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札幌交響楽団 東京公演(ユベール・スダーン指揮)

2022年02月11日 | pocknのコンサート感想録2022
2月8日(火)ユベール・スダーン指揮 札幌交響楽団
~札幌交響楽団 東京公演2022 ~
サントリーホール

【曲目】
1. ベルリオーズ/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」Op.17~「愛の場面」
2. 伊福部昭/ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲
Vn:山根一仁
3. シューマン/交響曲第2番ハ長調 Op.61

札幌交響楽団の東京公演はちょくちょく聴いているように思っていたけれど、9年ぶりとわかってビックリ。今回は鎖国で来日できなくなったバーメルトに代わって、鎖国前に来日していたスダーンが滞在期間を伸ばして今夜の演奏会を指揮。鎖国には反対だが、この組み合わせでシューマンの2番を聴けるのが楽しみだった。

ユベール・スダーン指揮の札響は、最初のベルリオーズから透明でデリケートな札響サウンドを聴かせてホレボレ。枝葉が陽光を浴びて揺れているよう。フレッシュで「命」を感じる。弦がフワッと外気に解き放たれて豊かな色合いと香りを振りまく。ベルリオーズの瑞々しくて繊細な優しさや憧れ、切なさが、見事に表現された演奏だった。

続いて、山根一仁をソロに迎えての伊福部昭のヴァイオリン協奏曲。冒頭のヴァイオリンソロのモノローグが熱く雄弁に語りかけて心を捉えた。そこから続く印象的なリズムに乗った音楽は、いわゆる伊福部節とは異なるものを感じ、それからの展開を楽しみに聴き入った。山根の思い切りのいいヴァイオリンの切り込みが大活躍。でも聴いているうちにいつの間にか「伊福部節」のオスティナートがこれでもかと続いていた。器楽的な扱いのヴァイオリンはオケから抜け出せずに埋没してしまう。伊福部作品は根強い人気があるが、僕は性に合わない。

そしてお目当てのシューマン、スダーン/札響は、シルクの光沢と肌触りのような極上のサウンドとアンサンブルで、デリケートの極みと云える演奏を聴かせてくれた。内省的な歌心がふつふつと滲み出た第1楽章、第2楽章はひたすら突進する熱血タイプではなく、軽快なステップでダンスをしているよう。終盤の盛り上がりは楽しく胸躍るワクワクの輪舞。第3楽章のしみじみした歌が織り成す香り高さ、切々と訴えてくるオーボエやクラなど木管ソロが素敵!そして第4楽章では愛情溢れる人間讃歌を熱く奏で、ジーンと来た。スダーンは気張らず自然体で音楽の持つエッセンスと沸き上がる愉悦を無理なく引き出し、心踊らせ、温かなメッセージを届けてくれた。

1階は空席も目立ったが、まずまずの客入りの聴衆の熱い拍手が続き、オケが引いたあともスダーン氏が呼び戻された。スタオベにはならなかったが、会場全体が熱くなった。こんな素敵な札響を9年も聴いていなかったのはもったいなかった。次もまた行きたい。

札幌交響楽団 2013年東京公演 13.3.5 サントリーホール
札幌交響楽団 2007年東京公演 07.11.13 東京芸術劇場
スダーン/東響のハイドン 14.3.22 東京オペラシティ
スダーン/東響のモーツァルト 06.9.9 サントリーホール

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