2月11日(金)阪 哲朗 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団
~第129回定期演奏会~
紀尾井ホール
【曲目】
1.モーツァルト/交響曲第36番ハ長調「リンツ」K.425
2.R. シュトラウス/オーボエ協奏曲ニ長調 AV144, TrV292
Ob:金子亜未
3.ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調 Op.36
2020年に聴いた阪哲朗指揮紀尾井ホール室内管弦楽団によるベートーヴェンの第1交響曲が殊の外感銘深く、同じ組み合わせで第2交響曲を聴けるこの演奏会に出かけた。シュトラウスや「リンツ」も楽しみだった。これが、元々は「鎖国」で来日を阻まれたライナー・ホーネックの首席指揮者の任期最後の演奏会だったということは知らなかった。
最初は「リンツ交響曲」。アンサンブルはかっちりして音が真っ直ぐに伸びてくる。元気もいいし響きもクリア。阪はオペラの序曲を振るような生き生きとした指揮姿で音楽を表現し、プレイヤーの顔の表情や演奏する姿も楽しげなのだが、演奏自体はどこか日本人的生真面目さが付きまとい、音たちが笑っていない。ビシッと揃わなくてもいいから、歌いまわしの妙や人間臭い呼吸を屈託なく伝えてほしいと感じてしまった。
次のシュトラウスは良かった。ここでは金子亜未の卓越したオーボエソロが光っていた。金子のオーボエは息が長く、細やかな表情付けが滑らかでかつ雄弁、弱音の美しさも際立ち、上品で奥ゆかしい香りを放っていた。「リンツ」では生真面目さを感じたオケが、こちらでは自由に語りかけてきた。ヴィオラの長いソロとオーボエとの対話など、室内楽的な扱いもデリケートで、暖かく優しく色香を湛え、表情豊か。「薔薇の騎士」でのなまめかしいシーンを連想したのは、阪のドラマの表現力の冴えの賜物に思えた。
そしてベートーヴェン。エネルギーに満ち、引き締まって颯爽とした充実した演奏となった。ここでは阪のアクティブな指揮姿を映すようにオケは生き生きと呼応し、伸びやかで能動的に、そして楽しそうに音楽を奏でた。この作品は、各声部が有機的に緻密に関わり合いながら強いメッセージを形作っていく。阪/紀尾井室内オケはベートーヴェンのこうした意図を無駄なく的確に表現し、高みへと邁進して行った。勇ましいところだけでなく、第2楽章での伸びやかな弦の瑞々しさとツヤなどにも心惹かれたし、第3楽章の心躍る遊戯の気分も格別で、「生きた」ベートーヴェンを体験した。
前回の第1番に続いての秀演、こうなると阪と紀尾井室内オケによるベートーヴェンシリーズを聴きたくなる。是非実現してほしい。
阪 哲朗 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団 2020.11.20 紀尾井ホール
鈴木雅明 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団 2019.6.21 紀尾井ホール
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3.ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調 Op.36
2020年に聴いた阪哲朗指揮紀尾井ホール室内管弦楽団によるベートーヴェンの第1交響曲が殊の外感銘深く、同じ組み合わせで第2交響曲を聴けるこの演奏会に出かけた。シュトラウスや「リンツ」も楽しみだった。これが、元々は「鎖国」で来日を阻まれたライナー・ホーネックの首席指揮者の任期最後の演奏会だったということは知らなかった。
最初は「リンツ交響曲」。アンサンブルはかっちりして音が真っ直ぐに伸びてくる。元気もいいし響きもクリア。阪はオペラの序曲を振るような生き生きとした指揮姿で音楽を表現し、プレイヤーの顔の表情や演奏する姿も楽しげなのだが、演奏自体はどこか日本人的生真面目さが付きまとい、音たちが笑っていない。ビシッと揃わなくてもいいから、歌いまわしの妙や人間臭い呼吸を屈託なく伝えてほしいと感じてしまった。
次のシュトラウスは良かった。ここでは金子亜未の卓越したオーボエソロが光っていた。金子のオーボエは息が長く、細やかな表情付けが滑らかでかつ雄弁、弱音の美しさも際立ち、上品で奥ゆかしい香りを放っていた。「リンツ」では生真面目さを感じたオケが、こちらでは自由に語りかけてきた。ヴィオラの長いソロとオーボエとの対話など、室内楽的な扱いもデリケートで、暖かく優しく色香を湛え、表情豊か。「薔薇の騎士」でのなまめかしいシーンを連想したのは、阪のドラマの表現力の冴えの賜物に思えた。
そしてベートーヴェン。エネルギーに満ち、引き締まって颯爽とした充実した演奏となった。ここでは阪のアクティブな指揮姿を映すようにオケは生き生きと呼応し、伸びやかで能動的に、そして楽しそうに音楽を奏でた。この作品は、各声部が有機的に緻密に関わり合いながら強いメッセージを形作っていく。阪/紀尾井室内オケはベートーヴェンのこうした意図を無駄なく的確に表現し、高みへと邁進して行った。勇ましいところだけでなく、第2楽章での伸びやかな弦の瑞々しさとツヤなどにも心惹かれたし、第3楽章の心躍る遊戯の気分も格別で、「生きた」ベートーヴェンを体験した。
前回の第1番に続いての秀演、こうなると阪と紀尾井室内オケによるベートーヴェンシリーズを聴きたくなる。是非実現してほしい。
阪 哲朗 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団 2020.11.20 紀尾井ホール
鈴木雅明 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団 2019.6.21 紀尾井ホール
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