のファサードに使われたという。
壁を近くで観察すると五角の石材が規則正しく積み上げられている様子がわかる。力強さがみなぎり、それが独特の美しさにもなっている。
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内部は外観からは想像できないような金ピカで絢爛豪華な造りと装飾。イタリアにはこうした豪華な内装の教会は多いが、質素さを尊ぶイエズス会の教会では珍しいようだ。
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「ナポリの街歩きその1」で触れたプルチネッラをあちこちのお店で探していたが、このお店にたくさんの種類があって、ようやくお気に入りを見つけることができた。ナポリでピザの修行をしていて、今は大阪でピッツェリアをやっているという日本人のことを、お店の夫婦が動画を見せながら嬉しそうに話してくれた。「日本人はみんな人柄が良い!」としきりに褒めていた。
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マンドリンを抱えるプルチネッラの新しい相棒は、ワインとマルゲリータを持っているプルチネッラ(40€)。
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カラヴァッジョの祭壇画があるピオ・モンテ・デラ・ミゼリコルディア聖堂
Pio Monte della Misericordia
今度はドゥオモ通りを渡り、スパッカ・ナポリの東の端の方までやってきた。ドゥオモ通りから東側は観光客向けのお店は少なく、地元の人達の生活臭がより強く感じられる。 そんな「普段着」のナポリの下町、ドゥオモの近くにあるのが、ピオ・モンテ・デラ・ミゼリコルディア聖堂だ。ここを訪れたのは、聖堂内にあるイタリア・バロック期を代表する画家・カラヴァッジョによる祭壇画「慈悲の七つの行い」が観たかったから。1階が聖堂で、ここにカラヴァッジョの絵がある。2階はギャラリーになっている。 | ![]() |
カラヴァッジョの作品は、聖堂の主祭壇の壁面をいっぱいに占めていた。高さは4メートル近くもある大作だ。
ナポリの慈善団体のモンテ・デラ・ミゼリコルディアが、ローマで殺人の大罪を犯してナポリに逃れてきたカラヴァッジョに依頼して完成したのがこの祭壇画。新約聖書の「マタイによる福音書」に由来する「慈悲の七つの行い」の様子が描かれている。
カラヴァッジョは光と影の対比の扱いや徹底した写実性が非常に斬新で、後の時代の絵画に大きな影響を与えたというが、実物の作品の前に立つと、描かれた人物が画面からとび出してくるようなリアルさで迫ってきた。
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クリックで絵をクローズアップ
2階のギャラリーの一室からもこの祭壇画を眺めることができる。ここから観る祭壇画の存在感もすごい。写真で見たときの印象とは全く異なるパワーを感じた。
再びドゥオモ通りの西側の賑やかな地区へ戻り、トリブナーリ通りのレストランでお昼。ソレントへ行く船の出港時刻が近づいていたので、早くできそうなパスタ類だけ注文したが、これがなかなか来なくてヤキモキした。急いで食べて、ホテルで荷物をピックアップして、ドゥオーモの前で客待ちをしていたタクシーに大急ぎで乗り込んだ。ぎりぎりの行動がこの後の失敗を招くことになった。
運転手に船の出港時刻を伝えて「急いでくれ」と頼むと、タクシーは猛スピードで他の車をどんどん追い越し、船が出る5分前に港に到着した。タクシーのメーターは9ユーロ。チップ分の1ユーロを加えて10ユーロを渡すと、「話にならん!警察に捕まる危険を犯してこんなに飛ばして、荷物もたくさん乗せて来たんですぜ!」と取り合ってくれない。更に2ユーロ渡してもダメ。船に乗れなかったら元も子もないので、結局要求額の15ユーロを払ってしまった。
タクシーでボラれるリスクが大きいというナポリで今回3度タクシーを使ったが、最初の2回はとても良心的な運転手だった。3度目でイヤな目に遭ってしまったが、これも運転手を急がせることになったぎりぎりの行動が原因。
おまけに、更なる痛い出費が待っていた。船のチケット売り場は何人も並んでいて、これを待っていては船が行ってしまう。まさに出港するところの船に駆け寄り、「チケット(biglietti)はまだ買ってないけど…」と言うと「乗った乗った!」と指図されて乗り込んだ。そこで請求された料金は4人で50ユーロ。チケット料金は調べていなかったが、ナポリからソレントまでがこんなに高いわけはない。これはタクシー以上に無駄な出費となってしまった。
2泊したナポリではマリーナさんの「掟」を守って、トラブルなくずっと快適に過ごせていたが、最後の最後で油断して時間の管理がルーズになったおかげで、ナポリの負の部分に遭遇してしまった。これからは更に気を引き締めていかなければ!
さあ、これから向かうソレントでは初めてのアグリトゥーリズモに宿泊。楽しみ~!
レモンが実るリゾートの町、ソレントでアグリトゥーリズモ初体験
イタリアを凝縮 ディープなナポリの街歩き ~その1~~
途方もないスケールと造形美 カゼルタの王宮庭園
ヨーロッパ家族旅行2014
【参考にした主なサイト】(ドイツ語)
ナポリ ~ヴィヴァ-イタリア~
ナポリを見る、ナポリがわかる~
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