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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ブレス DUOライブ ~小林貴子 & 黒田京子~

2024年12月09日 | pocknのコンサート感想録2024
12月4日(水)小林貴子(Vocal)/黒田京子(Pf)
~ジャズライブハウス 代々木NARU~


セットリスト
出発のブレス
A Natural Woman
Hard times come again no more
行方不明のおはし
5時の鐘の音
The Water is wide & Deep River
明日に架ける橋
♪ ♪ ♪
Tears
二十億光年の孤独
死ぬ前におじいさんのいったこと
Lost in the Stars
Over the Rainbow
What a wonderful World
Everything must Change
《アンコール》
海へ来なさい



半年前に「ブレス」のライブを初めて聴いてほれ込んでしまい再びNARUへ。そして益々このデュオに心酔した。今夜のライブのテーマは“Lost and Found“。なくしたもの、みつけたものに思いを寄せ、そんなことを歌った曲を集めたという貴子さんのMC。

ファーストステージは、このユニットのテーマ曲とも云える名曲「出発のブレス」をはじめとした貴子さんのオリジナルの楽曲が中心。「夫婦の不和を歌にした」という新曲「行方不明のおはし」では、結局は「2人でなんでも力を合わせなきゃ始まらない」という夫婦の絆を歌う微笑ましい曲。それにキャロル・キングやサイモン&ガーファンクル、ゴスペルの名曲などが入った。セカンド・ステージではピアノの京子さんのオリジナルの楽曲が並び、フランク・シナトラ、クインシー・ジョーンズ、ナット・キング・コールといった往年の名歌手が歌った洋楽が続いた。

貴子さんの歌はいつでも全身全霊で心の琴線に「触れる」どころか直撃してくる。全身を使って一点に焦点を当てる。情熱的な歌で圧倒するだけでなく、静かな曲では心が洗われる気分にしてくれ、軽い曲ではウキウキと楽しくなり、しみじみした曲ではジーンと胸が熱くなり、それぞれの音楽に相応しい表情で聴き手の心の奥底に熱いメッセージを届けてくれる。貴子さんの声は、魔法がかかったように魅惑的だ。マイクを使わなくてもビンビンと響くパワフルな声から、長い息で細く淀みなくどこまでも伸びるピアニッシモの声まで、鍛え抜かれた身体という楽器を使い切って多彩な声で魅了した。

京子さんのピアノにも惹きつけられた。それぞれの音楽の空気を的確に捉えて歌いかけ、語りかけて、貴子さんの歌のファンタジーを膨らませる。ソロで弾いたTearsはリゲティ張りの前衛音楽。研ぎ澄まされた感性から打ち鳴らされる音が、明確なイメージを伝えた。先月亡くなった谷川俊太郎さんへのオマージュとして演奏された「二十億光年の孤独」は、貴子さんの詩の朗読に合わせて京子さんが即興でピアノを奏でた。壮大な宇宙から、最後で「僕は思わずくしゃみをした」という身近な世界への転換が、くしゃみを模したアルペッジョで可愛く表現された。

2人のアーティストはそれぞれの音楽を持ちながら同じ方向を見つめ、刺激を交換し合って高めて行く。アンコールで演奏してくれた「海へ来なさい」が、静かに深く心の底に沁みて、いつまでも残っていた。小さなライブハウスで、アーティスト達の間近でそんな素敵な音楽が生まれる場に立ち合える幸せを心ゆくまで味わった。

ブレス DUOライブ 2024.6.4 代々木NARU
ブラジル音楽の夕べ ~小林貴子トリオ~ 2023.7.28 Vieill Bakerycafe&Gallery

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