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チンクェ・テッレ ~個性が花咲く世界遺産の村々~

2010年10月03日 | 夏のヨーロッパ家族旅行2010
CINQUE TERRE

8月11日(水)一時

チンクェ・テッレとは、チンクェ(Cinque:五つの)テッレ(Terre:Terra(場所、国)の複数形)という意味で、東リヴィエラの東端、リグーリア海の岸壁にへばりつくように建物が集まって形成された5つの漁村の総称。この村々はほぼ等間隔に点在している。

鉄道が5つの村を結ぶ以前は、村同士の交通手段は船しかなかったため、近くにありながらそれぞれの村が独自の生活を営み、文化が育まれたという。そうした文化的な側面と、海に映すカラフルな古い町並みの美しさから、ポルトヴェーネレと共に世界文化遺産に指定されている。

NHKの番組でこの地域を特集しているのを見て以来、その美しい自然と、細い坂道の路地が入り組んだ独特の町並み、そこで暮らす人々の生活臭が漂ってきそうな魅力に惹かれ、いつか是非行ってみたいと思っていた。

チンクェ・テッレへは、ラ・スペツィアから鉄道で行くルートと、ポルトヴェーネレから船で行くルートがある。ポルトヴェーネレに宿を取った僕たちは、もちろん船で、この世界遺産の5つの村のうち、リオマッジョーレ、マナローラ、ヴェルナッツァの3つを訪ねた。

チンクェ・テッレに抱いていたイメージといえば、太陽に照らされた明るい街に、青空を映す地中海の青い海。少々暑くても、やっぱり晴天がいいと思っていたが、天気は上々で風も弱く、絶好の日和。チンクェ・テッレを自由に巡ることができる1日乗船券を買い求め(大人1枚24ユーロ)、10時の船で出航した。

カラフルなポルトヴェーネレの家並みが海に映え、やがてサン・ピエトロ教会が全容を現わす。


クリックで拡大

船はリヴィエラ海岸に沿って順調に航行を続ける。海も、岸壁の陸地の眺めも素晴らしい。

船で一緒になった日本人と挨拶を交わした。うちらよりは年配のご夫婦にガイドさんらしき若い男性の3人。ドロミテ山岳地方をトレッキングして、息抜きにチンクェ・テッレを訪れているというなかなかのツワモノ。うちらの旅行コースを聞いたガイドさんに「日本人が行かなさそうなところばっかりですね。」と言われた。確かにそうかも。

ご夫婦と山の話でちょっと盛り上がったら、ドロミテをトレッキングしたときの写真を見せてくれた。切り立った岩山の風景は、アルプスとはまた違った山の迫力を伝えていた。いつか行ってみたいな…

RIOMAGGIORE /リオマッジョーレ

ポルトヴェーネレを出航して40分ほどで、ポルトヴェーネレから一番最初にあるチンクェ・テッレの村、リオマッジョーレに着いた。



船は街のすぐ脇の船着場に着いた

海岸線ぎりぎりのところまで建物が迫り、岸壁の急斜面に沿ってへばりつくように建っている家が、何だか海にこぼれ落ちそうな感じ。



町は大勢の観光客や海水浴客で賑わっていた。

果物屋、アイス屋さん、レストラン、おみやげ屋、よろず屋風のお店などが、坂に沿ってメイン通り並び、花や洗濯物がカラフルに通りを彩っている。

日差しが強く、気温も30度を超えてかなり暑い中、階段を上っているとすぐ汗が出て喉が渇くが、この町は階段を上らないことには歩くことができない。




賑やかなのは船着場から真っ直ぐ上に伸びる通りだけで、横に逸れて階段を上れば住宅地となる。歩いてきた商店街を見下ろし、遠く拡がる海を眺めながら町を散策したが、すぐ町の外れまで来てしまった。

Via dell’Amore愛の小路

チンクェ・テッレの5つの村は、全長9キロのトレッキングコースが通じていて、絶景を楽しめるそうだが、道は険しくハードとのこと。ただ、ここリオマッジョーレから隣りのマナローラまでは、1キロ20分程度で、道も歩き易いそうで、「愛の小路(via dell’amore)」なんてロマンチックな名前までついているので、ここを歩くことにした。

リオマッジョーレの町の上から、岸壁を削り取ってできた遊歩道が、海に沿って通じているのが下の方に見え、下へ行くエレベータがあったので、これに乗って下でドアが開くと… なんと集金のおねえちゃんが、「1ユーロです」とお金を請求してきた。乗る前じゃなくて、降りたところで待ち構えてお金を取るなんてちょっとずるいんじゃないの?

