N響 2018年10月B定期（ブロムシュテット 指揮）

10月25日（木）ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 ＮＨＫ交響楽団
《2018年10月Bプロ》 サントリーホール

【曲目】
1．ベートーヴェン／交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68「田園」
2．ステンハンマル／交響曲 第2番 ト短調 Op.34

４月に次いで、Ｎ響定期にブロムシュテットがまた元気な姿を見せてくれた。最初の「田園」でさっそく極上の世界を味わった。暖かで優しい風がほほを撫でるように始まった第１楽章は、全体が田園の花や草や木々の優しい香りに仄かに包まれ、穏やかで軽やかに進んで行った。速めで軽快なテンポとリズム感を保ちつつ、出される音には柔らかな「遊び」があって、弾力性を生んでいる。弦も管も各パートが極上の語り口を聴かせ、Ｎ響の面々の真骨頂も示された。全体が柔らかな光に包まれたような幸せな第１楽章の印象は、その後の楽章でも引き継がれ、最後は幸福感一杯に演奏を閉じた。

曲によっては生々しくアグレッシブなパフォーマンスを聴かせるブロムシュテットだが、今夜の「田園」は終始穏やかで上品な語り口が勝り、ミューズが降り立ってくるような演奏だった。

後半はステンハンマルの交響曲。ステンハンマルと云うと、スウェーデン放送合唱団の演奏会でアカペラの小品にお目にかかったぐらいの記憶しかないが、これは非常に大規模な作品。様々な音楽語法が動員され、緻密に構成されている。恐らくブロムシュテットが、同郷の作曲家という思い入れもあって持ってきたのだろう。演奏からはそんな指揮者の曲に対する誠意と愛情が伝わってきた。

ただ、1回聴いただけの印象を述べれば、この曲は、とても生真面目で規律が重んじられ、その枠の中でいろいろ一生懸命やっているという感じで、サプライズやリアルな感情の吐露が感じられなかった。北欧の作曲家でステンハンマルとほぼ同時代を生きたニールセンの交響曲と比べると、とても保守的な印象を受けた。「田園」を後にやった方が良かったのでは？

今夜が10月定期の最終日ということで、花束を贈られたブロムシュテットがステージに戻ってくるたびに、会場の拍手は大きくなって、ブラボーの声も飛び交った。

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♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲　MS:小泉詠子/Pf:田中梢（YouTube）
「森の詩」～ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ～
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美（YouTube）

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