12月15日(木)ファビオ・ルイージ 指揮 NHK交響楽団
《2022年12月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
2.ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調 Op.18
【アンコール】
♪ R.コルサコフ/熊蜂は飛ぶ
Pf: 河村尚子
3.ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調 Op.95「新世界から」
ファビオ・ルイージ指揮のBプロはこのところ名曲プログラムが続くが、今夜は極めつけの定番の名曲が揃った。まずはグリンカ。音が鳴った瞬間、LPレコードを高級オーディオセットで鳴らしたような高級感のある艶と安定した分厚い響き。重量感はあるが、機敏に活き活きと動き回る。立体的で奥行きのある造形的な美しさを感じる絵に描いたような演奏だった。
続いて河村尚子をソリストに迎えてのラフマニノフ。冒頭のピアノの強打が腹の底にズーンと響いた。そして弦の熱くて大きく深いうねりの波に乗ってドラマが始まった。河村のピアノはオケと堂々と対峙し、逞しく渡り合う。力ずくで叩きつけるのではなく、大きく深い呼吸で脂の乗った濃厚な歌をたっぷりと奏でる姿からは貫禄すら感じた。
オケもピアノもこの曲の甘美でドラマチックな場面を理想的に描いて行ったが、ハッとするようなサプライズがなく筋書き通りに形作られていく感じで、文句の付けようがない演奏ながら何か刺激が欲しい気がしてしまった。アンコールの「熊蜂の飛行」は、蜂が細かく羽を震わせて飛び回る様子が見事に描写されていた。
後半の「新世界」もそんな優等生的な演奏になる予感がしたが、これは予想を上回るステキな演奏となった。一番心を捉えたのは細やかな表情。それぞれのパートが微細な呼吸やテクスチャーでそれぞれの歌を奏で、柔らかな光や影をつくり出して行く。主旋律の影で密かに鳴っているトリルひとつとってもすべてが美しく息づいていた。なかでも第2楽章は白眉。極細の筆でそれぞれのフレーズを細密に描き分けながら、全体がひとつの作品として調和して息づいていた。和久井さんのコールアングレも素敵だったが、2ndオーボエの池田さんの貴重な聴かせどころとなる出番がなかったのはちょっと残念。
他の楽章でもこうした細やかな美しさが耳に残る一方で、イケイケの場面では鳴るべき音が朗々とパワフルに鳴り、振幅の大きなダイナミックな演奏が繰り広げられ、期待通りに盛り上がった。ファビオは正統で真っ当な演奏スタイルを貫いたうえで、最後の色づけ、仕上げにも非凡なセンスを光らせ、N響の面々がこれに会心のパフォーマンスで応えていた。
先月のN響定期では感染対策のアナウンスがなくなって快適になったと喜んでいたら、その後ピリスや堀米さんのリサイタルではまたうるさいアナウンスが復活してがっかり。けれど今夜はまた感染対策のアナウンスがなかった。どうやら主宰者の意向でアナウンスの内容は変わるようだ。そのおかげか、今夜は終演後、止みそうになった拍手がまた盛り返しファビオが再びステージに現れたときにブラボーが飛んだ。いい演奏にはブラボーがたくさんかかる演奏会が待ち遠しい。
最終日恒例の花束贈呈
ファビオ・ルイージ指揮N響B定期(ブラ2他) 2022.9.22 サントリーホール
ファビオ・ルイージ指揮N響B定期(シェエラザード他) 2022.5.26 サントリーホール
ファビオ・ルイージ指揮N響B定期(チャイ5他) 2021.11.25 サントリーホール
Vn:日下紗矢子/Vc:クレメンス・ハーゲン/Pf:河村尚子 2017.1.10 トッパンホール
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
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Pf: 河村尚子
3.ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調 Op.95「新世界から」
ファビオ・ルイージ指揮のBプロはこのところ名曲プログラムが続くが、今夜は極めつけの定番の名曲が揃った。まずはグリンカ。音が鳴った瞬間、LPレコードを高級オーディオセットで鳴らしたような高級感のある艶と安定した分厚い響き。重量感はあるが、機敏に活き活きと動き回る。立体的で奥行きのある造形的な美しさを感じる絵に描いたような演奏だった。
続いて河村尚子をソリストに迎えてのラフマニノフ。冒頭のピアノの強打が腹の底にズーンと響いた。そして弦の熱くて大きく深いうねりの波に乗ってドラマが始まった。河村のピアノはオケと堂々と対峙し、逞しく渡り合う。力ずくで叩きつけるのではなく、大きく深い呼吸で脂の乗った濃厚な歌をたっぷりと奏でる姿からは貫禄すら感じた。
オケもピアノもこの曲の甘美でドラマチックな場面を理想的に描いて行ったが、ハッとするようなサプライズがなく筋書き通りに形作られていく感じで、文句の付けようがない演奏ながら何か刺激が欲しい気がしてしまった。アンコールの「熊蜂の飛行」は、蜂が細かく羽を震わせて飛び回る様子が見事に描写されていた。
後半の「新世界」もそんな優等生的な演奏になる予感がしたが、これは予想を上回るステキな演奏となった。一番心を捉えたのは細やかな表情。それぞれのパートが微細な呼吸やテクスチャーでそれぞれの歌を奏で、柔らかな光や影をつくり出して行く。主旋律の影で密かに鳴っているトリルひとつとってもすべてが美しく息づいていた。なかでも第2楽章は白眉。極細の筆でそれぞれのフレーズを細密に描き分けながら、全体がひとつの作品として調和して息づいていた。和久井さんのコールアングレも素敵だったが、2ndオーボエの池田さんの貴重な聴かせどころとなる出番がなかったのはちょっと残念。
他の楽章でもこうした細やかな美しさが耳に残る一方で、イケイケの場面では鳴るべき音が朗々とパワフルに鳴り、振幅の大きなダイナミックな演奏が繰り広げられ、期待通りに盛り上がった。ファビオは正統で真っ当な演奏スタイルを貫いたうえで、最後の色づけ、仕上げにも非凡なセンスを光らせ、N響の面々がこれに会心のパフォーマンスで応えていた。
先月のN響定期では感染対策のアナウンスがなくなって快適になったと喜んでいたら、その後ピリスや堀米さんのリサイタルではまたうるさいアナウンスが復活してがっかり。けれど今夜はまた感染対策のアナウンスがなかった。どうやら主宰者の意向でアナウンスの内容は変わるようだ。そのおかげか、今夜は終演後、止みそうになった拍手がまた盛り返しファビオが再びステージに現れたときにブラボーが飛んだ。いい演奏にはブラボーがたくさんかかる演奏会が待ち遠しい。
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ファビオ・ルイージ指揮N響B定期(シェエラザード他) 2022.5.26 サントリーホール
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