遊歩道を歩き始めたら、また料金所があった。「ここは国立公園なので、通行料が必要です。このカードでいろいろ割引もありますよ。」ということで、大人5ユーロ、子供2.5ユーロを取られた…

岸壁を削って作られた愛の小路も観光客が大勢歩いていて、壁には落書きがいっぱい。あちこちに錠前がたくさんぶらさがっている。


セーヌ川だか、アルノ川だかの川沿いに、恋人たちが「固い愛の誓い」の印として錠前をぶら下げるのが流行っていて、景観を乱すので問題になっている、なんて話題を見たことがあるが、ここの錠前もその「固い愛の誓い」に違いない。落書きも愛の証ばかり。

しばらく行くと「愛の小路」を象徴する、「恋人達のベンチ」があった。背もたれがキスをする男女にかたどられている。


この前には行列ができて、カップルがベンチで記念写真に納まっていた。おれたち夫婦も仲間に入れてもらった。

マナローラへ続く愛の小路は歩きやすいし、海と岩礁の眺めも素晴らしい。下には鉄道が走っていて、息子は電車が来るたびに夢中で覗き込んでいた。しかし、ここは時々できる岩陰以外はずっと日なたで、とにかく暑くて喉が渇く。持っていたペットボトルの水がどんどん減っていく。


愛の小路を20分ほど歩いたらマナローラの鉄道駅の上に出た。この駅に停車する電車は各駅停車のみ。


遊歩道からマナローラの町中へと降りていった。今度は有料エレベータはなかった。

MANAROLA /マナローラ

マナローラも観光客や海水浴客でいっぱい。チンクェ・テッレの村には「それぞれに個性的な魅力がある」そうだが、お店が並ぶ賑やかな坂道は、さっきのリオマッジョーレとよく似ている。



Ristorante MARINA PICCOLA

ここでのお目当ては、旅行の準備のために行ったイタリア政府観光局でもらった冊子「イタリア好き」で紹介されていたレストラン「マリーナ・ピッコラ」でランチをすること。「近海で獲れる海の幸に舌鼓」というコピーとともに載っていたシーフードリゾットの写真が本当においしそうで、これを食べよう!と決めてきた。

「マリーナ・ピッコラ」は街中から近い海に面した通りにある、明るくて開放的なレストラン。庇つきのテラス席が空いていた。そこでお目当てのシーフードリゾットを食べた。


ご飯の粒が輝き、魚介類がたっぷり入り、薫りも味も食感も抜群だった。



お店に入ったときは結構空席もあったが、店内は徐々に混み出して、とうとう満席に。やっぱり人気のレストランのようだ。

チンクェ・テッレでもう1つ訪れようと思っている村へ行く船が来るまで、マナローラの町を散策した。

狭い路地に入っても光が染み出てくるように明るい。

ここもやはり坂の町で、少し歩けば海の眺めが楽しめる。民家の庭にはオリーブやレモンがなり、はためく洗濯物は色のコーディネートを考えて干してあると思ってしまうほどに絵になっている。

こんなところで午後のゆるりとしたシエスタを過ごしてみたいな。



VERNAZZA /ヴェルナッツァ

本当は5つの村を全部訪ねたいところだが、うちらのペースで行くと1日で3つぐらいがリミット。起点のポルトヴェーネレから数えると4つめの「チンクェ・テッレで最も美しい町」と言われているヴェルナッツァを、最後の訪問地とした。

マナローラからヴェルナッツァまでは船で20分程度。町の船着場近くでは、高い岩から豪快に海にジャンプする人達がいた。

先に訪れた、リオマッジョーレやマナローラの、岸壁から家がこぼれ落ちそうな光景と比べると、ヴェルナッツァは斜面の傾斜がなだらかなせいか、船から見た町の眺めは奥行きがあって落ち着いた雰囲気。


小さいながらも砂浜があり、その後ろに大きな教会がシンボル的に建っている。高台の上には中世のお城の塔も見え、町全体として整った美しさがある。これは是非スケッチしたいな。


みんなでジェラートを食べて、塔のあるお城へ行ってみることにした。

階段を上り入口に着くと、また料金所があった。「愛の小路」に入るところで「いろいろ割引になる」と聞いていた通行チケットを見せたが、何の割引もなかった。入場料は大人一人1.5ユーロ。後ろから来た人が「パガーレ、パガーレ、パガーレ(pagare:お勘定)」とうんざりした調子でぶつぶつ繰り返していた。確かにチンクェ・テッレではしょっちゅうお金を取られている気がする。

炎天下の登りは少々きつかったが、お城の塔の上は気持ちがいいし、眺めは抜群!ヴェルナッツァの町がミニチュアみたいに手にとるように見える。うしろの山の段々畑みたいに見えるのはワインのぶとう畑だろうか。


町まで下りて、小さな町をあちこち散策した。

お店が並ぶメインストリート以外は、人通りも少なく、先に訪れた2つの町と比べると坂の斜面もゆるいので、開放感がある。

暑いなか、水分補給は欠かせない!




むこうの丘の上に立つのはさっき登ったお城の塔

ひととおり町を歩いて、町中ではおみやげも買った。家族がお店をあちこち見ているあいだに、pocknはスケッチタイム。やっぱり最初にみたところがいい。うまい具合に入り江が入り込んでいて、ヴェルナッツァの「顔」の部分を見渡せるのがいい。絵を描きながら素敵な景色をしっかりと心に留めた。


17時55分発の最終の船に乗ってポルトヴェーネレへ戻った。
海の眺めと海の幸を満喫し、いかにもイタリアらしい素敵な村を巡る楽しい日帰り観光だった。

チンクェ・テッレであと2つ、コルニーリアとモンテロッソには行けなかったが、1日3つぐらいのペースがベストかな。あとの2つは次回のお楽しみ。いつになるかはわからないが…

ポルトヴェーネレ
ジェノヴァ
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