facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

青木尚佳(Vn)、ジャノ・リスボア(Vla)、ウェン=シン・ヤン(Vc)

2023年04月20日 | pocknのコンサート感想録2023
4月13日(木)青木尚佳(Vn)/ジャノ・リスボア(Vla)/ウェン=シン・ヤン(Vc)
~東京・・音楽祭 2023~

東京文化会館(小)

【曲目】
1.ドホナーニ/セレナーデ ハ長調 Op.10
2.コダーイ/ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
3.モーツァルト/ディヴェルティメント変ホ長調 K.563


色々聴いてきた今年の東京・春・音楽祭だが、お気に入りアーティスト、青木尚佳さんが出演する今夜が僕にとってのラストコンサート。

前半は東欧の作曲家の作品が2つ。ドホナーニのセレナーデは、今までにいくつか聴いたこの作曲家の曲と比べて、より濃厚な民族の血が感じられた。緻密で無駄がなく、筆致の冴えもあり、作品としての完成度の高さも感じた。3人は、がっちりとスクラムを組んでエネルギッシュに躍動し、濃密で熱いアンサンブルを聴かせた。それぞれのパートに与えられたソロでは各プレイヤーが「歌」を競い合って聴き応えがあった。リスボアの深くて風格あるヴィオラの存在感、シン・ヤンのアグレッシブに迫ってくるチェロ、青木さんのヴァイオリンは貫禄ある働きかけでイニシアチブを発揮した。

続くコダーイの二重奏曲は、以前にもデュオリサイタルを聴いた2人による白熱の演奏となった。青木さんのヴァイオリンは実に雄弁で、一弓の中に、泣き、叫び、憧れ、ためらいなど、様々な感情表現が濃い血で渦巻く。シン・ヤンさんのチェロも青木さんとしのぎを削って熱く歌い、語る。両者ともに一歩も引かずバトルが炸裂、赤裸々な魂の投げ合いによってアクティブで人間的な演奏を繰り広げた。この曲は以前聴いたデュオリサイタルでもやったが、2人が更に音楽を手中に収めたためだろうか、作品の素晴らしさを改めて感じることができた。

後半のモーツァルトは僕の大好きな曲で、モーツァルトと云えば2018年に聴いた青木さんのリサイタルでの感動の記憶もあり、今夜一番の楽しみだった。前半の2作品とは一転して、下界の人間世界から天上界へと舞い上がったような演奏。透き通るほど薄くてデリケートなフィルターがかかったようなソフトなタッチでレッジェーロな軽やかさで優美に舞う。3人の受け答えの場面では人情的な表現と、天使の声が混在すると感じることもあったが、モーツァルトであっても、ひたすら天上的な演奏よりも前半のような濃厚な人間臭さがあったほうが、より心を捉えるかも知れないとも思った。

「東京・春・音楽祭」と青木さんと云えば、2020年に予定されていて中止になってしまったイザイの無伴奏によるリサイタルを思い出す。今年はこのリベンジ公演はなかったが、近いうちに是非実現させてもらいたい。

ジョナサン・コーエン 指揮 紀尾井ホール室内管弦楽団(Vn青木尚佳)~2022.4.22 紀尾井ホール~
青木尚佳・三井静・大井駿 ピアノトリオコンサート ~2021.7.27 Hakuju Hall~
青木尚佳&ウェン=シン・ヤン デュオリサイタル ~2018.12.4 武蔵野市民文化会館(小)~
青木尚佳&津田裕也 モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ ~2018.3.8 東京文化会館(小)~
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 松井亜希 ソプラノリサイタル | トップ | やっと来れた台湾 ~台湾リ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2023」カテゴリの最新記事